マルケス兄弟とポル・エスパルガロがホームグランプリに挑む
第6戦スペインGPが4月29日(金)から5月1日(日)までの3日間、イベリア半島の南西部に位置するヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで開催されます。同サーキットは一周4.423km。バラエティーに富んだ大小13のコーナーがあり、そのすべてがパッシングポイントと言っても過言ではなく、毎年厳しい戦いが繰り広げられます。今年は第5戦ポルトガルGPからの連戦となりました。
ヘレスは、1987年に初めてグランプリが開催されました。以来、スペインGPの舞台として定着し、同地で開催されるのは今年で36回目となります(88年はハラマで開催)。コロナ禍の中で4か月間シリーズが中止となった2020年には、7月に第2戦スペインGPと第3戦アンダルシアGPとして、グランプリ史上初の同一サーキットでの2連戦が開催されました。昨年もコロナ禍の中で日程変更が続きましたが、例年通り、4月下旬から5月にかけて開催されました。
ヘレスのあるアンダルシア地方は、一年を通じて温暖な気候で、平常時はウインターテストの舞台となります。今年はマレーシアとインドネシアで行われ、ヘレスではテストは行われませんでした。しかし、選手、チームともに経験値の高いサーキットであり、初日からレベルの高い走りが予想されます。
Hondaは、これまでヘレスで通算22勝を達成しています。12年はケーシー・ストーナー、13年はダニ・ペドロサ、14年はマルク・マルケスとRepsol Honda Teamが3年連続で優勝しました。さらに、15年、16年は、マルケスが3位、2位と表彰台に登壇。17年はペドロサがポール・トゥ・ウインを達成し、マルケスが2位。18年はマルケスが14年大会以来、2度目の優勝、19年は3度目の優勝を達成し、Repsol Honda Teamは06年から14年連続でスペインGPで表彰台に立ち続け、Repsol Honda Teamの大会連続表彰台記録を更新しました。しかし、コロナ禍になってからは表彰台を獲得しておらず、今年は3年、4大会ぶりの優勝と表彰台を目指します。
これまでマルケスは、スペインGPで素晴らしい結果を残してきました。MotoGPクラスにデビューした13年から19年まで連続で表彰台に登壇。13年は2位、14年に優勝、15年2位、16年3位、17年2位、そして18年は大会2度目の優勝を達成し、19年はヘレスで3度目の優勝を達成しています。12年のMoto2クラス時代の2位を含めて8年連続で表彰台に立ち、地元スペインのファンの期待に応えました。しかし、20年のスペインGPの決勝で転倒して右腕上腕を骨折、連戦となったアンダルシアGPに復帰するも決勝をキャンセル。昨年は怪我からの復帰2戦目で9位という結果でした。
今季、5戦を終えて総合11位につけるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)。前戦ポルトガルGPは不安定な天候の中でセットアップをまとめきれず6位でしたが、今大会は、今季初表彰台、初優勝に挑みます。
チームメートのポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は、ホームGPで今季2度目の表彰台と初優勝に挑みます。これまでヘレスでは、10年に125cc、12年にはチームメートのマルク・マルケスを抑えてMoto2クラスで優勝。MotoGPクラスでは15年の5位が最高位で、Repsol Honda Teamで初めて出場した昨年は10位でした。
今年はウインターテストでトップタイムをマークし、開幕戦カタールGPで3位表彰台獲得と好調なスタートを切りましたが、第2戦インドネシアGPはウエットコンディションに苦戦して12位、第3戦アルゼンチンGPは表彰台争いに加わるも転倒リタイア。第4戦アメリカズGPは体調不良で13位、前戦ポルトガルGPはタイヤパフォーマンスを活かし切れず9位と思うような結果を残せていません。今大会はベストな状態でベストリザルトに挑戦します。
前戦ポルトガルGPでベストグリッドの7番手から今季ベストの7位でフィニッシュしたアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が、今季初表彰台、初優勝に挑みます。今年はウインターテストから第4戦アメリカズGPまで、やや波のある走りが続いていましたが、前戦ポルトガルGPでは不安定な天候の中で常に安定した走りを見せて、決勝ではRepsol Honda Teamの2人とグループを結成、レース終盤は兄マルクと接戦を繰り広げ、世界中のレースファンを喜ばせました。
これまでヘレスでは、Moto2時代の17年にMoto2クラス初優勝を達成し、19年のMoto2クラスのタイトル獲得につなげました。MotoGPクラスでは、デビューシーズンの20年の2連戦では12位&8位とまずまずの結果を残しましたが、昨年は転倒リタイアに終わっています。今年は前戦ポルトガルGPの勢いをキープし、さらに上位を狙います。
チームメートの中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、ここまでの5戦、思うような結果を残せず、フラストレーションをためています。開幕戦カタールGPは10位。第2戦インドネシアGPはウエットレースに苦戦して19位、第3戦アルゼンチンGP12位、第4戦アメリカズGP14位、前戦ポルトガルGPは転倒し再スタートを切って16位でした。車体のセットアップに苦戦し、不安定な天候などがそれに拍車を掛けましたが、シーズンを通じてもっとも得意とするヘレスで流れを変える意気込みです。
ヘレスでは、MotoGPクラスにデビューした19年に9位、20年の2連戦では、スペインGPで10位、アンダルシアGPで4位、昨年の大会も4位とヘレスで2戦連続4位になり、表彰台獲得にあと一歩と迫っています。今年のスペインGPは、自身にとって大きなターニングポイントのレースにする意気込みです。