今大会、2列目から好スタートを切ったマルク・マルケスは、オープニングラップ2番手。PPスタートのバニャイアを追う展開となり、それからは3位以下にリードを広げ、一騎打ちの様相となりました。そして、レース終盤に入ると、マルク・マルケスは、バニャイアに何度も仕掛けます。1コーナー、5コーナー、12コーナー、そして15コーナーのブレーキングで何度もバニャイアに先行しますが、クロスラインで抜き返されるというし烈な戦い。ラスト3周の2人の激しい攻防は、サーキットに集まったファンを興奮させました。
マルク・マルケスは、昨年7月のスペインGPの決勝で転倒して右腕上腕を骨折し、9カ月のブランクを経て今年4月のポルトガルGPに復帰を果たしました。しかし、右腕の状態は完全ではなく、ドライコンディションではレース距離を走るのがやっとの状態。復帰6戦目の第8戦ドイツGPでは、レース中に小雨がふる不安定なコンディションとなり、復帰初優勝を達成しましたが、その後、ドライコンディションでは優勝争いになかなか加われず、厳しい状態が続いていました。しかし、後半戦のスタートとなったレッドブル・リンク、シルバーストーンでは、着実に右腕の状態が回復していることを感じさせる走りを見せ、今大会は、その走りを結果につなげました。
予選11番手から決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、10位でフィニッシュしました。今大会は、トップグループと遜色ない走りをしましたが、フリー走行、予選では大接戦の中で11番手と期待したようなグリッドは獲得できませんでした。そして決勝も10番手前後の戦いとなり、なかなか前に出ることができませんでした。スタートからゴールまで混戦の中で戦い続けた中上は、終盤はファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)、ホルヘ・マルティン(ドゥカティ)、イケル・レクオナ(KTM)、アレックス・リンス(スズキ)と8位争いの接戦を繰り広げ、クアルタラロ、マルティンに続いて10位でフィニッシュしました。
前戦イギリスGPで調子を上げたポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は、予選8番手から今季初表彰台獲得に挑みましたが、思うようにペースが上がらず13位でした。フリー走行、予選との連続ラップでは、マルク・マルケスとともに表彰台を狙える走りをしていましたが、想定していた1分48秒台で走ることができず苦しい戦いとなりました。
予選14番手から決勝に挑んだアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、オープニングラップに転倒しリタイアに終わりました。転倒したのは、目の前で数人のライダーが接触し、それを避けるためにブレーキをかけた中上のリアタイヤに接触したためで、不運のレースとなりました。