SUPER GT

SUPER GT 2023年シーズンプレビュー

2022年のHondaは、NSX Type Sをベースにした新開発車両をGT500クラスに5台投入してシーズンに臨みました。新型NSXは高い戦闘力を発揮し、 年間3勝を挙げてチャンピオン争いを展開したものの、山本尚貴/牧野任祐組がランキング3位、塚越広大/松下信治組がランキング4位に終わり、惜しくも王座には届きませんでした。

SUPER GT 2023年シーズンプレビュー

必勝体制で挑むNSX-GTラストイヤー

Hondaは2024年シーズンから、GT500に参戦するベース車両をCIVIC TYPE Rに変更することを発表しています。つまり、今シーズンがNSXで戦う最終年となるため、3年ぶりのシリーズチャンピオン獲得を「必達目標」として、チーム体制とドライバーラインナップを大きく変えて戦います。

まず、昨年までRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTとして出走していた16号車が、今シーズンは8号車とともにARTAからの出走となり、Honda陣営の体制は5チーム5台から4チーム5台へと改められます。

ドライバーの布陣については、昨季最終戦で勝利しランキング3位となった100号車TEAM KUNIMITSUが山本尚貴/牧野任祐組、昨年1勝でランキング4位だった17号車Astemo REAL RACINGが塚越広大/松下信治組と、この2チームについては変更なし。それぞれしっかりと噛み合ったコンビネーションを武器に、開幕から安定した速さと強さを発揮してHonda陣営の先頭に立って戦い始める構えです。



他の3台についてはドライバーの組み合わせが変更となります。まず昨年1勝を記録した8号車ARTAは、エース野尻智紀の新たなパートナーとして大湯都史樹を迎え、昨年野尻と組んでいた福住仁嶺は、64号車Modulo Nakajima Racingから移籍してきた大津弘樹とともに16号車を走らせます。2台体制となったARTAの2台がどのようなレースを見せてくれるのか、注目が集まります。



64号車Modulo Nakajima Racingには伊沢拓也のパートナーとして、育成プログラムのホンダ・ フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)で育った太田格之進が加入します。ベテランの伊沢が、GT500ルーキーの太田からどんなパフォーマンスを引き出すかが見どころとなりそうです。



マシン開発のカギは新燃料への適応

2023年型NSX-GTは、SUPER GTシリーズのレギュレーションにより基本部分の開発が凍結されているため、一見すると大きなアップデートはないように見えますが、規則で許されている範囲での開発作業は地道に続けられています。



エンジンは基本構造を昨年型から引き継いでいますが、今シーズンはカーボンニュートラル燃料(CNF)の使用が義務づけられるため、新たにCNF対応のチューニングが施されています。

CNFは、環境に配慮した脱炭素時代のモータースポーツを目指して導入されるバイオマス由来の非化石燃料です。従来のハイオクガソリンと比較するとやや燃焼しにくい性質を持っており、レーシングエンジンから十分なパフォーマンスを引き出すためには燃料の特性を考慮した技術的対応が必要となります。今シーズンは、この部分をめぐってライバルメーカーとの技術的な競争が繰り広げられると予想されています。

Honda陣営は、昨年からスーパーフォーミュラの車両を用いてCNF対応エンジンの開発テストを進めてきましたが、条件の異なるGT500車両への適合も順調に進んでおり、万全の体制で開幕を迎えます。

SUPER GTシリーズは今シーズンも岡山国際サーキットで開幕し、国内6サーキットを転戦して全8戦が開催される予定です。3年ぶりのタイトル獲得を目指して戦うHondaにご期待ください。


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