Repsol Honda Team 現場レポート2021 - Vol.238
2年ぶりに開催された第8戦ドイツGPは、ケガから復帰して6戦目を迎えたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、2019年の最終戦バレンシアGP以来、2年ぶりの優勝を達成しました。
コロナ禍の中で、昨年、MotoGPクラスは7月のスペインGPでシーズンのスタートが切られました。そのレースでマルク・マルケスは右腕上腕を骨折し、以後、2020年シーズンを戦うことはできませんでした。
マルク・マルケスは、3度の手術を行い、9カ月にわたり治療とリハビリを続けてきました。そして今年4月の第3戦ポルトガルGPで9カ月ぶりに復帰を果たしましたが、右腕の状態が完全ではなく、過去5戦は思うような結果を残せませんでした。今大会も、予選は5番手。復帰してからベストグリッドを獲得しましたが、11大会連続でのポールポジション記録は達成できませんでした。しかし、決勝では、スタートから積極的な走りを見せて、見事、RC213Vで8大会連続優勝。自身にとっては、11大会連続で優勝するという快挙を成し遂げました。
マルク・マルケスのケガもあり、昨年、今年と厳しい戦いが続いているHonda陣営ですが、2年ぶりの優勝を果たしたマルク・マルケスとチームにとっては、大きなステップを刻む一日となりました。
世界中のレースファンに感動を与えたマルク・マルケスの復帰後初優勝をアルベルト・プーチHRC監督が振り返ります。
再び、優勝することができました。Hondaにとっては、とても重要な勝利になりました。
「ザクセンリンクで勝つことは、とても重要なことです。今日は非常に重要な日になりましたが、ライダーにとっては、それ以上に重要な一日になりました。マルク・マルケスは長期間レースができず、そして、リザルトを出せず苦しんできました。彼のようなライダーにとってはとても苦しいことです。彼の成し遂げたことに私たちは感謝しています。この期間の彼の努力に感謝しなければならないし、彼が成し遂げたことは本当にすばらしいことでした。Repsol Honda TeamとHRCのスタッフ全員、私たちをサーキットや舞台裏でサポートしてくれているエンジニア、技術者、すべての人たちにとっても、重要な日でした。今日は特別な日です。すべての人々、特にマルクに感謝する日になりました」
Hondaにとって、581日ぶりの優勝は、どんな意味があるのでしょうか?
「Hondaはこれまでにたくさんのレースで優勝してきました。それだけに、この期間は非常に辛いものでした。しかし、人生には時に難しい時期もあります。私たちは、RC213Vの問題を解決するために、できる限りの方法で問題を克服しようとしています。弱点があることは分かっています。マルクが100%の状態ではないことも分かっています。そういう状態で日曜日は勝利を手にすることができたし、重要な日になりました。しかし、問題が解決したとは思っていません。マルクだけではなく、私たちのライダーたちに最高のマシンを準備できるように努力しなければなりません」
ネガティブなポイントはありましたか?
「今日はマルクの日になりました。今日見たことに、とにかく感謝しています。しばらくこの瞬間を味わいたいと思います。でも祝っている時間はあまりありません。すぐにアッセン(オランダGP)です。チーム全員がこの数時間をそれぞれの方法で楽しんでいると思います。特にマルクはそうでしょう。私たちはアッセンへ移動します。アッセンでは遊んでいる暇はありません。アッセンでは全く違うシナリオが待ち受けています。寒く、雨が多いかもしれません。でもどんなストーリーになるのか楽しみです」
この結果が、これからのシーズンを変えることになるのでしょうか?
「正直言って、そうは思いません。自分たちの問題を解決しなければならないと思いますし、マルクは引き続き回復していかなければなりません。今シーズンはアップダウンがあるでしょう。ザクセンリンクの結果はとても重要ですが、これですべてが解決したわけではありません。解決したと考えるのは間違いです。少しずつでも改善できることを考え、アッセンでの新たな戦いに向き合わなければなりません」
休む暇もなく、今週はアッセンで第9戦オランダGPが開催されます。オランダGPも昨年はコロナ禍で開催できず、2年ぶりの大会となります。ロードレース世界選手権でもっとも古く長い歴史を誇るアッセンでHonda陣営は、再び、優勝を目指し全力を尽くします。