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MotoGP 2021
Round 12

Honda RC213V勢がシリーズ屈指の高速サーキットに挑む

gb Silverstone Circuit

第12戦イギリスGPが、8月27日(金)~29日(日)の3日間、ノーザンプトン郊外のシルバーストーン・サーキットで開催されます。昨年は新型コロナの感染拡大の影響で開催が中止となり、2年ぶりの大会開催となります。

Honda RC213V勢がシリーズ屈指の高速サーキットに挑む

イギリスGPは、1949年から1976年までは「Tourist Trophy」として、マン島の公道コースで開催されていました。マン島は、Hondaが世界に初挑戦した舞台で、最高峰クラスでは1966年と67年にマイク・ヘイルウッドが優勝しています。その後、77年~86年の10年間はシルバーストーンへと舞台を移し、84年にはランディ・マモラ、85年にはフレディ・スペンサー、そして86年にワイン・ガードナーと、グランプリの歴史に名を刻んだ名選手たちが、Hondaのマシンで優勝しました。

87年~2009年の23年間はドニントンパークで開催され、Hondaはガードナー、ミック・ドゥーハン、バレンティーノ・ロッシ、マックス・ビアッジ、ダニ・ペドロサ、アンドレア・ドヴィツィオーゾが通算11勝を挙げています。そして、2010年には再び、コースの全面改修を終えたシルバーストーンでグランプリが開催されるようになりました。18年大会は雨の影響で決勝レースがキャンセルとなり、20年は世界的なパンデミックで中止となりました。シルバーストーンにグランプリ復帰して今年で12年目。大会開催は11回目となります。

シルバーストーンは1周5.9kmと、現在グランプリが開催されているサーキットでは最も長いコースです。アベレージスピードは175km/h前後。オーストリアGPのレッドブル・リンク、イタリアGPの開催地であるムジェロ、オーストラリアGPが行われるフィリップアイランドと並び、カレンダー屈指の高速サーキットです。Hondaはシルバーストーンにグランプリが復帰してから過去11度の大会(決勝レースは10回)で、11年にケーシー・ストーナー、14年にマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が優勝しています。しかしそれ以降優勝がないだけに、今年は7年ぶりの大会制覇を目指します。

今季11戦を終えて総合11位につけるマルク・マルケスは、第3戦ポルトガルGPで復帰してこれが10戦目となります。昨年のスペインGPで負傷した右腕の状態はまだ完全ではありませんが、レースをこなすごとに確実にパフォーマンスを上げています。復帰してからの9戦では、第8戦ドイツGPで復帰後初優勝を達成。ドイツGPは左周りのコースで右腕に負担が少なく、レース中に小雨が断続的に降るという不安定な天候が追い風となりました。

それ以外のレースでは、まだまだマルク・マルケス本来の走りにはほど遠いものですが、前戦オーストリアGPでは、ドライコンディションでは復帰後初めてトップグループで戦うことができました。レース結果は15位。終盤、“フラッグ・トゥ・フラッグ”でマシンをチェンジ。雨の中で優勝争いに加わりながらも転倒という悔しいレースになりましたが、今大会の走りに注目されます。

過去、シルバーストーンでは、10年に125cc(現Moto3)クラスで優勝、12年にはMoto2クラスで3位。MotoGPクラスにステップアップした13年は2位になり、14年の大会では優勝しました。以後、雨のレースとなった15年は優勝争いに加わるも転倒リタイア。16年はタイヤの選択がベストではなく4位、17年はエンジントラブルでリタイアと不運のレースが続き、18年は決勝レースが雨の影響でキャンセル(降雪のために中止になった1980年のオーストリアGP以来のキャンセル)。19年はA・リンス(スズキ)とし烈な優勝争いを繰り広げて2位でした。

シルバーストーンは不安定な天候になることが多く、選手たちを悩ませます。その中でもマルケスは過去11回の大会において、10年(125cc)と11年(Moto2)、MotoGPクラスでは13年、14年、15年、17年、19年と合計7回のポールポジションを獲得しています(通算62回は史上最多記録を更新中)。決勝では、マルク・マルケスが最高峰クラスにチャレンジした13年から19年まで6回の決勝レースで、マルク・マルケスを含め6人のウイナーが誕生しています。不安定な天候に加え、スリップストリームの使い合い、タイヤ選択の難しさなどシーズンを通してもっとも予測のつけられないサーキットの一つとなっています。

