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EWC 2023
Round 3

2023 鈴鹿8時間耐久ロードレース プレビュー

jp Suzuka Circuit

真夏の祭典「鈴鹿8時間耐久ロードレース」(鈴鹿8耐)が今年もやってきます。2020-21年と、新型コロナウイルスの影響で休止していた鈴鹿8耐は昨年、3年ぶりに開催され、感染対策の制約が残る中でも大きな盛り上がりをみせました。今年は制約が緩和されたことで、本来の鈴鹿8耐が帰ってくると大きな期待を集めています。

2023 鈴鹿8時間耐久ロードレース プレビュー

Hondaはこれまで、28回もの勝利を鈴鹿8耐で挙げており、1997年~2006年までは10連勝を記録するなど、輝かしい実績を残してきました。97年は伊藤真一/宇川徹がRVF/RC45を駆り、フルタイム開催での日本人ペア初優勝を達成。同ペアは1998年も勝利し連勝を飾っています。2002年にはVTR1000SPWを駆った加藤大治郎/コーリン・エドワーズが、通常7回のピットストップを6回に減らすことに成功し、未だ破られていない219周の最多周回数記録を樹立しました。昨年には、ワークスチームの「Team HRC」(高橋巧、長島哲太、イケル・レクオーナ)を結成し、Hondaとして2014年以来の勝利を、全車を周回遅れにする圧勝で飾りました。

ケガからの復活を果たした長島哲太

8月の本番に向けて、6月と7月の上旬に2回の公開テストが行われました。このテストに、「Team HRC」はCBR1000RR-R FIREBLADE SPを持ち込んで参加。7月のテストの前にはライダー体制が発表され、全日本ロードレース選手権ST1000クラスに参戦する高橋巧、スーパーバイク世界選手権(WSBK)のチャビ・ビエルゲ、イケル・レクオーナのラインナップに決定。テストはその3人に、HRC開発ライダーの長島哲太を加えた4人が走行しました。


長島哲太(Team HRC with 日本郵便)
長島哲太(Team HRC with 日本郵便)

長島は4月、鈴鹿でテストを行っていた際に負傷し、全治6ケ月と診断されました。8月開催の鈴鹿8耐参戦は絶望的だと思われていましたが、本人の強い希望もあり公開テストに参加。鈴鹿8耐ライダーとしてのパフォーマンスを示すことができるか、注目が集まりました。長島は約2ケ月ぶりのライディングとなりましたが、コースインしてすぐに2分6秒077の好タイムを記録。このタイムは2日間行われたテストの全体ベストタイムとなりました。長島はロングラン(レース時の担当周回数)のテストもこなし、鈴鹿8耐ライダーとして準備が整っていることを十分に示しました。

このときHRCの中では、鈴鹿8耐と同じ週末に行われるMotoGPイギリスGPでアレックス・リンスに代わってレクオーナを参戦させる計画が持ち上がっており、長島の仕上がり次第で結論を出そうとしていました。

HRCレース運営室長の桒田哲宏は「今回の鈴鹿8耐ライダーの選定にはとても苦心しました。どの選手を選んでもしっかりと結果を残してくれるライダーであると思っています。その中で、エントリーの時点では長島哲太選手はケガの回復具合が心配されていましたが、公式テストでの走り、その後の体調を見る限りでは、本番でも問題ないと判断しました。そのため、リンス選手の代わりにレクオーナ選手をMotoGPイギリスGPへと送り出すことができました」と言います。

7月25日には日本郵便株式会社が新たなパートナーとなることが発表され、エントリー名が「Team HRC with 日本郵便」に変更。鈴鹿8耐のラインアップは、高橋、長島、ビエルゲと正式に決まり、この3人で鈴鹿8耐連覇を目指すこととなりました。


高橋巧(Team HRC with 日本郵便)
高橋巧(Team HRC with 日本郵便)

最多タイ5勝目を狙う高橋 ビエルゲは初出場

現在、ライダー個人としての鈴鹿8耐の最多優勝記録は、Hondaワークスライダー宇川徹が5勝で単独1位ですが、今大会で高橋が勝てばその記録に並びます。「記録を意識してプレッシャーになっても仕方がないので、いつものように、勝つことだけを考えたい」と語った高橋。最多優勝記録に並ぶことができるのか、注目が集まります。長島は「今年、参戦できるレースは鈴鹿8耐だけと思っていたので、参戦できることがうれしい。精一杯に挑み連覇を狙います。高橋選手の記録更新にも貢献したい」と意気込みます。昨年はリザーブライダーとして鈴鹿8耐に帯同し、表彰台の真ん中に立つライダーたちを見上げていたビエルゲは「本戦を走ることができるのが楽しみだ」と話しています。


