ル・マンと相性のいい中上貴晶らHonda勢が雨の週末に挑む
第5戦フランスGPが、5月14日(金)~16日(日)の3日間、ル・マン・サーキット(ブガッティ・サーキット)で開催されます。フランスGPは、1951年に第1回大会が行われ、今年で58回目を迎えます。
ル・マンでは、1969年に初めてグランプリが開催されました。その後、ポール・リカール、ノガロ、マニクールなどを経て、2000年に再びグランプリの舞台となり、今年で22年連続、ル・マンでは通算34度目の開催となります。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で大幅にカレンダーが変更となり、10月上旬に開催されましたが、今年は例年通り5月の開催となりました。
ル・マンは、自動車の24時間耐久レースの舞台としても知られています。このレースは、一部に一般道路を利用するサルト・サーキットで行われます。一方、グランプリや2輪の24時間耐久レースは、一周4.185kmのブガッティ・サーキットで行われます。
ブガッティは、全体的にストレートが短く、典型的なストップ&ゴーのレイアウト。パッシングポイントが少なく、シケインやヘアピンが勝負どころとなり、激しいブレーキング競争が見ものです。俊敏な旋回性とエンジンの鋭い加速性能が問われるル・マン。こうした特徴を持つサーキットだけに、決勝レースではグリッドが非常に重要となり、予選では激しいアタック合戦が繰り広げられることになります。
昨年は、レースウイークを通じて不安定な天候となりました。決勝スタート直前に雨が降り始めると「Wet」が宣言され、定刻より10分遅れでスタートしました。気温12℃、路面温度14℃という厳しいコンディションでした。5月、6月に開催されていた過去13年を振り返っても、07~09年の3年間と、12年と13年は雨のレースとなり、レース中にマシンを乗り換えることができる“フラッグ・トゥ・フラッグ”が適用されるなど、不安定な天候になることが多く、的確なセットアップが求められます。
2000年にル・マンのフランスGPが復活してから過去20年間でHondaは10勝を挙げています。ケガから復帰のマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、今大会が3戦目となります。復帰第一戦となったポルトガルGPは7位。前戦スペインGPは9位。今大会も引き続き、右腕の状態を確認しつつ完全復帰を目指します。
過去マルケスは、Moto2時代の11年に、MotoGPクラスでは、14年、18年、19年と3度優勝しています。今年も不安定な天候が予想されますが、徐々にペースを取り戻しているマルケスの走りに注目です。
チームメートのポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は、移籍5戦目を迎えます。開幕戦カタールGPは8位、第2戦ドーハGPは13位、第3戦ポルトガルGPはトラブルでリタイア、そして前戦スペインGPは10位と苦戦が続いています。しかし、スペインGP後に行われた公式テストでは問題点を徹底的に追求し大きな前進を果たしました。
2010年の大会では125ccクラスで優勝。このときはマルケスが3位になっており、フランスGPで一緒に表彰台に立っています。昨年、ウエットコンディションで開催された大会では3位表彰台獲得。今大会はHonda移籍後の初表彰台、初優勝を目指します。
中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、自身初の表彰台獲得に挑みます。序盤のカタールラウンド2戦ではマシンのバランスに苦しみましたが、第3戦ポルトガルGPではフリー走行の転倒の影響で最後尾21番手から10位まで追い上げ、前戦スペインGPでは、表彰台にあと一歩の4位と調子を上げています。
過去フランスGPでは、09年に125ccクラスでベストリザルトの5位、Moto2時代には、13年にキャリア初のPPを獲得しています。相性のいいサーキットだけに、今大会の走りに大きな注目が集まります。
アレックス・マルケス(Repsol Honda Team)は、得意のコースで今季ベストを目指します。デビューシーズンとなった昨年は、不安定な天候の中で初表彰台獲得となる2位でフィニッシュしました。今年はマシンのセットアップに苦戦し、カタールラウンドの2戦は転倒リタイアでしたが、徐々に調子を上げ、第3戦ポルトガルGPは8位でフィニッシュ、前戦スペインGPではさらに上位を目指しましたが、他者の転倒に巻き込まれて惜しくもリタイアでした。過去、ル・マンでは、Moto2時代の18年に2位、19年に優勝しています。今大会は、昨年のレースの再現、そして初優勝に挑みます。
*過去、最高峰クラスで優勝したHondaライダーは、83年と85年にフレディ・スペンサー(NS500) 、以後、エディ・ローソン(NSR500)、ミック・ドゥーハン(NSR500)、アレックス・クリビーレ(NSR500)、バレンティーノ・ロッシ(RC211V)、セテ・ジベルノー(RC211V)、マルコ・メランドリ(RC211V)、ケーシー・ストーナー(RC212V)、マルク・マルケス(RC213V)が優勝しています。