IAS 決勝
IAS 2024
Round 8

RTL ELECTRICを駆る藤波が3連勝し、2位の小川は14回目の全日本タイトルを獲得

jp 大阪

11月3日(日)、全日本トライアル選手権(JTR)の第8戦、シティ・トライアル・ジャパン大会が大阪市中央公会堂前中之島通りで開催されました。第7戦の宮城・SUGO大会終了時点での総合ランキング上位10人のみが参加できる今大会。これが、JTRの最高峰である国際A級スーパー(IAS)クラスの2024年シーズンの最終戦となります。これまでの全日本のシリーズとは大きく異なる特色がある最終戦となり、そのためなにかが起きる大会としても注目されてきました。

RTL ELECTRICを駆る藤波が3連勝し、2位の小川は14回目の全日本タイトルを獲得

今大会の参加選手は、負傷で出場できない野崎史高(ヤマハ)を除く9人。用意された4つのセクションを往路、復路で攻略する計8セクションにトライし、上位6人が2セクションを往復するファイナルに進出するシステムです。

第7戦で2連勝を飾って総合順位を8位まで上げた藤波貴久(Team HRC)は、総合順位10位の黒山陣(ヤマハ)、9位の久岡孝二(HRCクラブMITANI)に次いで難セクションにトライします。第1セクション(復路は第8セクション)と第4セクション(復路は第5セクション)は大木の丸太、第2セクション(復路は第7セクション)はコンクリートブロック、第3セクション(復路は第6セクション)は木材素材のセクションとなっていました。前日にライダーが会場に到着したころは大雨で、丸太が滑りやすくなっていましたが、大会当日は朝から好天に恵まれ、各素材もグリップを回復していました。

3人目のトライということで、ライバルの手のうちが見えない段階でのトライに、やはり緊張を隠せない藤波は、第3セクションで1回足を着き、往路の4セクションを減点1点で通過します。これを減点2点で追うのが、藤波の後にトライした小川毅士(ベータ)、氏川政哉(ヤマハ)、そして最後にトライをした小川友幸(TEAM MITANI Honda)でした。小川友幸は黒山健一(ヤマハ)と総合優勝争いを展開しています。ここまで僅差の3ポイント差で小川が総合ランキング首位に位置しており、今大会で上位に入った方がタイトルを獲得するであろうという勝負になりました。

復路の4セクションも、藤波は力強いトライをみせます。第7セクションでやはり1回の足着きがあったものの、ここまでトータルの減点を2点とし、後続のトライを待ちます。往路で藤波と1点差だった小川毅士は2回の減点5点を受け、トータル減点は13点。小川友幸も氏川も減点5点が1つあり、トータルは減点7点となりました。藤波にとっては、優位となる展開です。

しかし、往路で減点5点を受けた小川友幸に対し、トップ争いから脱落したと思われた黒山健一が、復路の4セクションをオールクリーン。小川友幸に1点差の4番手まで追い上げました。

ファイナルに進出したのは、藤波、小川友幸、氏川、黒山健一、武田呼人(ガスガス)、小川毅士の6人で、小川毅士からのトライとなりました。ファイナルでは、第1セクションと第2セクション、そして第7セクションと第8セクションが用いられます。

武田は第1、第2セクションと連続で5点の減点を喫して6番手に順位を落としてしまい、5番手に上がった小川毅士も合計4店の減点を受けて上位争いからは脱落。そして氏川も第7、第8セクションで1点、5点と減点し、やはり上位争いから脱落してしまいました。

これによって、3位までの表彰台は藤波、小川友幸、黒山健一の3人に占められることが濃厚となりました。しかし、彼らもまた大きな失敗をしてしまえば、まだまだ下位に転落する可能性が残っています。

