野尻智紀がポール・トゥ・ウイン! シリーズチャンピオンに王手
8月28日(土)~29日(日)、栃木県ツインリンクもてぎで2021年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第5戦が開催されました。 #12 タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)は前回のレースに引き続き日本再入国時の隔離期間を満たすことができず欠場し、代役を塚越広大が務めました。
搬入日にあたる金曜日からツインリンクもてぎは真夏の猛暑に見舞われ、翌28日(土)8時40分からのフリー走行も高い気温と路面温度という厳しいコンディションで行われました。今回も予選はQ1、Q2は2組に分け、そこで選抜された8台がQ3を争うという形式で行われました。
#1 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)を除く7名がQ1を通過、Q2では#5 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、#12 塚越広大(Threebond Drago CORSE)、#6 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がノックアウトされました。この結果、#16 野尻智紀(TEAM MUGEN)、#51 松下信治(B-MAX RACING TEAM)、#64 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、#15 大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)がQ3に進出しました。
Q3の結果、Q1、Q2、Q3とすべてのセッションでベストタイムを記録した#16 野尻がポールポジションを獲得。さらに、野尻はQ3のタイムでツインリンクもてぎのコースレコード(1分31秒073)を樹立することとなりました。3番手に#51 松下、5番手に#64 大湯、7番手に#15 大津が続きました(グリッドは他車のエンジン交換ペナルティー(10グリッド降格)により大湯が4番手、大津は6番手に)。
決勝日を迎えたツインリンクもてぎの上空には雲が広がり、一時期は雨も落ちましたが、決勝前には薄日が洩れるドライコンデイションとなりました。スタートではポールポジションの#16 野尻がうまく加速してトップのまま1コーナーに飛び込み、オーバーテイクシステムを使って猛然と攻め込んできた#19 関口雄飛(トヨタ)を押さえ込みました。ところがV字コーナーで接触事故が発生、停止車両排除のため5周目までセーフティカーランとなってしまいました。
5周目からレースが再開されると、#16 野尻はオーバーテイクシステムを使ってファステストラップを記録しながら2番手の#19 関口を引き離しにかかりました。その後方には#51 松下が続きましたが、後方から#20 平川亮(トヨタ)に攻め寄られる展開となりました。
タイヤ交換が許される最小ラップである10周目に#19 関口がピットインし、それを見たTEAM MUGENのピットは11周目に#16 野尻をピットインさせタイヤ交換を行いました。#16 野尻は見かけ上の順位を落としましたが#19 関口の1秒8前でコースへ復帰、トップの座を守りました。
早々にタイヤ交換を終えた#16 野尻、#19 関口に対し4番手の#20 平川は26周目まで走り続ける作戦を採ったので、#16 野尻はレース終盤、フレッシュタイヤを装着した#20 平川と戦わなければならなくなりました。この間、事実上3番手の#51 松下は15周でタイヤ交換を行い、2番手の#19 関口に迫りましたが届きませんでした。
26周目までタイヤ交換をしなかった#20 平川は単独走行でペースを上げ、計算上の#16 野尻との間隔を縮めにかかりました。しかし、26周を終えてタイヤ交換をする際、わずかにロスタイムがあり、結局3番手を走っていた#51 松下の背後でレースに復帰することとなりました。この時点で首位を走る#16 野尻と2番手の#19 関口との間隔は約3秒に広がっており、#16 野尻のポジションは安泰となりました。
3番手の#51松下は、#19 関口の背後約1秒のポジションにいましたが、フレッシュタイヤを装着した#20 平川がハイペースで接近し、レース終盤に接近戦を繰り広げることとなりました。その戦いをよそにトップの#16 野尻は危なげなく35周のレースを走りきり、この週末全セッションでトップとなる完全優勝で自身通算6度目、今シーズン3回目の優勝を遂げました。#51 松下も接近戦を戦い抜き、3位のチェッカーフラッグを受けました。今回のレースの結果、#16 野尻はシリーズポイントを76点へ伸ばし、シリーズ2戦を残しシリーズチャンピオンに王手をかけることとなりました。