開幕第2戦で野尻智紀が自身9回目となる優勝を飾る
4月8日(土)、富士スピードウェイ(静岡県)で2023年度全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)シリーズが開幕しました。
今シーズン、Honda/M-TECエンジンを用いるユーザーは、#1 野尻智紀、#15 リアム・ローソン(TEAM MUGEN)、#5 牧野任祐、#6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、#12 福住仁嶺(ThreeBond Racing)、#50 松下信治、#51 ラウル・ハイマン(B-Max Racing Team)、#53 大湯都史樹、#55 ジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)、#64 山本尚貴、#65 佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)の6チーム計11名です。
今回の開幕戦は、8日(土)に第1戦の公式予選/決勝、9日(日)に第2戦の公式予選/決勝という1大会2レース制のフォーマットで開催されました。今シーズンより新型車両SF23が投入されたことを受け7日(金)には90分間の専有走行が予定されていましたが悪天候のため中止となり、8日の公式予選はQ1、Q2のノックアウト方式を45分間の計時方式へ変更して行われました。
この公式予選の結果、#1 野尻がポールポジションを獲得、ルーキーの#15 ローソンが3番手、#53 大湯が4番手、#65 佐藤が5番手に続いて午後の第1戦決勝レースを迎えることとなりました。
薄曇りの空の下、8日(土)午後2時15分、2023年シリーズ第1戦の決勝レースが始まりました。スタート合図の瞬間、加速できなかった4台の車両がスターティンググリッドに取り残され、1コーナーでも何台かの車両が接触するなどの混乱が生じましたが、ポールポジションからスタートした#1 野尻はポジションを守り、2番手にはうまく加速した#53 大湯がポジションを上げて進出、その後に#15 ローソンが続いてレースが始まりました。
ところが、2周目の1コーナーで#5 牧野が前走車に追突するアクシデントが発生。停止車両を回収するためセーフティカー(SC)が導入されました。この時点で順位は#1 野尻、#53 大湯、#15 ローソン、#37 宮田莉朋、#64 山本、#65 佐藤と続いていました。
SCは7周終了時点で退去し、レースは8周目から再開されました。3番手の#15 ローソンが2番手の#53 大湯に攻め寄り、#53 大湯はデッドヒートの結果、コカ・コーラコーナーアウト側にオーバーランして遅れ、#15 ローソンが2番手へ進出しました。
#15 ローソンはトップの#1 野尻から1秒5弱の間隔を守って周回に入りましたが、21周を走り終えた段階でアンダーカット戦略を採ってピットイン。これを見た#1 野尻は次周にピットインして、それぞれタイヤ交換義務を消化しました。
作業を終えた#1 野尻は、#15 ローソンの前でコースに復帰しましたが、交換したばかりのタイヤは冷えていてペースを上げられません。そこにタイヤをウォームアップした#15 ローソンが後方から接近。100Rのアウト側から野尻をかわして、アンダーカット戦略の狙いどおり、#15 ローソンが事実上のトップへ立ちました。
レース終盤、35周目の1コーナーで#64 山本は後方から攻め寄ってきた#20 平川亮にオーバーテイクを許し4番手へ後退。その直後、9番手争いを展開していた#12 福住が#36 ジュリアーノ・アレジによる接触を受けてクラッシュ。
コースには二度目のSCが導入されました。この時点で順位は#15 ローソン、#1 野尻、#20 平川、#64 山本、#37 宮田、#65 佐藤、#53 大湯、#55 ブリュックバシェ、#14 大嶋和也、#4 小高一斗となっていました。結局レースはこのSCランのまま41周を走りきって終わりました。
#15 ローソンはSFデビュー戦で優勝を記録、幸先のよい開幕を迎えることとなりました。また昨年のチャンピオン#1 野尻は2位に入賞、TEAM MUGENの1-2フィニッシュでレースを締めくくりました。
9日(日)は朝から快晴となり、第2戦公式予選は午前9時から予定通りQ1、Q2のノックアウト方式で行われました。Q1はA組11台、B組11台がそれぞれ10分間のタイムアタックを実施。各組の上位6名ずつがQ2に進出し、7分間のタイムアタックを行いました。その結果、#1 野尻が2番手の#37 宮田に0.3秒もの大差をつけて通算15回目のポールポジションを獲得。3番手に#53 大湯、4番手には前日の第1戦で優勝した#15 ローソンが続きました。
午後2時30分、快晴の空の下で第2戦決勝レースが始まりました。ポールポジションから#1 野尻はうまく加速してポジションを守りましたが3番手スタートの#53 大湯が野尻に迫り、コカ・コーラコーナーで#1 野尻をかわしてトップに立ちました。一方、前日第1戦で優勝した#15 ローソンは加速に失敗、6番手まで順位を落としました。
2番手に後退した#1 野尻は、#53 大湯と1秒程度の間隔を守って周回を重ねました。ところが、8周目の1コーナーで停止車両が出たためSCが介入して事態が動きました。このSCラン中に、タイヤ交換条件である10周を経過したため、ペナルティーを受けていた#20 平川以外の全車がタイヤ交換義務を消化するためピットインしました。
ピット作業をいち早く終えた#1 野尻は#53 大湯より先にコースへ復帰、順位を入れ替えて事実上のトップに立ってSCランに戻りました。2番手の#53 大湯は、12周終了時点でレースが再開されると猛然と加速し#1 野尻に肉薄。しかし、1コーナーのブレーキングでホイールをロックさせ、逆に後続の#38 坪井翔の先行を許して順位を3番手へと落としてしまいました。
ポジションを守った#1 野尻は、その後も安定したペースで#38 坪井の追撃を寄せ付けず、事実上の首位を堅持。見かけ上の首位を走っていた#15 平川が39周でピットインすると見かけ上も首位に立ってレースを走りきり、自身9回目となる優勝を遂げました。
野尻との攻防でタイヤを傷めた#53 大湯は大きく後退し、#15 ローソンはじりじりと順位を上げ3番手でチェッカーフラッグを受けましたが、SC中の手順違反により5秒のタイムペナルティーを受けたため正式順位は5位となりました。以下、7位#12 福住、8位#5 牧野、9位#65 佐藤までが選手権ポイントを獲得してレースを終えました。
次戦シリーズ第3戦は4月22日(土)~23日(日)、三重県の鈴鹿サーキットで開催予定です。