【2024シーズン中間レビュー】初勝利から見据えるタイトル奪取
昨シーズンまでSUPER GT GT500クラス用のベース車両だったNSX TYPE Sの生産完了に伴い、Honda Racingは今季新たにCIVIC TYPE Rをベースとした競技車両「CIVIC TYPE R-GT」を開発しシリーズに投入しました。
2座席スポーツカーのNSXに対し、CIVIC TYPE Rは5ドアハッチバックとボディー形状が大きく異なるため、SUPER GTでの空力特性を考慮して開発をやり直す必要がありました。そのため、開幕前のテスト走行では新車の基本的なパフォーマンスを確認することを優先し、シーズンを戦いながら限界性能を引き出していくという戦略が立てられました。
岡山国際サーキットで迎えた開幕戦。予選では8号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治)がポールポジションを狙えるペースでタイムアタックをしていましたが、コース終盤でオーバーランしてタイム抹消となり、最後尾スタートとなる波乱がありました。しかし、100号車 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)がHonda勢最上位となる3番手に食い込み、決勝でもそのポジションを守って3位に入賞。CIVIC TYPE R-GTのデビュー戦で表彰台に上がり、その基本性能の高さを早くも証明しました。
3時間レースとして富士スピードウェイで開催された第2戦では、予選で17号車 Astemo CIVIC TYPE R-GT (塚越広大/太田格之進)がトップタイムをマークし、ニューマシンの2戦目にしてポールポジションを獲得。しかし決勝では序盤に順位を下げ、8号車との3番手争いに終始します。レース終盤、ピットタイミングで前に出た8号車を17号車が追うかたちで見せ場を作りましたが、チェッカーまでわずか数周となったところで8号車にミッショントラブルが発生してリタイア。17号車は3位を守りきり、CIVIC TYPE R-GTが2戦連続で表彰台に上がりました。
鈴鹿サーキットでの第3戦は、第2戦と同じく3時間レースとして開催。富士で表彰台に乗った17号車が予選Q1セッションから快調に飛ばしていましたが、Q2タイムアタック中にスピンを喫します。代わって16号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)が2番手、8号車が4番手につけて上位グリッドを確保しました。
迎えた決勝では、16号車が表彰台圏内でレースを進めました。最終スティントでは想定よりもタイヤの消耗が早く苦戦を強いられたものの、僅差で守りきって3位に入賞。CIVIC TYPE R-GTは3戦連続で表彰台に上がる結果となりました。
シリーズ前半戦をしめくくる第4戦の舞台は再び富士スピードウェイ。すっかり梅雨が明け、真夏の太陽が照りつける過酷なコンディションとなりました。
予選ではCIVIC TYPE R-GT勢がストレートスピードの高さを活かし、速さをみせつけます。8号車がポールポジションを獲得、これに100号車と64号車 Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき)が続き、トップ3グリッドを独占して決勝を迎えることになりました。
決勝では8号車がトップを快走し、100号車が2番手をキープして追従します。最終スティントでは100号車が1秒強まで差を詰めましたが、8号車の松下がスパートをかけて逃げきり優勝。100号車も2位を守って、1-2フィニッシュでCIVIC TYPE R-GTの初勝利を飾りました。
第4戦を終えて、100号車は獲得ポイントを37点に伸ばし、トップと4点差の総合ランキング2番手に浮上。8号車は26点でHonda勢2番手、総合ランキング6番手につけています。シリーズ後半戦のスタートとなる第5戦は8月31日(土)~9月1日(日)に鈴鹿サーキットで行われます。