MXGP 2025
Honda HRC

CRF450R

Honda CRF450Rは、Honda HRCのエンジニアと、Honda Racing Corporationおよび日本のHonda研究開発部門の技術力を集結して開発されたワークスマシンです。

CRF450R

このマシンは、エンジニアリングの効率とパフォーマンスを極限まで追求した傑作であり、2019年型のマシンでMXGP世界選手権を制した後、マシン全体を完全に再設計。2020年にティム・ガイザーがその新型CRF450Rを駆り、自身4度目の世界タイトルを獲得し成功を再現。さらに2022年には5度目のチャンピオンシップを手にしました。このマシンは、実績あるデザインと性能を受け継ぎながら、さらなるMXGP世界タイトル獲得を目指して何千時間もの労力を注ぎ込んで開発されました。そして、その成果を出すという重要な任務を託されたのが、ティム・ガイザーとルーベン・フェルナンデスという信頼のおけるライダーたちです。

2014年、HRCがMXGPへファクトリーチームとして復帰すると、CRF450Rの開発はマシンのスピードに匹敵する勢いで進められ、シーズン終盤の4勝を含む計5勝を挙げました。翌2015年には、冬季の集中的な開発プログラムを経て、CRF450Rは再び勝利を収め、世界選手権で2位と3位を獲得しました。そして2016年、HRCの3年間の開発計画が結実し、ティム・ガイザーがCRF450Rを駆り世界選手権タイトルを獲得しました。これは、Hondaにとって16年ぶりのMXGPタイトルとなりました。さらに、2016年シーズン終了時には、新型2017年モデルのCRF450Rが初めて披露され、エフゲニー・ボブリシェフがシーズン最終2戦で投入。その後、ガイザーがSMXライダーズカップにて新型マシンで初のモト勝利を記録しました。

2017年のMXGPシーズンでは、ティム・ガイザーが新型マシンで活躍を継続し、アルゼンチン、メキシコ、スウェーデンでのグランプリ優勝を含む8回のモト勝利を収めました。また、チームメイトのエフゲニー・ボブリシェフとともに、シーズン合計9回の表彰台を獲得しました。

2年後の2019年、ガイザーは再びHondaの記録を塗り替えることになります。7大会連続で総合優勝を飾り、最終的に202ポイントという大差でタイトルを獲得しました。これはHonda CRF450Rの圧倒的なパワーとパフォーマンスを証明する偉業となりました。

2020年は世界的なパンデミックの影響を大きく受けた波乱のシーズンとなりましたが、ガイザーはその状況に動じることなく、他のどのライダーより多い5回の表彰台最上段を獲得。また、最多レース勝利(15回)、最多表彰台(14回)、最多周回リード(226周)、最多ファステストラップ(11回)、最多予選ファーストピック(8回)、最多レッドプレート獲得(10回)を達成するなど、多くの部門で最多記録を樹立し、Honda史上最も成功したライダーとしての地位を確立しました。ゼッケン243のガイザーが、様々なコンディションのコースで、これほどまでに速く、そして素晴らしい走りを披露できたことは、ライダーとマシン双方の実力を証明するものでした。そして2021年には、またしてもシーズンを通して優れたパフォーマンスを見せ、前年に迫る成功を収めることができました。

2021年は、わずか21ポイント差でタイトルを逃しましたが、2022年には開幕7戦のうち6戦を制し、最後までレッドプレート(チャンピオンシップリーダーの証)を手放すことはありませんでした。その圧倒的な強さで、シーズン2戦を残して5度目のタイトル(MXGPでは4度目)を獲得しました。数々の記録が、近年最も成功したライダーとしての彼の地位を裏付けることとなりました。

2023年、ガイザーはプレシーズンでの怪我により順調なスタートを切ることができませんでした。しかし、新たにチームに加わったルーベン・フェルナンデスが見事な活躍を見せ、世界モトクロス選手権の開幕戦、パタゴニア・アルゼンチンGPで優勝を飾りました。その後も何度も表彰台に立つ活躍を見せ、チームに貢献しました。シーズン終盤に復帰したガイザーは最後の3戦で2勝を挙げ、その実力の高さを見せつけるとともに、2024年シーズンに向けて大きな自信を得る結果となりました。

2024年シーズン、ガイザーは4度の優勝を果たし、シリーズの大半をリードしていましたが、惜しくも6度目のタイトル獲得は叶わず、ランキング2位でシーズンを終えました。しかし、シーズンの最終イベントとなるモトクロス・オブ・ネイションズでは、チームメイトのルーベン・フェルナンデス、そしてHonda USのジェット・ローレンス、ハンター・ローレンス兄弟と共に、Honda CRF450Rが圧倒的な強さを見せ、全3モトで優勝を果たし、2つのモトでは2位も獲得。さらに、大会優勝を果たしたチーム・オーストラリアの3名全員がCRF450Rを使用しており、マシンの圧倒的なパフォーマンスを証明しました。

2025年シーズン、ガイザーとフェルナンデスは再びタッグを組み、この勢いのままMXGPクラスでのタイトル獲得に挑みます。開幕戦となるアルゼンチンGPは、3月1日・2日にコルドバで開催されます。 


CRF450Rは、クラス最軽量の市販マシンであり、Hondaの質量集中化の設計思想に基づき、モトクロスレース仕様においてもその軽量性と優れた操作性、そして使いやすいパワーデリバリーを兼ね備えています。スリムなボディラインに緻密に計算されたエアロダイナミクスが施され、低重心設計により空中でのコントロール性を高めています。

ファクトリーバージョンには、ピレリ製タイヤが装着され、ビレットチタン製のフットペグや、軽量化を図るチタンボルト、ファクトリー仕様のシリンダーヘッドやカムシャフト、特注のUSヨシムラ製エキゾーストなど、多くのカスタムパーツが採用されています。

Honda CRFは、オフロード全般において圧倒的な競争力を誇るマシンであり、その輝かしいモータースポーツの血統は、今後もさらなる成功を生み出していくでしょう。


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