F.C.C. TSR Honda France
F.C.C. TSR Honda France

EWCタイトルに向けても重要な一戦に

鈴鹿8耐は、全4戦で争われているFIM世界耐久選手権(EWC)の第3戦として組み込まれています。鈴鹿8耐以外は、ル・マン、スパ・フランコルシャン、ボルドールとすべてが24時間耐久です。鈴鹿8耐ももちろん、シリーズタイトルを狙うチームにとっては重要な一戦となります。

2022年のEWCシリーズチャンピオンを獲得した「F.C.C. TSR Honda France」は、レギュラーライダーのジョシュ・フック、マイク・ディ・メリオ、アラン・テシェの3名で参戦します。開幕戦のル・マン24時間で優勝を飾り、2戦目のスパ24時間では2位と、連続で表彰台を獲得。ランキングでは1ポイント差の2位で、鈴鹿8耐を迎えます。


SDG Honda Racing
SDG Honda Racing

上位をうかがう全日本&アジア選手権勢

優勝実績のあるハルク・プロが母体の「SDG Honda Racing」は、全日本JSB1000クラスの名越哲平、スペインスーパーバイク選手権の浦本修充という昨年も同チームから参戦した2人に、今季から全日本ST1000クラスにステップアップした國井勇輝が加わる予定でしたが、トレーニング中に負傷。國井に代わって急きょ、アジアロードレース選手権(ARRC)ASB1000クラスに参戦する埜口遥希が加わりました。埜口は鈴鹿8耐初出場。これからのレース界を牽引する期待の3人が上位を狙います。


Honda Asia-Dream Racing with SHOWA
Honda Asia-Dream Racing with SHOWA

ASB1000に参戦中の「Honda Asia-Dream Racing with SHOWA」からは、モハメド・ザクワン・ビン・ザイディと、アンディ・ファリド・イズディハールに加え、ARRC 600クラスに参戦しているナカリン・アティラプワパが挑みます。ザイディは昨年のASB1000チャンピオンであり、アンディもナカリンも海外レース経験豊富。ARRCのレベルは上昇傾向にあり、アジアのトップライダーたちが鈴鹿8耐での躍進を狙います。


Astemo Honda Dream SI Racing
Astemo Honda Dream SI Racing

鈴鹿8耐で4勝を挙げているレジェンド、伊藤真一監督が率いる「Astemo Honda Dream SI Racing」は、全日本JSB1000クラスの作本輝介、水野涼、ST1000クラスV2チャンピオンの渡辺一馬で挑みます。「TOHO Racing」は全日本JSB1000の清成龍一、ST1000クラスの國峰啄磨、榎戸育寛のラインアップ。清成もこれまで鈴鹿8耐で4勝しており、今大会で勝てば最多優勝記録に並びます。「Team ATJ」は、全日本JSB1000クラスの岩田悟、ST1000クラスの高橋裕紀、ST600クラスの小山知良がエントリー。高橋、小山はロードレース世界選手権の経験もある実力者であり、全日本で常にタイトル争いを繰り広げています。「Honda DREAM RT 桜井ホンダ」は、今季からチームに加入し全日本JSB1000に参戦を開始した伊藤和輝、鈴鹿のスペシャリスト日浦大治朗に、2022年全日本ST600チャンピオンで、今季からST1000にステップアップした荒川晃大が加わり上位を狙います。「TTS Racing MurayamaUnso Honda Dream」は、鈴鹿8耐通算3勝の秋吉耕佑と、今野由寛、長谷川聖で参戦します。


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Takumi Takahashi
Takumi Takahashi 33
Team HRC with Japan Post
長島選手は昨年のチームメートですし、マシン開発をしてくれているので、このマシンを誰よりも知っていることは強みです。WSBKを走っている2人は速いですし、学ぶことがたくさんあります。なので、誰と組むことになっても大丈夫だと思っていました。ライダーが決まったので、3人で信頼関係をしっかり築いて挑みたいと思います。勝って当然と思われていることはプレッシャーではありますが、それを力に変えたいと思います。記録も気にせずに、ただ勝つことだけに集中したいです

Tetsuta Nagashima
Tetsuta Nagashima 33
Team HRC with Japan Post
昨年の優勝の感動は、未だに忘れられません。子どものころからの憧れのレースで、その表彰台の真ん中に自分がいたことが信じられないくらいの気持ちでした。今年もその感動を味わいたいですし、自分が幼いころに感じた憧れを、自分たちのレースから、今の子どもたちが感じてもらえたらいいなと思っています。参戦できることになり、感謝しています。その決断がよかったと思ってもらえるように懸命に挑みます。巧さんは尊敬する先輩ですし、ビエルゲ選手はスペイン選手権を走っていたころから知っているライダーです。連覇できるように3人で力を合わせて挑みます

