復帰2戦目のマルク・マルケスが得意のホームGPへ臨む
第4戦スペインGPが、4月30日(金)から5月2日(日)までの3日間、イベリア半島の南西部に位置するヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで開催されます。同サーキットは一周4.423km。バラエティーに富んだ大小13のコーナーがあり、そのすべてがパッシングポイントと言っても過言ではなく、毎年、厳しい戦いが繰り広げられます。
ヘレスでは、1987年に初めてグランプリが開催されました。以来、スペインGPの舞台として定着。同地で開催されるのは今年で35回目となります(88年はハラマで開催)。コロナ禍の中で、昨年は当初予定されていたこの時期の大会が延期となり、7月に第2戦スペインGPと第3戦アンダルシアGPが開催されました。グランプリ史上初の同一サーキットでの2連戦として開催され、シーズンを通じて5サーキットで2連戦が実施されるという過去に例のないシーズンとなりました。今年もコロナ禍の中で厳しいシーズンとなっていますが、今年は4月下旬から5月にかけて開催されることになりました。
ヘレスのあるアンダルシア地方は、一年を通じて温暖な気候で、平常時はウインターテストの舞台となりますが、今年は3クラスともにプライベートテストが行われただけでした。しかし、選手、チームともに経験値の高いサーキットであり、初日からレベルの高い走りが予想されます。
Hondaは、これまでヘレスで通算22勝を達成しています。2012年はケーシー・ストーナー、13年はダニ・ペドロサ、14年はマルク・マルケスとRepsol Honda Teamが3年連続で優勝しました。さらに、15年、16年は、マルケスが3位、2位と表彰台に登壇。17年はペドロサがポール・トゥ・ウインを達成し、マルケスが2位。18年はマルケスが14年大会以来、2度目の優勝、19年は3度目の優勝を達成し、Repsol Honda Teamは、06年から14年連続でスペインGPの表彰台に立ち続け、連続表彰台記録をさらに更新しましたが、昨年は2大会ともに表彰台を獲得することはできませんでした。今年は2年ぶりの大会制覇、表彰台を目指します。
昨年のスペインGPで右腕上腕を骨折して欠場が続いていたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、前戦ポルトガルGPで復帰を果たしました。ケガから3度の手術を受け、9か月という長い期間にわたる治療とリハビリ。9か月ぶりに復帰したポルトガルGPでは、まだ完全ではない右腕との苦しい戦いを続けながら7位でフィニッシュ。チェッカーを受けたマルケスは涙を浮かべ復帰の喜びを噛みしめることになりますが、そのシーンは、世界中のレースファンの感動を呼びました。
あれから約10日間、再びリハビリとトレーニングを続けたマルク・マルケスは、昨年ケガをしたヘレスサーキットで復帰第2戦を迎えます。昨年の大会はトップ快走中に痛恨のコースアウトを喫して16番手へダウン。そこから猛烈に追い上げて3位まで浮上。その後、転倒していますが、今年は昨年の雪辱に挑みます。
マルケスは、スペインGPで、MotoGPクラスにデビューした13年から19年まで表彰台に立ち続けました。13年は2位、14年に優勝、15年2位、16年3位、17年2位、そして18年は大会2度目の優勝を達成し、19年はヘレスで3度目の優勝を達成しています。12年のMoto2クラス時代の2位を含めて8年連続で表彰台に立ち、地元スペインのファンの期待に応えてきました。今年は復帰後、初の表彰台獲得を目標に挑みます。
チームメートのポル・エスパルガロも、今季ベストリザルト、そしてRepsol Honda Teamに移籍して初の表彰台と初優勝を目標に挑みます。カタールで行われた2連戦は、大接戦の戦いの中でミスもあり、8位/13位という悔しいレースでした。その雪辱に挑んだポルトガルGPでは、スタート直後にマシントラブルに遭遇してリタイアと、3戦を終えて表彰台獲得には至っていません。しかし、ヘレスでは、10年に125cc、12年にはチームメートのマルク・マルケスを抑えてMoto2クラスで優勝。MotoGPクラスでは15年の5位が最高位ですが、得意のヘレスで、Repsol Honda Team移籍後初の表彰台獲得に挑みます。
カタールの2連戦で転倒リタイアという厳しいシーズンのスタートを切ったアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)が、前戦ポルトガルGPで8位でフィニッシュ。今季初ポイントを獲得し、ニューシーズンのスタートを切りました。ヘレスでは、Moto2時代の17年にMoto2クラス初優勝を達成し、19年のMoto2クラスのタイトル獲得につながりました。
昨年、グランプリ史上初の同一サーキットでの2連戦となった初戦のスペインGPでは12位でしたが、続く第3戦アンダルシアGPでは8位へと一気にポジションを上げています。今年はさらに上位を狙う意気込みで、周囲の期待も大きくなっています。
チームメートの中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)も、カタールの2連戦では転倒/17位と低迷しましたが、前戦ポルトガルGPでは10位でフィニッシュしました。この大会、中上はフリー走行で転倒を喫し、右肩を負傷しました。その影響で予選を欠場し、最後尾21番手から決勝に挑みましたが、すばらしい追い上げを見せました。2連戦となった昨年の大会ではスペインGPで10位でしたが、アンダルシアGPでは表彰台へあと一歩に迫る4位と好走しました。今年は得意のヘレスで初表彰台獲得に挑みます。
今大会は、テストライダーのステファン・ブラドル(Team HRC)がワイルドカードで出場します。昨年、今年とマルク・マルケスの代役として出場し、マシン開発に大きな貢献を果たしました。また、Hondaにとっても貴重なポイントを何度も獲得しています。ウインターテストでヘレスを走ってきたブラドルの最大の目標は、マシンの開発を確認すること。今大会の活躍にも注目されます。