SUPER GT

SUPER GT 2024年シーズンプレビュー

Hondaは昨シーズンまで、NSX Type Sをベースとして開発したNSX-GTでGT500クラスを戦ってきました。今シーズンはベース車両をCIVIC TYPE Rに変更し、新たに開発した競技車両CIVIC TYPE R-GTをシリーズに投入します。目標は2020年シーズン以来となる4年ぶりのシリーズチャンピオンです。

SUPER GT 2024年シーズンプレビュー

元々ミッドシップの2人乗りスポーツカーとして生まれたNSXに対し、CIVIC TYPE Rは5ドアハッチバックの4人乗りスポーツモデルであり、ボディースタイルはもちろん、ベース車両の素性が大きく異なります。ベース車両の変更に伴い、開発陣は条件を熟慮し思いきったレイアウト変更を行いました。

GT500車両の場合、通常はエンジンルーム前端の左右にラジエーターを1個ずつ、中央にインタークーラーを置くレイアウトが一般的です。しかし、開発陣はCIVIC TYPE Rのボディー形状を活かしてラジエーターを2個から1個へ減らし、エンジンルーム右側の低い位置にインタークーラー、左側にラジエーターを置くレイアウトに踏みきりました。その結果、ラジエーター1個とその分の冷却水を削減し、大幅な軽量化と低重心化を実現できました。

ラジエーターを1個にすれば、絶対的な冷却能力は当然減少します。ただし、昨シーズンからカーボンニュートラル燃料が導入され、その特性に合わせてチューニングされたエンジンは従来に比べて高水温で運用されています。従って、夏季の過酷な気象条件にあっても冷却能力は十分に足りると開発陣は判断。軽量化と低重心化により、車両の運動性能が大きく向上すると見込まれています。

CIVIC TYPE R-GTは、24年シーズンも5台が4チームに供給されます。ドライバーの布陣で変化がないのは100号車STANLEY TEAM KUNIMITSUの山本尚貴/牧野任祐組のみで、そのほかのチームは大きな異動がありました。

8号車ARTAの野尻智紀は、昨年まで17号車Astemo REAL RACINGに所属していた松下信治をパートナーに迎えました。17号車は塚越広大と、昨シーズンに64号車Modulo Nakajima RacingでGT500デビューを果たした太田格之進が新たにコンビを組みます。64号車のベテラン・伊沢拓也のパートナーにはGT500ルーキーの大草りきを起用。昨年のシリーズ最終戦までチャンピオン争いに加わった16号車は、昨年から引き続きステアリングを握る大津弘樹と、21年にGT300クラスでNSX GT3を走らせて以来3年ぶりにSUPER GTへ復帰、GT500デビューを果たす佐藤蓮のコンビです。

開幕前テストで走り始めた真新しいCIVIC TYPE R-GTのタイムは、当初伸び悩みましたが周回を重ねるにつれてペースが上がり、順調な仕上がりでシリーズ開幕を迎えます。

佐伯昌浩Honda GTプロジェクトリーダーは今シーズンに向けた抱負を次のように語ってくれました。
「ベース車両が変わったので、これまでと同じセッティングをしても同じような結果が出るとは限りません。特にボディー形状が変わったので、テストでは空力特性を含めたセッティングのスイートスポット(最適な状態)を探る必要がありましたが、開幕に向けていい感触を得ています。最終的にはシリーズチャンピオンが狙えるよう、さらに熟成を進めていきます」

シリーズは例年と同様に岡山国際サーキットで開幕し、国内6サーキットで全8戦が予定されています。新しいCIVIC TYPE R-GTのパフォーマンスにご期待いただくとともに、今シーズンも引き続きHonda勢への応援をお願いいたします。


Astemo CIVIC TYPE R-GT
Astemo CIVIC TYPE R-GT

ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8
ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8

STANLEY CIVIC TYPE R-GT
STANLEY CIVIC TYPE R-GT

Modulo CIVIC TYPE R-GT
Modulo CIVIC TYPE R-GT

Astemo REAL RACINGに加入した太田格之進
Astemo REAL RACINGに加入した太田格之進

3年ぶりにSUPER GT復帰、GT500デビューを果たす佐藤蓮
3年ぶりにSUPER GT復帰、GT500デビューを果たす佐藤蓮

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