フィレンツェから約40km北に位置するムジェロ・サーキットは、イタリアのモータースポーツの聖地としてMotoGP世界選手権の中でも特別な場所です。高速で流れるようなコーナー群、そして伝説的な第1コーナーへと続く驚異的な高速ロングストレートを有するムジェロは、ライダーはもちろんレースファンの心を魅了してやまないサーキットです。

前戦アラゴンGPで見事7位を獲得したジョアン・ミルは、さらなるスピードとポイントを求めてイタリアへと向かいます。今シーズンはプラクティス、予選を通じて継続的にトップ10入りしながらも、日曜日の決勝では運に恵まれない場面が続いていました。しかし、アラゴンでようやく今季3度目のトップ10入りを果たしました。ミスやトラブルさえなければ、ミルは明らかにRC213Vを駆りHonda勢のトップを狙えるセットアップが整っています。冴えたスピードと前進を見せ続けてきたミルにとって、イタリアGPは伸び続ける成績を更に押し上げる最高の機会です。ムジェロでは2021年に3位表彰台を獲得しており、2020年MotoGP世界チャンピオンのミルは、本舞台での好走を熟知していると言えるでしょう。

そして今大会では、療養中のルカ・マリーニに代わって中上貴晶がHonda HRC Castrolライダーとして初参戦します。ル・マンではワイルドカード参戦を果たした中上は、Honda HRC Test Teamの一員としてHonda RC213Vの将来に向けた開発計画に携わり、テスト走行の距離を重ねています。今大会は、この日本人テストライダーがレース環境の中で貴重な走行経験を積むことで、さらなる開発データを収集し、将来の出場に向けて実戦感覚を磨く絶好の機会となります。2019年の5位獲得が、中上のムジェロでの最高成績となっています。

イタリア人ライダーのルカ・マリーニは順調に回復を続けており、アラゴンGPの週末には母国イタリアへの帰国を果たしています。可能な限り早期の復帰を望んでおり、マリーニは定期的に検査を受け、完全復帰のタイミングをチームと密に連携しながら見極めています。

サーキット情報

フィレンツェから北東に約30km、トスカーナの美しい田園地帯に位置するムジェロは、最新設備を誇る近代的なサーキットです。1988年にフェラーリが買収した全長5.245kmのコースは高水準の改修が施され、世界屈指の近代性と景観美、そして安全性を兼ね備えたサーキットとして名声を博しています。

低速から高速まで多彩なコーナー、大きく弧を描くカーブ、ロングストレート、そしてオフキャンバーコーナーを併せ持つムジェロは、ライダーとエンジニアたちにとって最も挑戦的なサーキットの一つです。1976年のMotoGP初開催を経て、大改修後の1991年から恒例の開催地となりました。美しい木々に囲まれたトスカーナの谷間に佇むムジェロには、熱狂的で愛国心あふれるイタリア人ファンを迎え入れる広大な観戦エリアが整備されています。

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