マルク・マルケスが過去6度の優勝を果たしているサンマリノに挑む
ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ(以下、ミサノ)で9月17日から19日までの3日間、第14戦サンマリノGPが開催されます。昨年に続き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今年は第15戦アメリカズGPを挟み、第16戦エミリア・ロマーニャGPが同サーキットで開催されます。同一サーキットで2戦が開催されるのは、カタール(ロサイル・インターナショナル・サーキット)、ポルトガル(アルガルベ・インターナショナル・サーキット)、オーストリア(レッドブル・リンク)に続き、4番目のサーキットとなります。
ミサノでは昨年も第7戦サンマリノGP、第8戦エミリア・ロマーニャGPの2戦が2週連続で開催されました。
ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリは、2011年のマレーシアGPにおいて、不慮の事故で亡くなったマルコ・シモンチェリ選手に敬意を表し、12年にミサノ・サーキットから現在の名称へと変更されました。
ミサノは、1993年にイタリアGPが開催されたのを最後に、2006年までグランプリの舞台から外れ、サンマリノGPも93年のムジェロを最後に開催が中断されていました。しかし、07年にミサノ・サーキットはコースの全面改修を受け、14年ぶりにグランプリの舞台として復活。同時にサンマリノGPも復活し今年で15年目を迎えます。
ミサノは従来左回りのコースでしたが、07年の大改修で右回りに変更されました。そのときのコース全長は4.180km。08年にはコースの一部が改修され、4.226kmに延長されました。
ミサノは低中速のコーナーが連続するテクニカルコースで、リズミカルな走りを要求されます。Honda勢としては、直近14年の大会で、10年にダニ・ペドロサが勝利、15年は“フラッグ・トゥ・フラッグ”の難しいレースとなる中、マルク・マルケス(Repsol Honda Team)が大会初制覇を果たしました。16年はペドロサが6年ぶり2度目の優勝を果たし、17年はウエットコンディションの中でマルク・マルケスが2度目の大会制覇を果たし、19年は、ファビオ・クアルタラロ、マーベリック・ビニャーレスのヤマハ勢とし烈な優勝争いを繰り広げたマルク・マルケスが最高峰クラスで3度目の優勝を果たしました。
前戦アラゴンGPでは、マルク・マルケスがフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)とし烈な優勝争いを繰り広げて2位になりました。終盤のバトルは世界中のレースファンを興奮させ楽しませました。ラスト3周で実に7回首位に立ちましたが、クロスラインで抜き返されるというスリリングな戦いでした。そして最終ラップの攻防でマルク・マルケスは、汚れた路面でグリップを失いタイムロス、バニャイアの先行を許しました。
しかし、今年4月の第3戦ポルトガルGPでケガから9か月ぶりの復帰を果たしてから初めてドライコンディションで優勝争いを繰り広げました。第8戦ドイツGPの優勝は、レース中に雨が降るなど不安定な天候が追い風となりましたが、アラゴンGPの2位は、マルク・マルケスにとっては完全復活に向けて大きな一歩となるレースでした。依然として右腕が完全に回復していないマルク・マルケスにとっては再び厳しい戦いがまちうけていますが、今季3回目の表彰台と今季2勝目の期待が膨らみます。
これまでマルク・マルケス、2010年に125cc(現在のMoto3クラス)、11年、12年にはMoto2クラスで、MotoGPクラスでは15年、17年、19年とミサノで6回の優勝を達成しています。
そして今週の金曜日(9月17日)は、Hondaにとって歴史的な日になっています。今からちょうど60年前の1961年9月17日、イギリス人ライダーのマイク・ヘイルウッドが4気筒RC162を駆りスウェーデンGPで優勝し、Hondaとしては初めて250ccクラスを制しました。その1カ月後、オーストラリア人のトム・フィリスが2気筒のRC144で125ccクラスを制覇しています。
この年は、250ccでは1位から5位までをHonda勢が独占、125ccでは1位から5位までに4台のHonda勢が入るなどし、初のコンストラクターズ世界選手権も獲得しました。昨シーズン、Hondaはグランプリ通算800勝を達成しています。これまで数々を記録を樹立してきたHondaですが、その中でもマルク・マルケスは大きな貢献を果たしています。
チームメートのポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は、この数戦、RC213Vのパフォーマンスを引き出し、Hondaに移籍して初の表彰台、初優勝の期待が膨らんでいます。第12戦イギリスGPではHondaに移籍して初のポールポジションを獲得。移籍後のベストリザルトとなる5位でフィニッシュしました。前戦アラゴンGPでは思うような結果を残せませんでしたが、今大会は、イギリスGP以上の活躍が期待されます。
後半戦に入って、得意なサーキットが続いたにもかかわらず、やや苦戦している中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、レッドブル・リンク、シルバーストーン、モーターランド・アラゴンと続いた高速サーキットとはキャラクターの違うミサノに闘志を燃やしています。Moto2時代にはミサノで3度の表彰台を獲得(13年、15年、16年)しています。MotoGPクラスでは、昨年の2連戦で9位&6位でフィニッシュ。今年は初表彰台、初優勝に挑みます。
アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、昨年の2連戦では、17位&7位という結果でした。これまでミサノでは、Moto3時代は、13年に3位、14年に2位、Moto2クラスでは19年に3位と表彰台に立ってきました。前戦アラゴンGPは、オープニングラップのアクシデントで転倒リタイア。アラゴンGPからの2連戦となる今大会はその雪辱に挑みます。
今大会は、テストライダーのステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)がワイルドカードで出場します。今年は開幕戦カタールGP(11位)、第2戦ドーハGP(14位)にマルク・マルケスの代役として、第4戦スペインGPにはワイルドカードで出場(12位)しており、今季4回目の出場となります。大会終了後には2日間のテストが予定されており、終盤の4戦に向けて重要なテストに取り組みます。