Xavi Vierge
Xavi Vierge 33
Team HRC with Japan Post
Hondaワークスのライダーとして鈴鹿8耐を走ることは、とても光栄なことです。高橋選手は鈴鹿8耐で4回も勝っている経験豊富なライダーですし、長島選手とは古い付き合いで、一緒に戦えることがうれしいです。昨年はリザーブライダーで、皆の活躍を見ているだけでしたから、少し残念でした。でも今年は一緒に走ることができるので、しっかりと貢献できるようにと思っています

Josh Hook
Josh Hook 1
F.C.C. TSR Honda France
鈴⿅に戻るのが本当に楽しみです。最も好きな場所の一つであり、TSRとHondaのホームコースなので、マシンも相性のいいとても好きなサーキットです。ここまでのシーズンは、チームもメカニックも皆がすばらしい仕事をしてくれています。だから、鈴⿅でのレースがさらに楽しみです。⽇本のファンの皆さんに会えること、そしてまた鈴⿅でレースができることを本当に楽しみにしています

Mike Di Meglio
Mike Di Meglio 1
F.C.C. TSR Honda France
2023年シーズンは、ル・マン24時間で優勝し、とてもいいスタートを切ることができました。チームはこの冬、より競争⼒を⾼めるために⾮常によく働きました。マシンの性能は上がり、メカニックも作業のスピードが上がりました。鈴⿅はいつも特別な場所で、表彰台に⽴つことが夢です。チームにとっても、Hondaにとっても特別なレースなので、できる限り速く⾛ることができるようにベストを尽くします

Alan Techer
Alan Techer 1
F.C.C. TSR Honda France
今年の鈴⿅8耐に出場することができ、特にF.C.C. TSR Honda Franceチームと⼀緒に戦えることを⼤変うれしく思っています。今シーズンはル・マン24時間での優勝、スパ24時間での2位と好調なスタートを切ることができました。チームの働きはとてもよく、チームメートもとても速いです。この伝説的なレースのあと、最終戦をチャンピオンシップのトップでスタートできるよう、全⼒を尽くします

Teppei Nagoe
Teppei Nagoe 73
SDG Honda Racing
今年もSDG Honda Racingより鈴鹿8耐に参加できることをうれしく思います。昨年は僕自身、ケガで万全の状態で挑めず、さらにレースでは早々に他車の転倒に巻き込まれてしまうという悔しいレースになってしまいました。今年こそ、SDG昭和電機グループ、そして8耐での歴史あるHonda、ハルク・プロととも優勝を目指してがんばります

Naomichi Uramoto
Naomichi Uramoto 73
SDG Honda Racing
まずは今年も鈴鹿8耐に挑戦することができてうれしく思います。SDG昭和電機グループ、ハルク・プロをはじめSDG Honda Racingに関係する皆さまに感謝しております。昨年は非常に悔しい結果となりましたが、上位を狙うスピードはあったので、今年はそれを結果に結びつけられるように集中して、チーム一丸となってがんばります

Haruki Noguchi
Haruki Noguchi 73
SDG Honda Racing
急きょ、鈴鹿8耐に参戦することになりました。レースウイークからの参加となりますが、チームに貢献できるように精一杯がんばります。國井勇輝選手の早い復帰を願っています

Md Zaqhwan Bin Zaidi
Md Zaqhwan Bin Zaidi 88
Honda Asia-Dream Racing with SHOWA
鈴鹿8耐は、とても特別なレースだと思っています。大変なレースですが、自分の力を示せるようにしっかり戦って上位を狙いたいです。レースウイークでは、さらに3人で協力してマシンのセッティングを進め、チームの目標である5位以内を目指します

Andi Farid Izdihar
Andi Farid Izdihar 88
Honda Asia-Dream Racing with SHOWA
鈴鹿8耐にトライできることがうれしいです。今年からASB1000を走り始めたので、テストでしっかりと鈴鹿サーキットを走り込むことができて、とてもいい経験になりました。まだ確認したいことや、試してみたいことがあるので、レースウイークを大事に過ごし、トップ5に入れるようにしたいです

Nakarin Atiratphuvapat
Nakarin Atiratphuvapat 88
Honda Asia-Dream Racing with SHOWA
ARRCとは違うマシンに乗るので、テストでは勉強することばかりでしたが、ドライ・ウエット両方のコンディションを走れたことは収穫でした。レースウイークでは鈴鹿8耐をいいペースで走り切ることができるように進化したいと思っています

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