マルク・マルケスが好相性のオーストラリアGPへ挑む
第18戦オーストラリアGPが、10月14日(金)から16日(日)までの3日間、メルボルン近郊のフィリップアイランド・サーキットで開催されます。今年で32回目を迎えるオーストラリアGPは、1989年に第1回大会がフィリップアイランドで行われました。その後、シドニー郊外のイースタンクリークへと舞台を移しますが、97年から再びフィリップアイランドで行われるようになりました。2020年、21年は新型コロナウイルスの感染拡大で中止となり、今年は3年ぶりの開催となります。
フィリップアイランドは、メルボルン市内から約150km、車で約2時間の距離にあります。東西約15km、南北約5kmの小さな島で、オーストラリア大陸とは橋でつながっています。島内にはコアラやペンギンの保護区があり、メルボルン近郊の観光スポットとしても知られ、連日、大勢の観光客が訪れます。
フィリップアイランドは、海に囲まれていることから天候が変わりやすく、気象の変化が選手たちを悩ませることになります。しかし、自然に恵まれ、海に囲まれたロケーションは、フィリップアイランドの最大の特徴で、その雄大な風景は、世界中のレースファンを魅了してきました。
一周4.448kmのサーキットは、ハイスピードコースが連続するレイアウトで、エンジンの性能差が生まれやすい加速区間がほとんどありません。アクセルの全開率が高く、スリップストリームを使い合うことから、エンジンの性能差が出にくく、毎年し烈なバトルが繰り広げられます。
今大会、右腕の再手術から復帰して4戦目を迎えるマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、これまですばらしい成績を残してきました。10年には125ccクラスで優勝し、初の世界タイトルを獲得。11年と12年にはMoto2クラスで表彰台に立ちました。13年にデビューした最高峰クラスでは、これまで7戦して、2015年、17年、19年の3大会で優勝しています。
マルケスは、20年シーズンのMotoGPクラス開幕戦となった第2戦スペインGPで右腕上腕部を骨折しました。今年は第8戦イタリアGP終了後の6月上旬に4度目の手術を受け、4カ月間の休養を経て、第15戦アラゴンGPに復帰を果たしました。アラゴンGPはリタイアでしたが、日本GP4位、タイGPでは優勝者と3秒差の5位と着実に回復していることを感じさせています。今大会はマルケスが得意とする左回りのサーキット。今季初、復帰後初の表彰台が期待されます。
ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)も、過去、優勝経験のあるフィリップアイランドで今季ベストを目指します。ポル・エスパルガロは、12年にHondaエンジンを搭載したMoto2クラスで、2位のマルケスに16秒差をつけて優勝。13年は大会2連覇を達成し、Moto2クラスのタイトルを獲得しました。
Repsol Honda Teamに移籍して2年目のシーズンを迎えるポル・エスパルガロは、これまでMotoGPクラスでの最高位は16年の5位。フィリップアイランドをRC213Vで走るのは初めてとなりますが、今大会は4戦連続ポイント獲得と今季2回目の表彰台獲得に挑みます。
アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、日本GP(もてぎ)、タイGP(ブリーラム)に続き、今大会もRC213Vで初めて走るサーキットとなります。これまでフィリップアイランドでは、Moto3クラスで参戦していた14年に2位。Moto2クラス時代は17年の6位がベストリザルトです。
最高峰クラスは初めての経験となりますが、どんなレースを見せるのか注目されます。前戦タイGPでは、20番グリッドからすばらしい追い上げを見せて8位でフィニッシュしました。今大会は、第5戦ポルトガルGPで獲得した今季ベストリザルトの7位更新と2年ぶりの表彰台獲得に挑みます。
右手の負傷のため前戦タイGPを欠場した中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、今大会も欠場することになりました。右手小指の皮膚移植を行い、その回復を待って復帰する予定です。中上の代役として、タイGPに続き、長島哲太が出場します。MotoGPマシンの開発を担当する長島は、第16戦日本GPにTeam HRCからワイルドカードで出場しました。このレースは転倒リタイアでしたが、タイGPでは、初めて経験するウエットコンディションの中、22位でフィニッシュしました。
長島はMoto2クラスでフル参戦6シーズン。19年の大会では10位でフィニッシュしています。