レッドブル・リンクは1969年に完成したサーキットで、当初はエステルライヒリンクという名称でしたが、95年にA1リンク、2010年にレッドブル・リンクへと改称されました。このサーキットでMotoGPが開催されたのは16年からで、オーストリアGPとしては9年連続。20年、21年のコロナ禍の中でレッドブル・リンクは2週連続の開催となり、その間に行われたスティリアGPを入れると今年で11回目の開催となります。

レッドブル・リンクは接戦になることが多く、スタートからゴールまで見応えのある戦いが繰り広げられます。コース前半はハードブレーキングと激しい加速競走、後半は中高速コーナーが続くハイスピードセクションという独特なレイアウトで、これまで多くの名勝負を生んできました。

ストップ&ゴーを得意とするジョアン・ミル(Repsol Honda Team)は、ここ数戦、マシン開発の方向性を見極めようと、さまざまなセッティングにトライしています。そのため思うような結果を残せていませんが、コーナーの進入など確実に前進しているパートもあり、引き続きレッドブル・リンクでマシンの改善に努めます。

ミルは、同サーキットでMotoGPが復活した16年にMoto3クラスで初優勝。17年は2連勝を達成しました。MotoGPクラスでは、タイトルを獲得した20年に2位で初表彰台を獲得し、21年にもスティリアGPで2位になっています。Repsol Honda Teamに移籍した昨年の大会は転倒リタイアでしたが、今大会は今季ベストに挑みます。

チームメートのルカ・マリーニは、第9戦ドイツGPで今季初ポイントを獲得し、後半戦のスタートとなった第10戦イギリスGPでも15番手でフィニッシュしましたが、空気圧違反のために残念ながら17位に後退しました。しかし、レースをこなすごとにRC213Vのパフォーマンスを引き出すことには成功しています。

これまでレッドブル・リンクでのマリーニは、Moto2時代の18年に3位、20年に2位になり2度の表彰台を獲得。MotoGPクラスでは、21年に5位、22年、23年は4位になっています。登り調子のマリーニが、得意とするレッドブル・リンクで上位を目指します。

○サーキット情報

レッドブル・リンクは、ウイーンから南西約200kmのシュピールベルクにあり、オーストリアのほぼ中央に位置します。1周4.348kmのコースは、アップダウンに富んだハイスピードコースで、コーナー数は11(右8/左3)とシンプルなレイアウトです。1969年に完成したときはエステルライヒリンクという名称でしたが、A1リンクに名称が変わってからの96年と97年にグランプリが開催されました。その後、2010年にレッドブル・リンクになり、16年からMotoGPの開催が復活しました。傾斜地に造られたサーキット中央には、高さ18mの「シュピールベルクの雄牛」があり、このサーキットの象徴となっています。レッドブル・リンクでMotoGPが復活した当初は全長4.318kmのコースで開催されていましたが、20年に大きな事故があり、MotoGPでは22年に第2コーナーにシケインを設置しました。山間部に造られたサーキットの標高差は65mあり、最終ラップの最終コーナーまで続くバトルはファンを魅了します。

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