Repsol Honda Team 現場レポート2021 - Vol.242

レース終盤はバニャイアとし烈なバトルに。勝負所となるコーナーのブレーキングでマルケスが前に出るものの、クロスラインで抜き返されるというスリリングな戦い。ラスト3周はサーキットに駆け付けた大観衆、テレビを観ている世界中のファンを興奮させました。

完全復帰が近いことを感じさせたマルク・マルケス。ラスト5戦の走りにますます注目です。

今大会、日本人としては初の200戦目を迎えた中上貴晶は10位。イギリスGPで今季初PPを獲得してベストリザルトの5位になり、今大会の活躍が期待されたポル・エスパルガロは13位と苦戦。アレックス・マルケスはオープニングラップのアクシデントで転倒リタイアに終わりました。今回のレースを、アルベルト・プーチHRC監督が振り返ります。

Honda勢のライダーたちにとっては、複雑な気持ちになるレースだったのでは…

「ほかのHondaライダーたちが苦戦している中で、マルク・マルケスの大活躍について触れずにはいられません。マルクはすばらしいレースをしました。彼は全力で最後の瞬間までがんばりました。再び、彼がトップを走る姿を見ることができてとてもうれしかったです。マルケスがアラゴンで速いことはわかっていましたが、彼のライバルのバニャイアも今回はとても強かったです。マルクはいつもこのサーキットで勝ってきましたが、今回の結果はシーズン全体で考えてすばらしい結果です。マルケスとRC213Vのコンビネーションは最高でした。彼とRepsol Honda Team全体にとってはうれしい結果でした」

体力的に苦しんだにもかかわらず、20ポイントを獲得しました。

「彼はいいパフォーマンスを見せてくれました。今シーズン2度目の表彰台にとても感謝しています。彼はまだ100%の状態ではありませんが、とてもいいパフォーマンスでした。そして、ここまで回復させてきた彼の決意を見ることができました」

一方、ポル・エスパルガロは日曜日、自分のベストペースを見つけることができませんでした。

「ポルにとっては簡単なレースではありませんでした。彼のライディングスタイルに合うマシンにするためには、まだ重要な要素が欠けていて、シルバーストーンのようなパフォーマンスができませんでした。決勝レースでは、思ったように減速ができませんでした。引き続き仕事に取り組み、問題を解決しなければなりません。彼とマシンのコンビネーションに足りないものを解決していきたいです」

レース後のポジティブポイントとネガティブポイントは?

「ネガティブなことはもちろんアレックス・マルケスの転倒と、中上貴晶とポル・エスパルガロが過去にいい走りをしたサーキットでトップグループに近づけなかったことです。しかしマルクのパフォーマンスには満足しています。このことは、これからのマシン開発と、レベルを上げ続けていくための大きな希望とモチベーションになります」

レース中のピットウォールからの眺めは?

「ペッコ(バニャイアの愛称)がとても強いことはわかっていましたし、彼はミスをしませんでした。彼におめでとうと言いたいです。もしペースが1分49秒台であれば、彼に勝てる可能性がもっとあったかもしれませんが、ペッコはとてもいい走りをしていました。モーターランド・アラゴンで重要なポイントは、マルクのDNAが変わっていなかったことが分かったことです。不可能に近くても、ドゥカティがストレートで強いことを知っていても常に挑戦し続けました。彼は決してあきらめません。彼のようなライダーがいることはHondaのような会社には重要です」

これからミサノに行きますが、ここはHRCにとって重要なレースであり、テストの場でもあります。

「すべてのレースが重要だと思っていますが、次週はステファン・ブラドルがワイルドカードで参戦しますし、グランプリのあとにはテストがあります。いろいろな意味で重要です。マシンを改善できるように努力してきました。エンジニアはテストで興味深いデータを収集し、将来に向けてマシンを改善していきます」

今週末は第14戦サンマリノGPがイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催されます。Honda勢の活躍に注目です。