MotoGP史上最長シーズンの最終戦。中上貴晶が復帰
2022年のシーズン最終戦となる第20戦バレンシアGPが、11月4日(金)から6日(日)までの3日間、スペイン・バレンシアのサーキット・リカルド・トルモ(以下、バレンシア・サーキット)で行われます。シーズン20戦は、これまでで最多の開催数となります。
バレンシアGPは1999年に第1回大会が開催され、今年で24回目を迎えます。新型コロナ感染拡大で変則スケジュールとなった20年シーズンは、バレンシア・サーキットで、ヨーロッパGPとバレンシアGPが2週連続で開催されたため、20年のヨーロッパGPを含めると、バレンシア・サーキットでのグランプリ開催は25回目となります。
バレンシア・サーキットは、一周4.005kmのテクニカルコースです。スペインGPが開催されるヘレス、マレーシアGPが開催されるセパン同様、ウインターテストの舞台として定着しており、そのためライダーの経験値が高く、チームの持つデータも豊富で、初日からレベルの高い走りが繰り広げられます。
コースの特徴は、左回りで低中速コーナーが連続し、メインストレートを除いて、常にマシンがどちらかにバンクしている難易度の高いレイアウトです。また、11月のバレンシアは不安定な天候になることが多く、チームの総合力が要求されます。今年はHonda勢にとって苦戦が続く厳しいシーズンとなりましたが、来季に向けて手応えある大会にする意気込みです。
19戦を終えてHonda勢トップの総合12位につけるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、実に3年ぶりの大会出場となります。20年は7月に行われたスペインGPで右腕上腕を骨折し、それ以降、シーズンを通して欠場しました。21年は、ケガから復帰してシーズン3勝を挙げましたが、3勝目を達成したエミリア=ロマーニャGP後のトレーニングで負傷してシーズン終盤戦を欠場することになり、バレンシアGPには出場できませんでした。3年ぶりのバレンシアGP出場となるマルケスは、これまで数々の名勝負を繰り広げてきている大会だけに、今季2回目の表彰台と今季初優勝を目標に全力を尽くします。
バレンシアGPは、シーズンを通してもっとも観客が集まる大会の一つです。3日間で約21万人のファンを集めた17年大会は、タイトル争いが最終戦までもつれ込み、この大会でマルケスは2年連続4回目のタイトルを獲得しました。また、18年は3年連続5回目、19年は4年連続6回目のタイトルを決めて、バレンシアGPに凱旋しています。
今年は、シーズン序盤のインドネシアGPをケガのために欠場し、その後、第8戦イタリアGPを終えて右腕上腕の再手術を行ったため6戦を欠場。第15戦アラゴンGPで復帰してから今大会が6戦目となります。今年は19戦中7大会を欠場していますが、復帰2戦目の第16戦日本GPでは復帰後初のPPを獲得、第18戦オーストラリアGPでは2位になり今季初表彰台を獲得しています。3年ぶりとなるバレンシアGPでは、地元ファンの前で今季最高の走りを見せる意気込みです。
19戦を終えて総合16位のポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team )は、今大会がRepsol Honda Teamで最後のレースとなります。2年間ファクトリーチームで戦ってきたポル・エスパルガロは、最後のレースを最高の成績で終える意気込みです。今年は開幕戦カタールGPで3位表彰台を獲得し、好調なスタートを切りましたが、その後は思うようなレースができませんでした。Repsol Honda Teamの2年間の集大成となる今大会のポル・エスパルガロの走りに注目です。
ポル・エスパルガロは、これまでバレンシアGPでは、MotoGPで3回の表彰台を獲得しています。125ccクラス(現在のMoto3クラス)時代は2回の表彰台を獲得しており、今大会は2年ぶりの表彰台獲得と初優勝を目指します。
アレックス・マルケス(LCR Honda Castrol Honda RC213V)も、今大会がHondaチームでの最後のレースとなります。マルク・マルケスの弟のアレックスは、14年にHondaでMoto3チャンピオンを獲得、19年にカレックスでMoto2チャンピオンに輝き、最高峰クラスでは、Repsol Honda Teamに1年、LCR Honda CASTROLに2年と、3年間Hondaチームに所属しました。これまで2回の表彰台を獲得しており、Honda最後のレースで3回目の表彰台と初優勝を目指します。
第15戦アラゴンGPで右手小指と中指を負傷し、第16戦日本GPに出場した後、手術を受けて3戦を欠場した中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が、今大会に復帰します。中上は木曜日にメディカルチェックを受け、金曜日のFP1から走行する予定です。
中上は、2週連続開催となった20年大会では、ヨーロッパGPではフロントローから4位。続くバレンシアGPでは、表彰台獲得を目前に転倒を喫しています。昨年は転倒リタイアに終わっており、復帰戦となる今大会は今季ベストを目標にポイント獲得に挑みます。