ヴァン・ベバレンとシャレイナが総合順位で差を縮めるも、キンタニラがリタイア
今年のダカールラリー第8ステージは、Monster Energy Honda HRCにとって感情が入り混じる複雑な一日となりました。エイドリアン・ヴァン・ベバレンとトーシャ・シャレイナが好調な走りを見せ、総合順位で表彰台をキープ。一方で、ダカールラリーのレジェンドであるチームメイトのパブロ・キンタニラが残念ながらリタイアを余儀なくされました。
第8ステージは、ライダーたちにとって非常に長い一日となりました。アルドゥワディミからの72kmのリエゾン区間の後、484kmのタイムアタックを走破し、その後さらにサウジアラビアの首都リヤドまでの178kmリエゾン区間を進みました。
総合2位のトーシャ・シャレイナはこれまで安定した走りを見せており、首位のダニエル・サンダースとの差を毎日着実に縮めています。サンダースとラリー2クラスのライダーであるエドガー・カネットのすぐ後ろからスタートしたシャレイナは、ステージ序盤から注目の的となりました。というのも、彼は前を走る2人を追い抜くだけでなく、可能な限りボーナスタイムを獲得するため激しい走りを展開しながら、先頭を走る重圧にも耐えなければならなかったからです。
シャレイナは主にダートトラックで構成されたコースで見事に役目を果たし、4分22秒のボーナスタイムを獲得して3位でフィニッシュ。最速タイムを記録したルシアーノ・ベナビデスとわずか2分14秒差まで迫りました。ラリー開始から累計約45時間のレースを経て、このスペイン人ライダーは総合2位の座を守り続けています。今回のステージでサンダースとの差を3分半縮め、現在の総合順位では両者の差は11分となっています。
しかし、前日に3位でフィニッシュしたパブロ・キンタニラにとっては、一転して悲劇の日となりました。多くの道が交わる地点で高い段差に気づくのが遅れ、ブレーキを掛ける間もなく衝突。バイクから投げ出されて地面に激しく叩きつけられ、脳震盪と全身の打撲・擦傷を負ったキンタニラは、世界最過酷なラリーレイドに挑む13回目の挑戦でリタイアを余儀なくされました。9日間安定した走りを見せ、朝の時点で総合7位につけていただけに、今大会は残念な形で幕を閉じることになりました。
エイドリアン・ヴァン・ベバレンは序盤のナビゲーションミスで貴重な数分をロスしましたが、その後、キンタニラの事故現場に遭遇し、その時間的なロスは取るに足らないものとなりました。ルシアーノ・ベナビデスとともに30分間停車して負傷したチームメイトの援助にあたりました。ダカールラリーならではの強い友情が垣間見えました。これによりリズムを崩す可能性がありましたが、このフランス人ライダーは動じることなく、すぐにペースを取り戻しました。この停止時間は記録から差し引かれ、ヴァン・ベバレンはベナビデスから2分8秒遅れでステージを終ることができ、サウジアラビアでの最初の週に発生した問題から、着実に巻き返しを図っています。総合順位では3位を堅持しており、総合4位のベナビデスに対して9分のリードを保っています。
10番手からスタートしたリッキー・ブラベックはHonda CRF450 RALLYで前を行く選手たちのトラックを追いかけながら、各タイムチェックを突破し、ステージの大半でトップタイムをマークしました。終盤でややペースを落としたものの、ステージ最速タイムからわずか4分21秒差に収め、総合5位を維持しています。総合4位のベナビデスとの差は、わずか8秒です。
スカイラー・ハウズがトップとの差5分以内に滑り込んだことで、Monster Energy Honda HRCは、今日のステージで2位から5位までを席巻しました。このアメリカ人ライダーは、幸いにも昨日のクラッシュの影響を残すことなく、今朝も小さな転倒があったものの、フィニッシュラインに向けて砂丘を楽しみながら走り抜け、今日は昨日よりも遥かに明るいステージとなりました。
首都リヤドで一晩の短い休憩を挟み、明日の第9ステージでは、やや短めの357kmのタイムアタックに挑みます。このステージの大部分は高速トラックで構成されているため、総合タイムを稼ぐチャンスとなるでしょう。その先には、「エンプティ・クオーター(空虚の地)」の名で知られる広大なデューン(砂丘)が待ち構えています。
RallyGP ステージリザルト
Pos. | Rider | Num | Nation | Team | Constructor | Time/Gap |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | BENAVIDES Luciano | 1 | ARG | KTM Factory Racing Team | KTM | 04:50:46 |
2 | VAN BEVEREN Adrien | 42 | FRA | Monster Energy Honda HRC | Honda | + 02:08 |
3 | SCHAREINA Tosha | 68 | SPA | Monster Energy Honda HRC | Honda | + 02:14 |
4 | BRABEC Ricky | 9 | USA | Monster Energy Honda HRC | Honda | + 04:21 |
5 | HOWES Skyler | 10 | USA | Monster Energy Honda HRC | Honda | + 04:59 |
6 | SANDERS Daniel | AUS | KTM Factory Racing Team | KTM | + 06:44 | |
7 | CORNEJO FLORIMO José Ignacio | 11 | CHI | Hero Motorsports Team Rally | Hero | + 07:33 |
8 | GONÇALVES Rui | 19 | POR | Sherco TVS Rally Factory | Sherco | + 14:13 |
9 | MARÉ Aaron | 6 | RSA | Hero Motorsports Team Rally | Hero | + 14:40 |
10 | SVITKO Stefan | 142 | SLO | Slovnaft Rally Team | KTM | + 15:18 |
RallyGP 総合リザルト
Pos. | Rider | Num | Nation | Team | Constructor | Time/Gap |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | SANDERS Daniel | AUS | KTM Factory Racing Team | KTM | 44:26:52 | |
2 | SCHAREINA Tosha | 68 | SPA | Monster Energy Honda HRC | Honda | + 11:03 |
3 | VAN BEVEREN Adrien | 42 | FRA | Monster Energy Honda HRC | Honda | + 21:31 |
4 | BENAVIDES Luciano | 1 | ARG | KTM Factory Racing Team | KTM | + 30:48 |
5 | BRABEC Ricky | 9 | USA | Monster Energy Honda HRC | Honda | + 30:56 |
6 | HOWES Skyler | 10 | USA | Monster Energy Honda HRC | Honda | + 37:03 |
7 | CORNEJO FLORIMO José Ignacio | 11 | CHI | Hero Motorsports Team Rally | Hero | + 53:32 |
8 | SVITKO Stefan | 142 | SLO | Slovnaft Rally Team | KTM | + 01:57:41 |
9 | GONÇALVES Rui | 19 | POR | Sherco TVS Rally Factory | Sherco | + 02:29:07 |
10 | SANTOLINO Lorenzo | 15 | SPA | Sherco TVS Rally Factory | Sherco | + 02:37:06 |