マルク・マルケスに代わりステファン・ブラドルがアルゼンチンGPに出場
第3戦アルゼンチンGPが、4月1日(金)~4月3日(日)までの3日間、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの北西約1,200kmに位置する、アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドで行われます。過去2年はコロナ禍の中で大会が中止となり、今年は3年ぶり、7回目の開催となります。
テルマス・デ・リオ・オンドは、サンティアゴ・デル・エステロ州の州都サンティアゴ・デル・エステロから約65kmに位置し、温泉地として知られています。また、このサーキットからはアンデス山脈の雄大な景色を望むことができます。
アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドが完成したのは2008年。その後、2013年に大幅な改修が行われ、同年8月には初の世界選手権となる世界ツーリングカー選手権(WTCC)が開催され、翌14年にロードレース世界選手権がこのサーキットで初めて開催されました。
テルマス・デ・リオ・オンドは人口2万5,000人の小さな街ですが、アルゼンチンGPには大勢のファンが詰めかけ、この国の一大イベントの一つに成長し、地元の経済発展に寄与してきました。サーキットのスタンドの収容人数は約6万人。3日間合計で16万人以上を集める大会に成長し、レースウイークを通じて、常に満員のファンがスタンドを埋める大会となりました。3年ぶりとなる今年は、前売りの販売も好調で、19年大会をしのぐファンが集まることが予想されます。
アルゼンチンGPのスタートは、ブエノスアイレス郊外のアウトドローモ・オスカル・ガルベスで1961年に初めて開催され、1999年まで断続的に計10回開催されました。14年にテルマス・デ・リオ・オンドに舞台を移してから今年で7回目となり、アルゼンチンGPは通算17回目の開催となります。
アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、ほぼ平坦な土地に作られた一周4.806kmのコース。メインストレートが1.076kmと長く、中高速コーナーが続くシンプルなレイアウトとなっています。同サーキットでは、過去6大会でHonda勢が4勝。マルク・マルケス(Repsol Honda Team)が14年、16年、19年、カル・クラッチロー(当時LCR Honda CASTROL)が18年に優勝しています。また、Honda勢が優勝できなかった15年と17年もカル・クラッチロー(ともに3位)が表彰台に立っており、同サーキットでHondaはすばらしい結果を残してきました。
3年ぶりの大会となる今年は、過去3勝を挙げているマルク・マルケスが、残念ながら、前戦インドネシアGPの朝のウォームアップ走行で転倒した影響で今大会を欠場します。マルク・マルケスは、昨年のシーズン終盤戦、オフロードトレーニング中の転倒で視力障害が発生し2戦に欠場、シーズンオフは治療に努めました。今年は開幕戦カタールGPで5位。第2戦インドネシアGPでは今季初優勝が期待されましたが、タイヤのパフォーマンスをうまく引き出せず、朝のウォームアップで転倒を喫し、再び、物が二重に見える症状が出たことから今大会の欠場を決めました。代役としてテストライダーのステファン・ブラドルが出場します。
ブラドルは、20年から21年シーズンに掛けて、マルク・マルケスの代役として多くの大会に出場し重要な仕事をこなしてきました。さらに、20年のポルトガルGPでは7位、フランスGPで8位とテストライダーとは思えないすばらしい結果を残しています。3年ぶりの開催となるテルマス・デ・リオ・オンドは、16年以来となりますが、初開催となった14年にはLCR Honda MotoGPから出場し5位、16年には7位という結果を残しています。今大会もマルク・マルケスの代役として大きな仕事が期待されます。
Hondaに移籍して初のアルゼンチンGPとなるポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は、今季2度目の表彰台と初優勝を目指します。アルゼンチンGPでは、過去6大会に出場し、16年の6位をベストに確実にポイント獲得を果たしてきました。
今年はウインターテストから好調で、開幕戦カタールGPでは3位表彰台を獲得、第2戦インドネシアGPでは雨のレースで12位に終わりました。インドネシアGPは、ドライコンディションとなったフリー走行、予選ではタイヤのパフォーマンスを引き出せず苦戦。決勝はウエットコンディションとなり、15番手(予選16番手)という厳しいグリッドから厳しい戦いを強いられました。テルマス・デ・リオ・オンドは、Hondaと相性のいいサーキットです。前戦インドネシアGPは、ウインターテストの好結果を決勝に反映できませんでしたが、今大会は念願の初優勝が期待されます。
18年からMotoGPクラスに参戦する中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、テルマス・デ・リオ・オンドで3回目の大会を迎えます。デビューした18年は13位でしたが、19年はそれまでの自身ベストリザルトとなる7位でフィニッシュしています。過去2年はコロナ禍で走れませんでしたが、「好きなコース」とコメントする同地での大会で念願の初表彰台を目指します。今季は開幕戦カタールGPで10位。第2戦インドネシアGPはウエットレースに苦戦して19位という結果でしたが、今大会の巻き返しに期待です。
MotoGPクラスで3年目のシーズンを迎えるアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、同サーキットをRC213Vで走るのは初めてとなります。初開催となった14年はMoto3クラスで2位表彰台を獲得。Moto2クラスではチャンピオンを獲得した19年に3位表彰台に立っています。アレックス・マルケスは、開幕戦カタールGPは転倒リタイア、雨となった第2戦インドネシアGPは13位という結果でした。序盤の2戦は、ウインターテストの好走を結果につなげることができませんでしたが、テルマス・デ・リオ・オンドは得意とするサーキットの一つだけに、今季初表彰台、初優勝を目指します。