SUPER GT

2021年シーズン前半戦レビュー/後半戦プレビュー

SUPER GT2021年シーズンの折り返し時点で、ランキングトップは#1 STANLEY NSX-GTを駆る山本尚貴(40点)、2番手は牧野任祐(37点)となっており、5番手に30点で#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)が続いています。同じ#1 STANLEY NSX-GTを走らせる山本と牧野の得点が異なるのは、牧野が体調不良で開幕戦を欠場したためです。現時点では山本が王座に向けて最短距離にあり、2年連続のシリーズ制覇を視野に入れています。まずはシリーズ前半戦を振り返ってから、後半戦をNSX-GT勢がどう戦うのか、チャンピオン争いはどうなるのかを展望します。

2021年シーズン前半戦レビュー/後半戦プレビュー

昨シーズン新たに導入されたクラス1規定により、FR形式の車両へ大変身を遂げたNSX-GTは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で十分な熟成ができないままシーズンを迎えたにもかかわらず、チャンピオンマシンとなりました。開発陣は今シーズンに向け、規則により開発が凍結された空力面を除く車体やエンジンに関して、昨年収集したデータを元に熟成を進めて開幕を迎えました。

シリーズ開幕戦は、昨年コロナ禍の中でレース実施が見送られた岡山国際サーキットで開催されました。NSX-GT勢はマシンセッティングを攻めきれなかったことが響き、決勝最上位は#17 Astemo NSX-GTの5位に終わりました。


#17 Astemo NSX-GT
#17 Astemo NSX-GT

しかし、富士スピードウェイで開催されたシリーズ第2戦では#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)が公式予選2番手につけ、500kmと長丁場の決勝レースでは#17 Astemo NSX-GTが優勝を遂げ、2021年型NSX-GTの速さと耐久性を証明しました。


第2戦富士で勝利を挙げた#17 Astemo NSX-GT 塚越/バゲット組
第2戦富士で勝利を挙げた#17 Astemo NSX-GT 塚越/バゲット組

残念ながら今年もコロナ禍は収束せず、緊急事態宣言の発出もあって第3戦が延期され、シーズン3レース目は7月17日(土)~18日(日)にツインリンクもてぎで開催された第4戦となりました。長いインターバルを使い、開発陣が車両をさらに見直して熟成を進めた結果、ここでもNSX-GT勢は快調な走りをみせます。公式予選で#1 STANLEY NSX-GTがポールポジションを獲得、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)が3番手、#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)が6番手につけると、決勝レースでは追いすがるライバル車を押さえ込んだ#1 STANLEY NSX-GTが優勝を遂げました。この結果、山本は一気にポイントランキングを上げ、トップから3点差の2番手へ浮上することとなりました。


第4戦を制した#1 STANLEY NSX-GT 山本/牧野組
第4戦を制した#1 STANLEY NSX-GT 山本/牧野組

延期となった第3戦は8月21日(土)~22日(日)に鈴鹿サーキットで開催されました。昨年は2大会が開催された鈴鹿で勝てなかったNSX-GT勢は快調に予選を戦い、#64 Modulo NSX-GTがポールポジションを獲得、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが2番手に続き、NSX-GTがフロントローを独占しました。

しかし、決勝レースではトラブルや原因不明の失速により2台とも優勝争いからは脱落、重いサクセスウエイトを抱えた#1 STANLEY NSX-GTがじりじりと順位を上げて、最終的にNSX-GT最上位の4位でレースを終えました。この結果、山本はシリーズポイントランキングのトップへ浮上してシリーズ前半戦を終えています。


#1 STANLEY NSX-GT
#1 STANLEY NSX-GT

ここでシーズン後半を展望すると、成績に応じて増えるサクセスウエイトが大きな要因となってきそうです。現在ランキングトップの#1 STANLEY NSX-GTは第5戦で、参加車中もっとも重いウエイトが課せられます。ただし、サクセスウエイトは第7戦で半減、最終戦の第8戦では全車ゼロにリセットされる規則なので、まずは第5戦、第6戦を耐えて戦うことになります。現在ランキング5番手の#17 Astemo NSX-GTもチャンピオン獲得を視野に同様の戦い方となるでしょう。2台は重いウエイトを背負いながら、いかにポイントを稼いでいけるか注目です。


#17 Astemo NSX-GT
#17 Astemo NSX-GT

一方、ここまで速さを示しながら流れに乗れず、結果が残せないでいる#8 ARTA NSX-GT、新しい仕様のタイヤを得て、めきめきと速さを増してきた#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、#64 Modulo NSX-GTは、サクセスウエイトの少ない身軽な状態でシーズン後半戦を迎えます。彼らが上位争いをしてライバル車のポイント獲得を防ぎ、#1 STANLEY NSX-GTと#17 Astemo NSX-GTを支援しながら、自らもタイトル争いに加わりたいところです。


#8 ARTA NSX-GT
#8 ARTA NSX-GT

#64 Modulo NSX-GT
#64 Modulo NSX-GT

シリーズ後半戦の入り口となる第5戦はスポーツランドSUGOで開催されます。例年レース展開が大荒れになるサーキットとして定評のあるスポーツランドSUGOですが、昨年はコロナ禍のため開催されず、各陣営ともクラス1規定の車両では初めて走ることになります。このレースをどう切り抜けるかで、シリーズの流れが見えてくるでしょう。


#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT
#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT

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