【2024年シーズンレビュー】 CIVC TYPE R-GTデビューイヤー。最終大会までチャンピオン争いに奮闘
Honda RACINGはCIVIC TYPE Rをベースとした競技車両『CIVIC TYPE R-GT』を新たに開発し、2024年シーズンに投入しました。しかし『車高を5mm高めること』と規則が改められ、新型車両もこれに適合させる必要があったため、開幕に向けた車両熟成はそう簡単には進みませんでした。それでも4月の開幕戦で100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)、第2戦で17号車 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)、第3戦で16号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT(大津弘樹/佐藤蓮)が続けて3位に入賞します。第4戦では公式予選で1〜3番手をCIVIC TYPE R-GTが占め、8号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT(野尻智紀/松下信治)がこの新型車両で初めての優勝を遂げて順調にラウンドを重ねていきます。
シーズン折り返し手前の第4戦を終えた段階で、100号車 (山本/牧野)がCIVIC TYPE R-GT勢トップとなる37ポイントでランキング2番手、8号車(野尻/松下)が26ポイントでこれに続き、全体ランキングでは6番手にいました。
降雨で幕を開けた後半戦
後半戦は8月の最終週に、第5戦鈴鹿から始まる予定でした。ところが台風10号の影響を受け、レースウィーク直前に延期が決定。シリーズ最終大会として12月に開催されることになりました。
こうして長めのインターバルを経た9月末、第6戦SUGOから後半戦が始まりました。しかし、この週末も強い降雨に見舞われます。土曜日午前の公式練習はなんとか実施したものの、午後に予定されていた公式予選はキャンセルとなります。このため、公式練習のタイム順にスターティンググリッドを決める異例の措置がとられました。
公式練習の時間帯は雨脚が強まったり弱まったり、路面も走行車両が増えると少し乾いていく状況でした。アタックのタイミングにタイムが左右されるなか、CIVIC TYPE R-GT勢のスターティンググリッドは下位に沈んでしまいます。
ウエットコンディションで始まった決勝レースは、路面コンディションが徐々に好転していき、17号車(塚越/太田)が一時2番手まで順位を上げましたがペナルティを受けて後退。100号車の5位がCIVIC TYPE R-GT勢の最高位でした。
サクセスウエイトがのしかかる
第7戦オートポリスも天候に恵まれず、土曜日の公式練習はキャンセル。日曜日の朝に公式予選を設けてスターティンググリッドを決める変則開催となりました。セッションが進むにつれて路面が乾いていく状況に、17号車(塚越/太田)がうまく合わせて4番手に入り決勝を迎えます。
決勝レースはドライコンディションで始まり、17号車(塚越/太田)は3番手に順位を上げて快調に飛ばしていきます。しかし、押し出されるかたちでコースオフしてしまい、レースを終えることになりました。代わって、ピットストップのタイミングをうまくとらえた100号車(山本/牧野)が3番手に浮上しますが、86kgのサクセスウエイト(SW)を搭載していたため、レース終盤にSWで分のあるライバルにオーバーテイクを許し4位でレースを終えました。
第8戦予選でフロントロー独占
本来であればシリーズ最終戦となる第8戦は、モビリティリゾートもてぎで開催されました。これまで最終戦もてぎでは全車SWゼロでレースが行われてきましたが、今回は半減となります。そのもてぎも、土曜日の公式予選はヘビーウエットコンディションになりました。そんな状況下で64号車 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)がポールポジションを獲得! 2番手に8号車(野尻/松下)が続きCIVIC TYPE R-GTがフロントローを独占しました。
決勝日は晴天となり、ドライコンディションでレースは始まりました。ポールポジションからスタートした64号車(伊沢/大草)は、序盤はポジションを守りますが、徐々に順位を落としていきます。一方、8号車(野尻/松下)は予選順位を守りきり、CIVIC TYPE R-GT勢最高位の2位でチェッカーフラッグを受けました。100号車(山本/牧野)も6位に食い込み選手権ポイントを稼ぎましたが、ランキングではトップから18点差の2番手。チャンピオン獲得の望みをなんとかつないで最終大会に挑みます。
ランキング2位で初年度を終える
シリーズ最終大会の舞台は、12月の鈴鹿サーキットです。シーズン後半戦は天候との戦いにもなりましたが、鈴鹿サーキットは好天に恵まれます。ただし気温、路面温度ともに低下し、言わば“未知のコンディション”となりました。
チャンピオン獲得の可能性を残す100号車(山本/牧野)は、決勝での優勝が絶対条件。加えて、ランキングトップの36号車 GR Supraに公式予選で2点差をつけられると、36号車のチャンピオンが決まる──そんな緊張感が張り詰めるなか、100号車(山本/牧野)は予選5番手。対する36号車はポールポジションを獲得したため、ここで100号車(山本/牧野)のチャンピオンへの道は断たれました。
決勝レースは、2番手スタートの17号車(塚越/太田)と100号車(山本/牧野)が36号車を追いかける展開が繰り広げられます。最終的に17号車(塚越/太田)が2位、100号車(山本/牧野)が4位、16号車(大津/佐藤)が5位と、トップ5に3台のCIVIC TYPE R-GTが入りました。シリーズランキングでは100号車(山本/牧野)が2位、8号車(野尻/松下)が9位、17号車(塚越/太田)が10位に。16号車(大津/佐藤)と64号車(伊沢/大草)が12、13位と並んでCIVIC TYPE R-GTのデビューシーズンを締めくくりました。