マルク・マルケスを欠く中でHonda勢が今季2度目のアルガルベに臨む
第17戦アルガルベGPが、11月5日(金)から7日(日)までの3日間、ポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキット(以下、アルガルベ・サーキット)で開催されます。アルガルベ・サーキットでロードレース世界選手権(WGP)が初めて開催されたのは2020年。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大幅に日程が変わり、最終戦ポルトガルGPとして開催されました。今年は4月に第3戦ポルトガルGPが開催されていますが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止になった大会も多く、第17戦アルガルベGPの開催が決まりました。
今季同一サーキットで2度大会が開催されるのは、カタールのロサイル・サーキット、オーストリアのレッドブル・リンク、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリに続き4番目となります。アルガルベ・サーキットは、08年にスーパーバイク世界選手権(WSBK)が初めて開催され、以来、WSBKの舞台として定着しました。昨年からはコロナ禍の中、MotoGP、そしてF1も開催されています。
ポルトガル南部に位置するアルガルベ・サーキットは、1周4.592km。起伏に富み、ブラインドコーナーの多い難コース。バリエーション豊かなコーナーが連続するテクニカルコースとして知られ、ライダーの好みがはっきりと分かれます。
ポルトガルGPは、1987年にスペインのハラマ、88年にスペインのヘレスで開催されました。そして2000年から12年まではポルトガルのエストリルで13年連続で開催され、アルガルベの3大会を含め、これが通算18回目となります。
前戦エミリア=ロマーニャGPで2位になったポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)が、2戦連続表彰台と初優勝に挑みます。前戦エミリア=ロマーニャGPでは、不安定なコンディションとなった予選で4番グリッドを獲得すると、チームメートのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)に続いて2位でフィニッシュ。Repsol Honda Teamとしては今季初、17年のアラゴンGP以来、4年ぶりの1-2フィニッシュを果たしました。
今年はRC213Vのセットアップを進めながら着実にリザルトを上げてきました。後半戦に入ると第12戦イギリスGPでは今季初PPから5位でフィニッシュ。第14戦サンマリノGPでは、予選6番手から7位になるなど、トップグループを視野に入れる走りを見せていました。KTMで参戦した昨年の最終戦ポルトガルGPでは、予選9番手、決勝4位という結果を残しています。前戦エミリア=ロマーニャGPで自己ベストとなる2位でフィニッシュしたポル・エスパルガロが、念願の初優勝に挑みます。
チームメートのマルク・マルケスは今大会を欠場します。アメリカズGP、エミリア=ロマーニャGPと2連勝中のマルク・マルケスは、10月30日(土)に行ったモトクロストレーニングで激しく転倒、脳震とうを起こしました。医師とチームは念のため、完全に回復するのを待って復帰することを決断。MotoGPクラスで6度のタイトルを獲得しているマルク・マルケスは、昨年7月のスペインGPで右上腕を骨折、長いリハビリを行い、今年4月のポルトガルGPで復帰しました。以来、今季3勝を挙げて調子を上げてきているだけに残念な欠場となりました。
代役としてテストライダーのステファン・ブラドルが出場します。ブラドルは、今季4戦に出場しています。開幕戦カタールGP、第2戦ドーハGPは、マルク・マルケスの代役として出場し、11位&14位。その後、第4戦スペインGPにワイルドカードで出場して12位、第14戦サンマリノGPで14位とすべてのレースでポイントを獲得、マシン開発に大きな貢献を果たしています。昨年はマルク・マルケスの代役として13大会に出場して最終戦ポルトガルGPでは予選6番手、決勝7位という結果を残しています。今季5回目の出場、そして2年連続で出場するアルガルベ・サーキットでどんな走りを見せてくれるのか注目されます。
16戦を終えて、第4戦スペインGPの4位を最高位に総合15位につける中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が、初表彰台獲得に挑みます。今年はマシンのセットアップが決まらず、思うような走りができませんでした。しかし、後半に入ってからは、得意とする中高速コーナーで速さを発揮できるようになり、アメリカズGPで予選5番手になるなど、着実に調子を上げています。その走りをなかなか結果につなげられないレースが続いているだけに、今大会は大きなステップを刻む意気込みです。昨年の最終戦ポルトガルGPでは、エスパルガロを追撃し、5位でフィニッシュしています。「この2連戦は来季につながる走りをしたい」と意気込む中上の走りに注目です。
昨年、MotoGPルーキーで2度の表彰台を獲得しているアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が、終盤の2連戦で今季最高の走りに挑みます。今年は新品タイヤのパフォーマンスをうまく活かせず、一発のタイムが要求される予選で苦戦。いいグリッドを獲得できず、決勝レースも厳しい戦いが続いています。ユーズドタイヤでは上位を狙える走りをしているだけに、来季に向けてウイークポイント克服に挑みます。
アレックス・マルケスは、今年の4月に行われた第3戦ポルトガルGPでは8位でフィニッシュ。昨年の最終戦ポルトガルGPでも9位と2戦連続でシングルフィニッシュを果たしています。3回目となる今大会は、予選でいいグリッドを獲得し、今季初表彰台を目指します。