【2020シーズン総集編】トニー・ボウが14年連続チャンピオン獲得
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、9月にようやく開幕したFIMトライアル世界選手権(WCT)。Repsol Honda Teamは、世界選手権13連覇中の絶対王者トニー・ボウと、参戦25年目を迎えた大ベテラン藤波貴久の不動のラインナップで参戦した。例年は5~9月に1会場1戦ずつで行われているが、今年は1会場で土日連続開催とし、4会場全8戦を約1カ月に詰め込んだ超過密スケジュールでの開催となった。例年、2試合制で開催されてきた日本大会は日程に組み込まれなかった。
開幕戦フランスGP初日ではボウが圧勝し、おととしから続く連勝記録を15に伸ばす。しかし、2日目は背中と腕の痛みが悪化し3位にとどまる結果となった。ランキング首位は守ったが、連日開催ゆえの調整の難しさが降りかかったのである。
前戦からわずか1週間後に行われた第2戦スペイン。腕の状態が万全ではない中、高難度コースと厳しい採点に見事に対応したボウはここで2連勝を挙げ、選手権ポイントのリードを広げることに成功した。
3週連続開催となった第3戦の舞台はアンドラのサン・ジュリア・デ・ロリア。初日、ざらざらとした岩場が特徴のコースは雨に濡れ、全選手にとって厳しいものに。採点の厳しさも相まってスコアは大接戦となった。最終ラップ中盤までボウはトップを守ったが、立て続けの減点でライバルのアダム・ラガ(TRRS)にトップを奪われ2位に。明けて2日目、雨は上がったものの泥だらけの滑りやすいコンディションの中でボウが躍動した。ほとんどの選手が走破できないセクションで絶妙のテクニックを見せ、2位のラガに20点差をつけて圧勝。10ポイントのリードを持って最終大会に向かうこととなった。開幕以来不調に苦しんでいた藤波も本来の走りを取り戻し、今季最上位となる4位入賞。表彰台にはわずか2点届かなかったが「初めて気持ちよく戦えた一日だった」と藤波は振り返った。
前戦から3週間、開幕からわずか1カ月で迎えた最終戦はイタリアのラッツァーテで開催された。初日からボウは試合をコントロールし、10セクション3ラップのうち2ラップ終了時には2位に10点差をつける展開に。ライバルであるラガが下位に低迷したことで、2日目を待たずにタイトル争いが決着。2日目もボウが優勝して、前人未到の14年連続チャンピオンとインドア競技を含め28回目の世界タイトル獲得に花を添えた。チームメートの藤波は初日、前戦に続いて好調を維持して4位に入ったが、2日目は振るわず8位フィニッシュ。ランキング7位でシーズンを終えた。
Race Reports
Points
順位 | ライダー | マシン | 総合 | 1 | 2 | 3 | 4 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | トニー・ボウ | Honda |
152 | 20 | 15 | 20 | 20 | 17 | 20 | 20 | 20 |
2 | A.ラガ | TRRS | 121 | 13 | 20 | 15 | 17 | 20 | 17 | 9 | 10 |
3 | J.ブスト | ヴェルティゴ | 105 | 17 | 17 | 17 | 10 | 10 | 10 | 15 | 9 |
4 | J.カサレス | ガスガス | 98 | 11 | 11 | 6 | 8 | 15 | 15 | 17 | 15 |
5 | J.ファハルド | シェルコ | 82 | 15 | 13 | 10 | 7 | 9 | 11 | 17 | |
6 | G.マルセーリ | モンテッサ | 82 | 4 | 6 | 13 | 15 | 13 | 8 | 10 | 13 |
7 | 藤波貴久 | Honda |
78 | 10 | 10 | 8 | 7 | 9 | 13 | 13 | 8 |