SUPER GT

【2020シーズン総集編】最終戦で劇的な逆転優勝を遂げた RAYBRIG NSX-GTがシリーズチャンピオンに輝く

クラス1規定に合致する車両として生まれ変わったNSX-GTは、シリーズ最終戦で劇的な大逆転によりシリーズチャンピオンを獲得して2020年シーズンを終えた。 シリーズ後半戦に突入した段階で、NSX-GTを取り巻く戦況は必ずしも有利には動いておらず、第5戦までに2勝を挙げながら、ポイントランキングでは#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)がNSX-GT勢最上位の3番手と、チャンピオン争いでは苦境に立たされていた。

【2020シーズン総集編】最終戦で劇的な逆転優勝を遂げた RAYBRIG NSX-GTがシリーズチャンピオンに輝く

しかし、相性のよい鈴鹿サーキットで開催されるシリーズ第6戦に向けて開発陣はパフォーマンスを引き上げた今季2基目のエンジンを投入して、反撃を開始した。
公式予選では#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)がポールポジション、#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)が2番手とフロントローを独占、決勝では混乱をくぐり抜けた#8 ARTA NSX-GTが3位入賞を果たした。


第6戦 #8 ARTA NSX-GTが3位入賞
第6戦 #8 ARTA NSX-GTが3位入賞

勢いに乗って迎えたシリーズ第7戦ツインリンクもてぎでは#64 Modulo NSX-GT、#8 ARTA NSX-GT、#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)が予選で1-2-3に並ぶ。続く決勝ではこれまでロングランのペースが不足していたNSX-GT勢が快走し、#8 ARTA NSX-GTが優勝、2位に#64 Modulo NSX-GT、3位に#100 RAYBRIG NSX-GTが続いて表彰台をNSX-GT勢が独占した。さらに4位に#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/笹原右京)、5位に#17 KEIHIN NSX-GTが続いて入賞し、なんと出走したNSX-GT5台が1-2-3-4-5体制で上位を独占するという完勝を遂げた。
こうして残る1戦、シリーズ最終戦富士へ向けた準備は整った。この段階でのシリーズポイントランキングトップは#17 KEIHIN NSX-GT(同点の37号車は優勝回数の差で2位)、#100 RAYBRIG NSX-GTが2点差で4番手(同点の23号車が上位入賞回数の差で3位)、さらに1点差で#8 ARTA NSX-GTが5番手に続いて、3台が王座を視野に入れているという状況であった。
最終戦では、シーズンを通して蓄積したハンディーウエイトをすべて下ろし、マシン本来のパフォーマンスでのレースが繰り広げられる。ところがレースウイークが始まると、37号車が予選でトップタイムを記録したのに対しNSX-GT勢は#64 Modulo NSX-GTが5番手、#100 RAYBRIG NSX-GTが7番手、#8 ARTA NSX-GTが11番手、#17 KEIHIN NSX-GTが12番手、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが14番手と大苦戦し、王座は一気に遠のいてしまったかに見えた。

しかし、チャンピオン決定戦となった決勝レースでは、7番グリッドからスタートした#100 RAYBRIG NSX-GT(牧野)が健闘し、21周目にはトップから約17秒差ながら2番手までポジションを上げていった。レース後半でも山本がじりじりと順位を上げて、終盤にはトップを走る37号車を追いかける2番手にまで進出した。最終ラップに突入したとき、トップにいた37号車も、それを2秒7の差で追い上げる#100 RAYBRIG NSX-GT(山本)も、燃料を使いきる寸前だったが、山本は燃料切れのリスクを承知の上で攻めの走りを続けた。そして迎えた最終コーナーで、とうとう前を走る37号車は燃料を使い果たしてしまいスローダウン、まだ燃料の残っていた#100 RAYBRIG NSX-GTは一気にオーバーテイクしてトップに躍り出るとそのまま優勝のチェッカーフラッグを受けた。


最終戦、#100 RAYBRIG NSX-GTが優勝を果たす
最終戦、#100 RAYBRIG NSX-GTが優勝を果たす

その結果、土壇場の大逆転で#100 RAYBRIG NSX-GT(山本/牧野)が2020年GT500クラスシリーズチャンピオンに輝いた。
NSX-GTがGT500クラスシリーズチャンピオンになるのは2018年以来のことで、クラス1規定車両としては最初の王座に輝いた。シリーズ3位には#17 KEIHIN NSX-GT(塚越/バゲット)、5位には#8 ARTA NSX-GT(野尻/福住)が続いて、コロナ禍に揺れた2020年シーズンを終えた。

なお、2021シーズンはチャンピオンのTEAM KUNIMITSU(山本尚貴/牧野任祐)がゼッケン1をつけて2年連続チャンピオン獲得を狙う。ARTAは野尻智紀、福住仁嶺のラインアップで変更なし。TEAM Red Bull MUGENは笹原右京が大湯都史樹をチームメートに迎えて参戦。REAL RACINGのドライバーラインアップは塚越広大、ベルトラン・バゲットと変わらずだが、チーム名をAstemo REAL RACINGに変更する。Modulo Nakajima Racingは2020シーズンと同じ伊沢拓也、大津弘樹の2名体制となる。


Masahiro Saiki
Masahiro Saiki
シーズン序盤の戦いをみると、ライバルに対して富士スピードウェイでの最高速が足りなかった場面がありました。その状況を受けて、シーズン中に一度だけアップデートが許されている2基目のエンジンは、ピークパワーを狙った仕様とすることを検討しました。
しかし、そのデメリットとしてドライバビリティは悪化する傾向にあり、それを補うためにはアンチラグシステムを多用しなければならず、燃費の悪化が想定されました。そうしたことも含めマシンの戦闘力をトータルで考えた結果、無闇にピークパワーだけを追い求めることはせず、正常進化版の仕様とすることを選択しました。結果的には、その判断が最終戦の逆転につながったのかもしれません。2020年はチャンピオンを獲れましたが、2021年はより厳しい戦いになりそうですから、より一層気を引きしめてがんばっていきたいと思っています。引き続き応援をよろしくお願いします

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Points

順位

No.

ドライバー

マシン

総合

1

2

3

4

5

6

7

8

1

100

山本尚貴/牧野任祐

RAYBRIG NSX-GT

69

5

6

15

6

6

11

20

2

37

平川亮

KeePer TOM'S GR Supra

67

21

8

4

5

8

5

16

3

17

塚越広大/ベルトラン・バゲット

KEIHIN NSX-GT

59

20

3

20

1

1

6

8

4

36

関口雄飛/S.フェネストラズ

au TOM'S GR Supra

56

15

15

11

4

11

5

8

野尻智紀/福住仁嶺

ARTA NSX-GT

54

3

1

12

12

20

6

6

23

松田次生/R.クインタレッリ

MOTUL AUTECH GT-R

51

2

20

3

20

4

2

 

12

64

伊沢拓也/大津弘樹

Modulo NSX-GT

31

9

1

5

16

14

16

武藤英紀/笹原右京

Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT

25

1

11

5

8


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