Honda MotoGPの新カルテットが2023年シーズンの準備に着手
2023年シーズンの始まりを告げる今季最初の公式テストが、2月10日から12日までの3日間、マレーシアのセパン・サーキットで行われました。昨年は、新型コロナの感染防止対策を施し、20年の2月以来、2年ぶりにセパンでテストが行われました。今年はコロナ禍以前のように通常どおりテストが実施され、MotoGPクラスの全チームが参加しました。
Honda勢は、Repsol Honda TeamとLCR Hondaの2チーム4選手がテストに参加しました。Repsol Honda Teamは、これまで6回タイトルを獲得しているマルク・マルケスと20年のチャンピオンで今季新加入のジョアン・ミル、LCR Honda CASTROLからは新加入のアレックス・リンス、LCR Honda IDEMITSUからは6年目のシーズンを迎える中上貴晶が参加しました。
セパン・サーキットは、1999年に完成。マレーシアGPの会場になるだけでなく、一年中、温暖な気候のために、ウインターテストの舞台として定着しました。セパン・サーキットの特徴は、長い2本のストレートとバラエティに富んだコーナーが続き、MotoGPマシンのテストには最適のコースです。大幅に改良された23年型RC213Vを初めてライディングした4選手は、3日間にわたって多くのメニューをこなしました。
昨今のMotoGPは、コーナーからの加速とコーナリング時のグリップを向上させるダウンフォースの空力特性がますます重要になっています。RC213Vには、HondaがF1やSUPER GTで培ってきた四輪の技術が活かされています。
2月17日(金)に30歳の誕生日を迎えるマルケスは、オフシーズンに十分なトレーニングをこなしました。そのため、20年7月にスペインのヘレスで骨折した右腕は、本来のパワーを発揮できるまでに回復してきました。昨シーズンは、RC213Vが直面する問題に苦しみましたが、その問題が解決すれば、MotoGPクラスで7度目となるタイトル獲得が現実味を帯びてきます。
今回のテストでマルケスは3日間で149ラップをこなしました。比較用の22年型マシンと23年型プロトタイプ3台の合計4台でテストは始まりましたが、テスト最終日には1台のマシンに集中し、いい方向性を見出すことができました。
初テストを終えて、マルケスは、トルクが向上しコーナーの立ち上がりもよくなった新型RC213Vのエンジンのパフォーマンスには満足していますが、トラクションとトップスピードのさらなる改善に取り組んでいます。最終日には1分58秒666をマークしてトップから1秒差に16台という接戦の中で10番手で今季初テストを終えました。今回は最速ラップを狙うのが目的ではなく、あくまでテストに集中しました。
HRCとRepsol Honda Teamのスタッフは、この3日間のデータを分析し、ポルティマオでのテストに向けてパフォーマンスを向上させる作業に入ります。
新加入のミルにとって、今回のテストの目的はRC213Vに慣れることでした。3日間で134ラップをこなしたミルは、トップから1秒差に16台という接戦の中、12番手で初テストを終えました。
昨年8月にHondaと契約を交わしたミルは、シーズン終了後のバレンシアテストで1日だけRC213Vに乗りましたが、マシンに完全に慣れるにはもっと時間が必要でした。この3日間、ミルはさまざまなセッティングを試し、速く安定したラップを刻むことを目標に取り組みました。また、ブレーキングとコーナーの進入では、日を重ねるごとに速さを身につけ、ライディングを楽しめるようになりました。
LCR Honda CASTROLに新加入のアレックス・リンスは、これまでMotoGPクラスで5勝を挙げています。速くてスムーズなライディングが特徴的なリンスは、この3日間でコーナリングスピードを向上させましたが、ブレーキングの安定性に課題を抱え、その向上に取り組みました。3日間でリンスは149ラップをこなし、1分58秒932で19番手でしたが、随所で速さを見せたことで、次回のテストで大きなステップを刻むことが期待されます。
MotoGPクラスで6年目のシーズンを迎える中上貴晶は、この3日間、23年型RC213Vでジオメトリーや車高を変えながら、セッティングに取り組みました。マルケス同様、中上も新しいエンジンのキャラクターには手応えを感じており、次回のポルトガルテストでは、車体とのマッチングに挑みます。
HRCの新テクニカルディレクターである河内健は、今回のテストで初めてライダーと一緒に作業を行いました。経験豊富な河内は、新型RC213Vのファインチューニングに取り組み、すでにライダーやスタッフと良好な関係を築いています。
次回のテストは3月11~12日、開幕戦の舞台となるポルトガルのポルティマオで行われます。今年は8カ月間で21大会が開催される史上最多のシーズンであり、土曜日には本来のレース距離の半分で行われるスプリントレースが行われます。1大会2レース、シーズン42レースという長丁場に向けて、RC213Vのパフォーマンスを最大限発揮するためのテストが、引き続き行われます。
HRC公式Instagramで最新情報をチェック!
https://www.instagram.com/hondaracingcorporation/