マルク・マルケスのチームメートであるポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は、後半戦のスタートとなったレッドブル・リンクの2連戦では、ハイスピードサーキットでRC213Vのパフォーマンスを引き出すためにセットアップに集中しました。思うような結果を残せませんでしたが、過去2戦のデータを今大会に活かす意気込みです。

これまでシルバーストーンでは、Moto2時代の12年に優勝しています。このレースでは、マルク・マルケスが3位になっており、マルク・マルケスと一緒に表彰台に上がっています。10年の125ccクラスでは、マルク・マルケスが優勝、ポル・エスパルガロが2位。最高峰クラスでも、Repsol Honda Teamの2人で揃っての表彰台獲得が期待されます。

シーズン4年目を迎える中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、シーズンを通じてもっとも得意とするシルバーストーンに闘志をかき立てています。Moto2時代は、13年2位、16年3位、17年優勝と3回の表彰台に立っています。MotoGPクラスでは思うような結果を残せていませんが、今年の走りに注目されます。

今年は11戦を終えて第4戦スペインGPの4位が最高位。レッドブル・リンクの2連戦は5位と13位。厳しい燃費などに苦戦しましたが、そのデータを今大会に活かす意気込みです。

チームメートのアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、昨年大会がキャンセルとなっているため、シルバーストーンをRC213Vで走るのは初めてとなります。アレックス・マルケスは、これまでシルバーストーンでは、Moto3時代の13年に3位、14年に2位になり、この年はMoto3チャンピオンを獲得しています。Moto2クラスでは、15年の4位が最高位ですが、19年にはタイトルを獲得しています。この数戦は、今年の課題の一つだった新品タイヤのパフォーマンスを活かす走りで大きく前進しているだけに、今大会のフリー走行、予選の走りに注目です。

今年は11戦を終えて、まだ表彰台獲得はありませんが“フラッグ・トゥ・フラッグ”になった第5戦フランスGPでは今季ベストの6位。レッドブル・リンクで開催された2連戦では2戦連続9位と着実にリザルトを上げています。今大会は、今季初表彰台獲得と初優勝が期待されます。


Marc Marquez
Marc Marquez 93
Repsol Honda Team
オーストリアではスタンドにファンがいて楽しいレースになりました。2年ぶりにイギリスのファンに会えるのがとても楽しみです。レースでのポジションは変わっていませんが、今週末も日曜日へ向けて仕事に取組み前進していきたいと思います。オーストリアではスピードがあり、バトルもできました。しかし、シルバーストーンは同じ高速サーキットでも特徴がかなり違うので、たくさんのライダーが力強い走りをすると思います

Pol Espargaro
Pol Espargaro 44
Repsol Honda Team
シルバーストーンでどのような走りができるか楽しみです。一周の距離が長いサーキットで、オーストリアとはかなり違います。まずはこのサーキットでマシンがどのように機能するか理解する必要があります。それから週末のプランを立てていきたいと思います。目標はオーストリアで抱えていた問題を直し改善することです。前回はファンの前でレースができて楽しかったので、今週末もファンの前でレースができることが楽しみです

Takaaki Nakagami
Takaaki Nakagami 30
IDEMITSU Honda LCR
2年ぶりにシルバーストーンでレースができるのでとてもうれしいです。最後にシルバーストーンへ行ったのは2019年です。僕とは相性がいいサーキットで、Moto2クラスで優勝したこともあり、いい結果を残してきました。日曜日にいい結果を残せるよう、いつものようにベストを尽くします。レースウイークを通していい天気になることを願っています

Alex Marquez
Alex Marquez 73
LCR Honda CASTROL
昨年はシルバーストーンでレースができなかったので、再びシルバーストーンへ行くことができてとてもうれしいです。2019年に訪れたときはアスファルトが新しく、とてもよいトラックでした。今回の路面コンディションが楽しみです。このサーキットのレイアウトは僕のライディングスタイルに合っています。速くなるためにはコーナーでの勢いをキープすることが必要です。モチベーションはとても上がっています。レッドブル・リンクでポジティブな2週間を過ごしたのでかなり自信もあります。これはとても重要なことです。再びチームと仕事に取り組むことができてうれしいです。スタッフに早く会いたいです

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