Honda勢は、これまで6回タイトルを獲得しているマルク・マルケスとHondaで2年目を迎えるポル・エスパルガロ(ともにRepsol Honda Team)、LCR Honda IDEMITSUで5年目の中上貴晶、LCR Honda CASTROLで2年目のアレックス・マルケスの4選手が参加しました。
セパン・サーキットは、1999年に完成。マレーシアGPの会場になるだけでなく、一年中、温暖な気候のために、ウインターテストの舞台として定着しました。しかし、コロナ禍の中で昨年はウインターテストが初めてキャンセルとなり、シーズン終盤に行われるマレーシアGPも、20年、21年と2年連続で開催中止となりました。
セパン・サーキットは、バラエティに富んだコーナーが続き、長いストレートが2本あることから、MotoGPマシンのテストには最適のコースです。22年型RC213Vは大幅にマシンが改良されており、Hondaにとっては重要なテストとなりました。
マルク・マルケスとポル・エスパルガロは、昨年9月にイタリアのミサノで行われたテストで、22年型RC213Vのプロトタイプに乗りました。このときに両選手は、22年型が正しい方向に進んでいることを確信しました。その最大の狙いは、ミシュランの最新スペックのリアタイヤのポテンシャルを最大限に引き出し、ダウンフォースの空力特性の大幅な変更で、フロントグリップ向上を狙ったものだったからです。今回のテストでマルケスは、ハードにプッシュすると、すぐにラップタイムが向上するポジティブなフィーリングを得ることに成功しました。
マルケスがRC213Vに乗るのは、昨年10月のエミリア・ロマーニャGP以来、4か月ぶりのことでした。このレースでは、マルケスとエスパルガロが1-2フィニッシュを達成しましたが、そのレース終了後、マルケスはオフロードのトレーニング中に転倒し、この転倒で右目の視力に問題を抱え、終盤の2戦を欠場しました。
それ以来のMotoGPマシンでのライディングとなりましたが、2日間で111ラップをこなし、着実にペースをあげることに成功。テスト2日目の午後はスコールが来たことでタイム更新のチャンスを逃しましたが、トップとの差は0.201秒差。セッション終盤の乾き始めた難しい路面の中では最速ラップを刻み、総合では8番手タイムも、これからの走りに大きな期待が集まりました。
2013年のMoto2チャンピオンのエスパルガロは、スペインのヘレスで昨年11月に行われたテストに参加しており、新型RC213Vでの走行はこれが3回目。エスパルガロは、リアグリップが改善された最新MotoGPマシンに大きな期待を抱いています。今回のテストは、2日目の午後にスコールが来たことですべてのメニューを消化できませんでしたが、次のインドネシアテストに向けてしっかり準備を進めました。
MotoGPクラスで5年目を迎える中上貴晶は、2年前のセパンテストでは、19年のシーズン終盤戦に行った右肩手術のため十分な状態ではありませんでした。しかし、万全の体調でテストに挑んだ今年は、2日間で104ラップを消化。着実にタイムを短縮しました。2日目のスコールでタイム更新は果たせませんでしたが、用意された2台の新車の確認作業を終え、続く、インドネシアのマンダリカテストでは、コース攻略とマシンのセットアップを進めます。
マルク・マルケスの弟アレックス・マルケスは、2日目にレースシミュレーションを実施、すばらしいペースで連続周回をこなしました。19年のMoto2チャンピオンのマルケス弟は、デビューシーズンの20年には2回の表彰台を獲得していますが、昨年は一度も表彰台に立つことができませんでした。今年はニューマシンとの相性もよさそうで、今年の活躍を期待させる初テストとなりました。
Hondaはこれまで最高峰クラスでは、ライダーズタイトルを21回、コンストラクターズタイトルは26回獲得と、ともに最多記録を持っていますが、今年はその更新に向けていいスタートを切ることができました。
次回のインドネシア・マンダリカテストは、11日から13日までの3日間で開催されます。