先にトライした黒山健一が、4つのセクションをすべてクリーンで攻略。後続の藤波と小川友幸にプレッシャーを投げつけます。

そして残る2人のトライ。まず小川友幸は、足を一回でも着けば黒山健一と同点となり、クリーン数の差で逆転を許し、順位が変わるどころかタイトルまでも失うという状況でのトライです。終盤、高い丸太からゆっくり向きを変えて低い丸太にマシンを下ろすポイントで、小川友幸はバランスを崩し、向きを変えないまま低い丸太に一気に飛び降りるかたちになりました。しかし小川は平然と対応し、足つきなしで走破。最終第8セクションでも見事なクリーンを叩き出し、チャンピオンを獲得しました。

そして、最後の藤波のトライが始まります。黒山健一、小川友幸がともに4セクションをオールクリーンで終え、藤波にも注目が集まりました。日本のファンの前でみせる最後のトライともなるはずですが、さまざまな思いを藤波の気迫が上書きし、見事にファイナルの4セクションをクリーンでまとめました。

藤波は21年ぶりの全日本選手権で、デビューしたばかりの電動トライアルバイクのプロトタイプマシンRTL ELECTRICを駆り、出場した3戦で全勝。小川友幸は前人未到の全日本12連覇、通算で14回目の全日本タイトル獲得を決めました。


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藤波 貴久
藤波 貴久 27
Team HRC
選手としてトライアル世界選手権に出場していた時代、Repsol Honda Teamの監督としてトニー・ボウ選手やガブリエル・マルセリ選手を後押しする最近の活動と、それぞれ異なる難しさがありますが、今回の3大会は絶対に勝たなければいけない戦いで、今までにない緊張感でした。3戦目でしたが、今回は今回でやはり難しい戦いとなりました。序盤に1点の減点を受けた時点で、今日は勝てないかなという思いもありました。ファイナルまで5点差をつけることができていましたが、5点差はこちらの1回の減点5点で逆転を許す点差ですから、やはり緊張を解くことはできないまま、最後までトライを続けました。なんとか勝てて3戦全勝です。Hondaさんの期待や開発陣の労に報いることができて、本当によかったです。このスタッフでなければ、今日の結果は得られなかったと思います。そして、もうかなわないと思っていた日本のファンの前でのトライが実現できたというのは、これもたいへんありがたいことでした。最後のフジガス、ありがとうございました。

小川 友幸
小川 友幸 1
TEAM MITANI Honda
かつてない厳しい戦いでした。最終戦まで総合優勝を僅差で争っていた戦いはありましたが、1回の足着きでチャンピオンの行方が変わる戦いというのは、初めて経験したのではないかと思います。それだけに、いつもの比ではない緊張感で、どんなに集中し気持ちを落ち着かせても、平常心とはほど遠い状態で走っていました。今年はシーズン途中にケガがあり、一時は参戦をあきらめなければいけないかもしれないという状況だったのですが、そんな状況から参戦ができて、結果も上向かせることができ、そして最後に連覇を更新することができて、本当によかったです。

IAS 決勝リザルト

Pos.

Num.

ライダー

マシン

総減点

クリーン数

1

27

藤波 貴久

Honda

2

10

2

1

小川 友幸

Honda

7

9

3

3

黒山 健一

ヤマハ

8

9

4

2

氏川 政哉

ヤマハ

13

7

5

5

小川 毅士

Beta

17

5

6

18

武田 呼人

ガスガス

19

5

9

7

久岡 孝二

Honda

27

1


IAS ポイントランキング

Pos.

Num.

ライダー

マシン

総合ポイント

1

1

小川 友幸

Honda

127

2

3

黒山 健一

ヤマハ

120

3

2

氏川 政哉

ヤマハ

111

4

5

小川 毅士

Beta

90

5

27

藤波 貴久

Honda

75

6

6

柴田 暁

TRRS

74

9

7

久岡 孝二

Honda

56

11

8

武井 誠也

Honda

36

12

10

田中 善弘

Honda

31

15

20

浦山 瑞希

Honda

9


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