■第10戦決勝

23日(日)、朝から晴天となった鈴鹿サーキットで第10戦の決勝レースが行われました。スターティンググリッドは前戦富士大会での予選結果が適用され、19周でタイヤ交換の義務づけなしのスプリント形式で実施されました。

ポールポジションは#5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、2番手は#65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、以下#6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、#15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、#64 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)と、上位6グリッドをHonda/M-TECユーザーが独占するかたちでのスタートとなります。

最終戦となる今大会までし烈な争いが繰り広げられた総合ランキングは、前日の第11戦終了時点で、岩佐と太田が、首位#1 坪井翔(トヨタ)と16.5ポイント差の2位、牧野が首位と20.5ポイント差の4位、さらに第11戦で優勝した野尻が25ポイント差で5位につけています。

(各レース1位20ポイント、2位15ポイント、3位11ポイント、4位8ポイント、5位6ポイント、6位5ポイント、7位4ポイント、8位3ポイント、9位2ポイント、10位1ポイント、さらに予選1番手～3番手に3ポイント～1ポイントを付与)

9時50分にレースがスタートすると、フロントローの牧野とオオムラ・フラガが並んで第1コーナーに進入、インを狙ったオオムラ・フラガの鼻先を牧野が抑え込みます。しかし直後にオオムラ・フラガは進路を変え、アウトから牧野に並びかかると、そのまま第2コーナーへ進入。S字コーナーまでに牧野の前へ抜け出すことに成功しました。

そこからオオムラ・フラガはオーバーテイクシステム(OTS)を用いて牧野を振りきりにかかり、オープニングラップで0秒889差をつけます。一方の牧野もOTSを使ってオオムラ・フラガに迫りコンマ2秒ほどギャップを縮めますが、オオムラ・フラガは全くミスのないコーナリングで対応し、1秒強まで引き離すと2台の間隔は徐々に開いていきます。

スプリントレースが後半に入ると、3番手の太田と4番手の岩佐のデッドヒートが展開されます。総合ランキングを競い合う2人の争いは、太田が岩佐をなんとか抑え込む一方で先頭2台からは離されていくことに。

レース終盤、タイヤ消耗の気配が出始めた牧野に対し、オオムラ・フラガはペースを落とすことなく19周を走りきり、ルーキーシーズンに自身初となる優勝を飾りました。牧野は2位、太田が3位でチェッカーフラッグを受け、第11戦に続いてHonda/M-TECユーザーが表彰台を独占しました。

第10戦を終え、年間タイトル争いは総合ランキング首位の坪井(116.5ポイント)に対し、牧野と太田が同点(107ポイント)で2位、そして岩佐が4位(104ポイント)と4人に絞られ、同日の午後、最終戦となる第12戦にて決することになりました。

■第12戦予選

22日(土)、第11戦の予選に続いて行われた第12戦の予選は、7台のHonda/M-TECユーザーがQ2セッションに進出。結果は岩佐が第11戦に続くポールポジションを奪取、野尻が2番手に入り、フロントローにTEAM MUGENの2台が並びます。そして3番手以降には、佐藤、太田、牧野、オオムラ・フラガが続き、上位6台をHonda/M-TECユーザーが占めました。一方、総合ランキング首位の坪井は7番グリッドで、牧野、太田、岩佐の逆転チャンスの可能性が大きくなりました。

■第12戦決勝

歴史ある「第24回JAF鈴鹿グランプリ」のタイトルが懸かった第12戦は、23日(日)14時30分からフォーメーションラップが始まりました。1度のタイヤ交換が義務づけられており、1周目を終えた時点からピットストップが可能、このフォーマットが大きなターニングポイントを生み出すことになりました。

ポールポジションの岩佐がスタートダッシュを決め、3番手スタートの佐藤も抜群の蹴り出しで野尻をかわすと、アウト側から岩佐に並びかかりながら第1コーナーへ進入。それでも岩佐はがっちりインを守りトップを譲りません。出遅れた野尻は5番手まで下げたため、1周目を終えた時点でピットインを選択。これによりオオムラ・フラガが5番手に繰り上がりました。

上位勢がほぼ等間隔で周回を重ね、ピットインのタイミングをうかがう展開です。最初に動いたのは太田で、6周を終えた段階でピットに入ります。これを見たトップの岩佐は次周にピットインし、佐藤が見かけ上のトップに立ちました。タイヤ交換を終えた岩佐は太田の前でコースに戻ることに成功します。

11周目、コース上のアクシデントでセーフティカー(SC)が導入されると、ピットインのタイミングを見計らっていたマシンが一斉にピットへ。全マシンがピットアウトすると、トップの岩佐に太田、佐藤、牧野、オオムラ・フラガが続きレース再開を待ちます。

SCが14周終わりに退出し、岩佐と太田がOTSを使ったデッドヒートを展開すると、その隙をついたのが3番手の佐藤でした。ストレートで太田のスリップストリームに入ると、17周目のS字でオーバーテイクして2番手に進出。勢いに乗った佐藤はトップの岩佐に迫りますが、岩佐は1秒弱の間隔を保ちポジションを死守しました。

SC明けのタイミングで牧野をかわして4番手に浮上したオオムラ・フラガは、OTSを駆使して逆襲を試みる牧野に対し、OTSを使い果たしながらも巧妙なライン取りで数周にわたってこれをブロックし、ポジションを守りきります。

トップの岩佐はOTSを温存し、佐藤と互いに駆け引きをしながら周回を重ね、最終的に0秒731差でゴールしました。今季2勝目を挙げた岩佐には20ポイントが加算されました。総合ランキングトップの坪井は8位で終わったため、岩佐が逆転しシリーズチャンピオンに輝きました。2位に佐藤、終盤、マシンのバイブレーションに見舞われた太田が、迫りくるオオムラ・フラガを抑えきって3位に入りました。第11戦、第10戦に続いてHonda/M-TECユーザーが表彰台に並び2025年シーズンを締めくくりました。