Honda勢4人のライダーが新型RC213Vで2022年シーズン開幕戦に挑む
2022年の開幕戦カタールGPが、3月4日(金)から6日(日)までの3日間、ルサイル・インターナショナル・サーキットで開催されます。Hondaのワークスチーム「Repsol Honda Team」からは、最高峰クラスデビュー10年目を迎えるマルク・マルケスと、Repsol Honda Teamで2年目のポル・エスパルガロが出場します。
コロナ禍の中で2年目のシーズンとなった昨年は、カタールで2週連続開催の変則スケジュールとなりました。今年も依然として新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっていますが、ワクチンの接種などが進んだこともあり、予定通り、カタールでシーズンのスタートが切られます。
1949年に始まったロードレース世界選手権は今年74年目を迎えます。これまでHondaは、1966年に最高峰クラスにデビューしたRC181がコンストラクターズタイトルを獲得(この年は史上初となる50、125、250、350、500の5クラスを制覇)し、その後、NS500、NSR500という2ストロークエンジンを搭載した500ccGPマシンを投入して12回、4ストロークエンジン搭載のMotoGPクラスになってからは、RC211V(5気筒990cc)、RC212V(4気筒800cc)、RC213V(4気筒1000cc)で12回のコンストラクターズタイトルを獲得しています。
この間、Hondaは21回のライダーズチャンピオンを獲得し、今季はともに史上最多となる22回目のライダーズタイトルと26回目のコンストラクターズタイトルの記録更新に挑みます。
カタールGPは、04年に第1回大会が行われ、08年には史上初のナイトレースとして開催され、大きな話題となりました。11年からは、夜間の作業を軽減するため、通常3日間の開催を4日間に分散する変則スケジュールで行われてきましが、18年以降は、ナイトセッションの走行時間を減らし、セッション開始時間を早める処置が取られ、再び3日間開催となりました。
20年大会は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、シーズンを通し、大幅に日程が変更となりました。開幕戦となったカタールGPも新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために入国制限を実施しました。そのため直前の公式テストを終えて母国に帰国していたMotoGPクラスのライダー、関係者の再入国ができず、Moto2クラスとMoto3クラスだけで開催されました。
その経験を活かし、21年はカタールで事前テストを実施し、同国の協力で関係者に優先的にワクチンを接種するなど、2年連続で大幅に日程が変更になる中、2週連続(カタールGP、ドーハGP)で大会が開催されました。コロナ禍の中で3年目となった今年は、ここまですべて予定通りに公式テストが行われ、スケジュール通りに開幕戦カタールGPを迎えることになりました。
今季、MotoGPクラス10年目のシーズンを迎えるマルク・マルケスは、これまで通算8回のタイトルを獲得しています。10年に125ccクラス、12年にMoto2クラスでタイトルを獲得。MotoGPクラスに初参戦した13年は、史上最年少記録となる20歳で初優勝、シリーズチャンピオンを獲得するなどMotoGPの歴史を大きく塗り替え、19年までの7年間で6回のタイトルを獲得しました。
20年のMotoGPクラス初戦となった第2戦スペインGPで、マルケスは決勝レースで転倒し、右上腕を骨折。そのケガの治療とリハビリでシーズンに参加することができませんでした。昨年もカタールで開催された2大会に出場できず、カタールGPは3年ぶりの出場となります。
今年は、マレーシア・セパン、インドネシア・マンダリカで行われた5日間の公式テストに参加し、大幅に改良されたRC213Vで着実にセットアップを進めました。マルケスは昨年のシーズン終盤のトレーニング中に右目を負傷し、2カ月間トレーニングができませんでした。その身体作りの遅れを取り戻すため、ウインターテストでは多くの周回を刻むことに集中しました。これまでマルケスはMotoGPで59勝を挙げており、59年にホンダが世界選手権に参加して以来、もっとも大きな功績を残すライダーとなりました。ルサイルでは12年のMoto2と14年のMotoGPの2度優勝しています。今年はルサイルで最高峰クラス2度目の優勝を目指します。
Repsol Honda Team加入2年目を迎えるポル・エスパルガロは、セパンとマンダリカでのテストですばらしい走りを見せました。最初に行われたセパンテストでは、大接戦の中で10番手タイム。テスト2日目の雨の影響でアタックできないままテストを終えましたが、22年型RC213Vに大きな手応えを感じました。そして、3日間行われたマンダリカテストでは、1日目と3日目にトップタイムをマークするなど、順調にセットアップを進めました。昨年はPP1回、2位表彰台1回という成績でしたが、今年はチャンピオン争いに挑みます。
MotoGPクラスで参戦5年目を迎える中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、念願の初表彰台獲得に向けて、5日間のウインターテストに挑みました。今年のRC213Vは車体、エンジンともに大幅に改良が施され、中上はMotoGP史上最多のの21戦という長丁場を見据え、車体のテストに多くの時間を割きました。サーキットやコンディションの違いに適応できるデータを十分に蓄積し、今季は初の表彰台獲得とチャンピオン争いに挑みます。シーズン開幕前の2月には30歳の誕生日を迎えました。これまでMotoGPクラスでは、表彰台にあと一歩と迫る4位を3回獲得。開幕戦カタールGPの舞台となるルサイルは、中上が得意とするサーキットの一つ。開幕戦から表彰台獲得が期待されます。
マルク・マルケスの弟でMotoGPクラス3年目のシーズンを迎えるアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、デビューした20年に2度の表彰台を獲得するすばらしい成績を収めました。昨年は思うような結果を残せませんでしたが、今年は大きな飛躍が期待されます。ウインターテストではロングランに集中し、すばらしい走りを見せました。2年ぶりの表彰台獲得とMotoGP初優勝が期待されます。アレックスは、14年にMoto3クラス、19年にMoto2クラスでタイトルを獲得しています。今年も兄マルクとともに兄弟の活躍が話題になることは間違いありません。
カタールGPは、今年で20回目の開催(昨年のドーハGPを含む)となります。舞台となるルサイル・インターナショナル・サーキットは、一周5.380km。中高速コーナーが連続するハイスピードサーキットで、1.068kmのロングストレートでは、最高速度が360km/hを超えます。今年も開幕戦から、MotoGPクラスのスピード感あふれる戦いが世界のレースファンを魅了することは間違いありません。