シーズン終盤戦に入って、日本GP、タイGP、オーストラリアGPと不安定な天候に選手やチームは苦しめられましたが、マレーシアGPもFP1がドライ、FP2がウエットという難しい一日でした。
その状況の中で、前戦オーストラリアGPで右腕の再手術から復帰4戦目にして2位表彰台に立ったマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、順調にタイムを短縮して3番手。午後のセッションがウエットになったため、3番手で初日を終えました。
FP1でマルケスは、フロントにソフト、リアにミディアムを装着してコースイン。2分00秒台まで着実にタイムを短縮しました。そしてセッション終盤には、フロントにミディアム、リアにソフトを入れてアタックを行い、1分59秒台を2周連続でマークしました。このセッションでは、トップから3番手のマルケスまでが、わずか、0.144秒差。予想通り、大接戦となりました。
午後のセッションでは、さらにタイム短縮とタイムが接近することが予想されましたが、激しいスコールのため予定より約1時間遅れでFP2が開始され、タイムを更新することはできませんでした。このセッションは、終盤にかけて路面が乾き始め、スリックタイヤで走行した選手が上位につけましたが、マルケスはレインタイヤで走行を続け、こうしたコンディションでレインタイヤがどのくらいもつのかを検証し、不安定な天候になったレースの準備も進めました。
アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が初日13番手とまずまずのスタートを切りました。しかし、セッション中はタイヤのグリップに苦戦し、FP1を終えて大きくセッティングを変更しましたが、FP2がウエットコンディションになったことで変更したセッティングを確認することはできませんでした。しかし、ウエットセッティングでは快調にラップを刻み、セッション終盤にはスリックタイヤを入れてセッション3番手に浮上しました。2日目のフリー走行では、今日できなかったドライセッティングの変更の確認を行い、ダイレクトでのQ2進出を目指します。
ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は、午前中のFP1では2分01秒200で16番手でした。そのため、午後のFP2では、タイム短縮とポジションアップに挑む予定でしたが、ウエットコンディションのためにそれを果たすことはできませんでした。しかし、ウエットセッティングでは好調でセッション終盤までレインタイヤで連続周回をこなし、不安定な天候が予想される決勝日に向けて、マルケス同様、タイヤテストに取り組みました。そしてセッション終盤にはスリックタイヤに変更してコースインするなど、あらゆる状況でどのタイヤが適しているかを確認しました。このセッションでは基準タイムをクリアできませんでしたが、FP1のタイムで16番手。2日目のFP3ではダイレクトでのQ2進出を目指します。
ポル・エスパルガロはFP1でスロー走行を行い、他のライダーを危険な状態にしたということで3グリッド降格のペナルティーを受けました。
右手を負傷している中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)の代役として3戦目を迎える長島哲太は、24番手でした。ドライコンディションとなったFP1は24番手でしたが、ウエットになったFP2では20番手と着実にタイムを上げることに成功しました。長島は、今大会もRC213Vでセパンを走るのが初めてですが、ドライ&ウエットで着実にタイムを更新しました。
マレーシアGPの舞台となるセパンは、今年2月に2日間の公式テストが行われました。そのためレギュラーライダーは約8か月ぶりの走行でしたが、長島はMoto2クラスで出場した19年大会以来3年ぶりの走行でした。それを考慮すれば、まずまず順調な一日でした。2日目のFP3と予選では、さらにタイム短縮とポジションアップを目指します。