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【2020シーズン総集編】シーズン後半戦で逆襲に転じたHonda勢。 山本尚貴がシリーズチャンピオンに輝き、国内2大シリーズのダブルタイトルを獲得

全日本スーパーフォーミュラ選手権は当初4月第1週に開幕予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大にともない年間スケジュールが見直され、4カ月半遅れの8月30日(日)、ツインリンクもてぎでようやく第1戦が開催された。参戦予定だった外国人選手が、日本国内への入国制限をはじめとするさまざまな新型コロナウイルス関連の影響を受けてエントリーを取り消し、急きょ代役選手が参戦するなど混乱があったものの、厳重な感染防止対策のもと、シリーズが始まると激戦が展開された。

【2020シーズン総集編】シーズン後半戦で逆襲に転じたHonda勢。 山本尚貴がシリーズチャンピオンに輝き、国内2大シリーズのダブルタイトルを獲得

8月のツインリンクもてぎ、9月の岡山国際サーキット、10月のスポーツランドSUGO、11月のオートポリスと、ほぼ1カ月おきに進んだ2020年シーズン。新鋭#65大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が開幕戦のスターティンググリッドでHonda勢の最上位につくなど新しい流れも見えたが、前半戦のHonda勢は総じて苦しい戦いを強いられていた。
シーズン前半戦の最上位は第3戦で#5山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が記録した3位で、開幕から3戦連続で優勝を逃してしまっていた。

ようやくHonda勢が逆襲に転じたのはシーズンも折り返しとなる第4戦オートポリスで、ポールポジションからスタートした#16野尻智紀(TEAM MUGEN)が#5山本との激戦を制して、Honda勢として今季初めての優勝を遂げた。


第4戦 野尻智紀がHonda勢としてシーズン初優勝
第4戦 野尻智紀がHonda勢としてシーズン初優勝

この時点でシリーズポイントランキングは、#16野尻がトップから15点差の3番手、#5山本が4番手、#64牧野が9番手と、Honda勢にとっては決して思わしい状況ではなかった。しかしシリーズを折り返して後半戦に突入すると流れが大きく変わり始めたのである。

後半戦の皮切りは、Honda勢が得意とする鈴鹿サーキットで、1大会2レース制のJAF鈴鹿グランプリ(第5戦および第6戦)であった。第5戦の予選では#5山本、#16野尻、#6福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1-2-3で予選上位を独占、レースでは#5山本が今季1勝目を記録。第6戦では#65大湯、#15笹原右京(TEAM MUGEN)、#5山本、#6福住が予選2-3-4-5に並び、決勝では快調だった#5山本はトラブルでレースから脱落してしまったものの、後を引き継いだ#65大湯、#6福住が1-2フィニッシュを飾った。国内トップフォーミュラに昇格したばかりの#65大湯にとってはスーパーフォーミュラデビュー6戦目での初優勝。Honda勢にとっては第4戦の#16野尻、第5戦の#5山本に続く3連勝となった。


第6戦 ルーキーの大湯都史樹が初優勝
第6戦 ルーキーの大湯都史樹が初優勝

後半戦の大逆襲の結果、シリーズ最終戦第7戦を残した段階でシリーズポイント争いの様相は大きく変わり、チャンピオンを争うランキングトップには#20平川亮(トヨタ)と同点で#5山本が並び、#16野尻も王座奪取の可能性を確保してチャンピオン決定戦に臨むこととなった。

富士スピードウェイで異例の12月中旬開催となったシリーズ最終戦。公式予選ではHonda勢の速さが目立った。気温、路面温度ともに低下して難しいコンディションとなる中、最終的に上位スターティンググリッドを決めるためのQ3セッションには6台のHonda勢が進出した。そして#16野尻が驚異的なコースレコードを記録してポールポジションを獲得、3番手に#5山本、以下#50松下信治(Buzz Racing with B-Max)、#15笹原、#6福住、#65大湯と、上位7台中6台のHonda勢がスターティンググリッドに並んだ。
決勝レースでは、スタートで#39坪井翔(トヨタ)が好スタートを切ってトップに立ち、それをHonda勢が追いかける展開となった。チャンピオンをかけて戦う#5山本はレース序盤から4番手につけ、王座を争う#20平川の前を走りながら激しくデッドヒートを繰り広げた。もうひとり、チャンピオンの可能性を持っていた#16野尻はトラブルでレースから脱落してしまった。最終的にレースは#39坪井が優勝し、2位に#65大湯、3位に#50松下が続き、#5山本は#20平川を押さえきって5位でフィニッシュ、2020年のシリーズ王座を獲得した。#5山本は自身3度目のスーパーフォーミュラチャンピオンとなると同時に、自身2度目のSUPER GT GT500クラスシリーズチャンピオンと合わせ、国内2大シリーズのダブルタイトルに輝くこととなった。

なお、2021シーズンは前年チャンピオンの山本尚貴が牧野任祐と入れ替わるかたちでTCS NAKAJIMA RACINGに移籍し、大湯都史樹とチームメートとなる。また、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは福住仁嶺と牧野がチームメートに。Threebond Drago CORSEは2020年と変わらずタチアナ・カルデロンが参戦。野尻智紀はTEAM MUGENから、大津弘樹はRed Bull MUGEN Team Gohから参戦が発表されている。


Naoki Yamamoto
Naoki Yamamoto 5
DOCOMO TEAM DANDELION RACING
真後ろに直接チャンピオンを争っているライバルの平川(亮)がいたので、非常にプレッシャーのかかる40周でした。平川は非常にフェアに戦ってくれました。彼が1年間、スーパーフォーミュラばかりでなくSUPER GTでも直接的なライバルとしていてくれたからこそ、僕も自分の能力を最大限発揮することができました。彼の存在が僕の能力を引き出してくれたのです。彼には心の底から『ありがとう』と言いたいです


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Points

順位 No. ドライバー エンジン 総合 有効 1 2 3 4 5 6 7
1 5 山本尚貴 Honda 62 62 5 11 16 23 7
2 20 平川亮 トヨタ 60 60 23 11 17 4 5
3 39 坪井翔 トヨタ 50 50 20 8 22
4 1 N.キャシディ トヨタ 57 50 5 11 20 4 6 3 8
5 16 野尻智紀 Honda 51 47 4 1 8 23 6 6 3
6 65 大湯都史樹 Honda 41 41 1 3 22 15
 
8 6 福住仁嶺 Honda 30 29 6 3 1 4 1 15
12 64 牧野任祐 Honda 20 20 2 4 11 3
15 50 松下信治 Honda 16 16 - - - 5 11
18 15 笹原右京 Honda 5 5 1 4
20 50 セルジオ・セッテカマラ Honda 3 3 - - 3 - - - -
12 塚越広大 Honda - - - - -
50 名取鉄平 Honda - - - - - -
50 高星明誠 Honda - - - - - -
51 シャルル・ミレッシ Honda - - - - -
64 大津弘樹 Honda - - - - -

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