【2022シーズン中間レビュー】 混戦のなか、STANLEY NSX-GTがランキング5番手でシーズンを折り返す
昨シーズン、惜しくもシリーズ2連覇を逃したHonda陣営。開発陣は今季の王座奪回に向け、マシンの戦闘力をさらに磨き上げるためにベース車両を昨年発売されたNSX Type Sへ切り替え、ボディの空力デザインを改めて全面的に見直した2022年型NSX-GTを準備しました。ドライバーラインアップは、17号車 Astemo NSX-GTのみ塚越広大のパートナーが松下信治に変更となりましたが、その他は昨年の体制を引き継いで2022年シーズンに臨んでいます。
今季開幕戦は岡山国際サーキットで開催されました。公式予選では100号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)が3番手タイムを記録し、NSX-GT勢最上位で決勝レースに臨むこととなりました。決勝日を迎えた岡山国際サーキットは好天となり、気温、路面温度とも上昇する中、レースが始まりました。3番手からスタートした100号車 NSX-GTは思うようにペースを上げられず、ドライバー交代のピット作業を終えた段階で5番手へ順位を落としてしまいました。
しかし、レース後半に入るとペースを取り戻し、早々に4番手へ順位を上げました。レースも残り10周となった72周目のバックストレートでは、先行する2台に追いついて3ワイドへ持ち込み、ヘアピンカーブのインに飛び込んで一気に2台をオーバーテイク。2番手へ抜け出すとそのまま残りのレースを走りきり、2位表彰台に登壇しました。レース後、佐伯昌浩プロジェクトリーダーは「2022年シーズンに向け我々が進めてきた開発の方向性が間違っていなかったことが確認できた」と語りました。
シリーズ第2戦は5月3日(火)~4日(水)、富士スピードウェイ(静岡県)で開催。今シーズンの新しい試みとして決勝レースの走行距離を450kmとし、決勝中2回のピット作業を義務づける形式でレースが行われました。
ドライコンディションで行われた公式予選では、8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)がNSX-GT勢最上位の5番手につけ、決勝レースに臨みました。
決勝レースでは、1回目のドライバー交代が終わった43周目、コース上でアクシデントが発生したためフルコースイエローが宣言され、その後セーフティカーが介入。結局49周目に赤旗が提示されてレースは仕切り直しとなりました。この時点で8号車 NSX-GTは5番手のポジションをキープ。
53周目にリスタートが切られると、上位車両が交錯したすきに、8号車 NSX-GTは4番手へ順位を上げました。ところが58周を終えるホームストレートで、2番手を走っていた3号車 CRAFTSPORTS MOTUL Zがホームストレートで激しくクラッシュ。直後を走っていた8号車 NSX-GTはなんとかすり抜けて3番手へ進出しましたが、レースは再び赤旗で中断となりました。
クラッシュのため破損したガードレールを修復した後、レースは午後6時10分に再開されましたが、日没制限時間が迫っており、レースはセーフティカー先導のままフィニッシュ。8号車 NSX-GTは3番手でフィニッシュラインを越えましたが、上位2台がペナルティーを受けたため正式結果では順位が繰り上がり、優勝となりました。
SUPER GTシリーズ第3戦は5月28日(土)~29日(日)、鈴鹿サーキット(三重県)で開催されました。鈴鹿サーキットは土曜日の朝から晴天となり、公式予選の結果、16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)が4番手、17号車 NSX-GTが5番手から決勝を迎えることとなりました。
決勝日も晴天となり、気温、路面温度ともに上昇して厳しいコンディションの中で決勝レースが始まりました。5番手スタートの17号車 NSX-GTは4番手スタートの16号車 NSX-GTをかわし、さらに19号車WedsSport ADVAN GR Supraをオーバーテイクして3番手へ順位を上げました。
レース後半に入り、全車がドライバー交代を終えた段階で17号車 NSX-GTは2番手へ順位を上げ、後方の37号車 KeePer TOM'S GR Supraとの間に1秒強の間隔をつけて周回を重ね、その間隔を守りきってスタートから3ポジションアップの2位でチェッカーフラッグを受けました。
第3戦からおよそ2カ月のインターバルを置いた8月6日(土)~7日(日)、富士スピードウェイでシリーズ第4戦が開催されました。関東地方を襲った猛暑から一転、レースウイークを迎えた富士スピードウェイは曇天となり、8月初旬としては異例の22度という低気温の中、公式予選が行われました。ここでは8号車 NSX-GTがNSX-GT勢最上位の5番グリッドを獲得。日曜日は天候が回復し、450kmレースを迎えました。
5番グリッドからスタートした8号車 NSX-GT(福住)は、4番手へ浮上したのちに1回目の給油ピットインを行いました。マシンを引き継いだ野尻は事実上の4番手を守ってレース後半に入りましたが、後方から追い上げてきた36号車 au TOM'S GR Supraと数周にわたって接近戦を繰り広げ、56周目にオーバーテイクを許し5番手へ後退。71周目に2回目の給油ピットインをすると、ドライバー交代は行わず5番手のポジションを守ってレースに復帰しました。
レース終盤、タイヤ交換を行わずピットでのロスタイムを削り取った39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supraが5番手へ浮上しましたが、フィニッシュまで残りわずかというところで8号車 NSX-GTがオーバーテイクして5番手を取り戻し、そのまま450kmを走りきってフィニッシュしました。
全8戦中4戦までを終え、100号車 NSX-GTがトップから8点差の23点でランキング5位、8号車 NSX-GTがトップから10点差のランキング7位につけています。
佐伯プロジェクトリーダーは、「開幕から4戦連続で選手権ポイントを重ね、ランキング上位に大きく離されることもなくシーズン前半を終えることができました。セットアップやタイヤの内圧などを含め、クルマの状態を確かめたうえで残りのレースに臨みます」とシーズン後半戦に向け抱負を語りました。
第5戦は8月27日(土)~28日(日)、鈴鹿サーキットで開催。レース距離は450㎞、2017年以来となる鈴鹿での長距離レースとなります。