2年ぶり開催のドイツGPでHonda勢が表彰台に挑む
第8戦ドイツGPが、6月18日(金)~6月20日(日)の3日間、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開催されます。昨年はコロナ禍で開催が中止となり、今年は2年ぶりとなります。
ザクセンリンクの歴史は古く、1927年に初めて公道を使ったレースが行われ、1961~1972年には、東ドイツGPの舞台となりました。そして、90年に東西ドイツが統合されると、ザクセンリンクでのグランプリ復活を望む声が高まり、1998年に全面改修を行いドイツGPの舞台として復活しました。今年で23度目の開催となります。
グランプリが復活した当初のザクセンリンクは、一周3.508kmのショートコース。タイトなコーナーが連続し、ストレートも短く、エンジンパワーをほとんど発揮できないレイアウトでした。
そのため、2001年にコースの後半部分が改修されて3.704kmへと延長されました。さらに、03年にはコース幅を広げる改修が行われ、全長は3.671kmへとわずかに短くなりましたが、MotoGPマシンのパフォーマンスを発揮できるコースに生まれ変わりました。以来、ザクセンリンクは、パッシングポイントの多い白熱した戦いが繰り広げられるサーキットとして、選手たちから好評です。
過去22回の大会でHondaは16勝を挙げています。これまでザクセンリンクで優勝してきたHondaライダーは、ミック・ドゥーハン、アレックス・バロス、バレンティーノ・ロッシ(現ヤマハ)、セテ・ジベルノー、マックス・ビアッジ。18年に引退したダニ・ペドロサは、2007年、10年、11年、12年と4勝を挙げています。さらに、13年にMotoGPクラスにデビューし、史上最年少記録でチャンピオンに輝いたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、13年から19年までドイツGP7連勝を達成してきました。Repsol Honda Teamは、過去10回大会を制覇、今年は11回連続制覇、Hondaとして17回目のザクセンリンク制覇に挑みます。
昨年7月のスペインGPで右腕上腕を骨折、今年4月の第3戦ポルトガルGPで復帰したマルク・マルケスは、復帰6戦目を迎えます。マルク・マルケスは、復帰戦のポルトガルGPは着実に完走を目指し7位。続くスペインGPはフリー走行の転倒などの影響で決勝は9位でしたが、以後、フランスGP、イタリアGP、カタルニアGPと3戦連続で転倒リタイアが続いています。右腕の回復が完全ではなく厳しい走りを強いられていますが、レースをこなす毎に本来の走りを取り戻しています。
カタルニアGP翌日の公式テストでは最多周回数をこなし、着実に右腕が回復していることを感じさせました。加えて今大会は左周りのコースのため、右腕への負担が少なく、マルク・マルケスにとってはいい条件となっています。マルク・マルケスにとってザクセンリンクは、これまでもっとも得意としてきたサーキット。125cc(10年)、Moto2クラス(11年、12年)を含めると10年連続でポール・トゥ・ウインを達成しています。2年ぶりの開催となった今年は復帰後初の表彰台、優勝も期待されますが、まずは、今季ベストを目指します。
チームメートのポル・エスパルガロは、今大会もRC213Vで初めて挑むサーキットとなります。Moto2クラスでは、13年に3位表彰台に登壇していますが、MotoGPクラスにスイッチしてからは14年の7位が最高位となっています。この数戦、ポル・エスパルガロは、レースをこなす毎に着実にRC213Vのパフォーマンスを引き出しているだけに、開幕戦カタールGPと第5戦フランスGPの8位をこえるベストリザルトと初表彰台獲得に挑みます。
7戦を終えて総合11位とHonda勢で最上位につける 中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は2年ぶりのザクセンリンクで初表彰台、初優勝が期待されます。今年は第4戦スペインGPで表彰台にあと一歩に迫る4位でフィニッシュしました。その後、得意のサーキットを迎えますが、”フラッグ・トゥ・フラッグ”となったフランスGPでは7位、イタリアGPでは転倒リタイア。前戦カタルニアGPは2度のロングラップペナルティーで13位と悔しいレースに終わっています。過去、ザクセンリンクでは、いい走りを見せるも結果につなげられませんでした。一昨年の大会も、連戦となったオランダGPの転倒でケガのために満足な走りができず14位でした。今年は、その雪辱に挑みます。
アレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、今季7戦を戦い、第3戦ポルトガルGPで8位、第5戦フランスGPで6位、第6戦イタリアGPで14位、第7戦カタルニアGPで11位と確実にポイントを獲得しています。課題は予選。新品タイヤのパフォーマンスを活かせず、いいグリッドを獲得できないこと。それが決勝レースを厳しいものにしています。ザクセンリンクは、Moto2クラスでチャンピオンを獲得した19年に優勝しています。今大会は予選の課題に取り組み、今季初表彰台、初優勝に挑みます。