1949年にスタートしたロードレース世界選手権は今年73年目のシーズンを迎えます。これまでHondaは、NS500、NSR500という2ストロークエンジンを搭載した500ccGPマシンを投入して11回のコンストラクターズタイトルを獲得。4ストロークエンジン搭載のMotoGPクラスになってからは、RC211V(5気筒)、RC212V(4気筒800cc時代)、RC213V(4気筒1000cc)で12回のタイトルを獲得しました。

この間、Hondaは、21回のライダーズチャンピオンを獲得し、今季は、ライダーズタイトルとコンストラクターズタイトルの記録更新に挑みます。

カタールGPは、04年に第1回大会が行われ、08年には史上初のナイトレースとして開催され、大きな話題となりました。11年からは、夜間の作業を軽減するため、通常3日間の開催を4日間に分散する変則スケジュールで行われてきましが、18年以降は、ナイトセッションの走行時間を減らし、セッション開始時間を早める処置が取られ、再び3日間開催となりました。

今年、Repsol Honda Teamに加入したスペイン人のポル・エスパルガロは、Moto2時代からマルク・マルケスとライバル関係でした。今年28歳のマルケスは12年にMoto2クラスを制し、13年にMotoGPクラスへ。ポル・エスパルガロは、13年にMoto2クラスでチャンピオンに輝き、14年にMotoGPクラスへ挑戦を開始しました。29歳のポル・エスパルガロは、MotoGPクラスで戦うのは今年で8年目。これまで4回の表彰台を獲得し、今年はHondaRC213Vでの活躍に期待されます。

今年もコロナ禍での開催となり、厳しいシーズンのスタートとなりました。そのため、公式テストは5日間という短いものでした。しかも、最終日となった3月21日は強風のため走行できませんでした。結果的に4日間しか走行できず、最終日に予定していたレースシミュレーションはできませんでしたが、RC213Vのパフォーマンスを引き出す走りを見せて注目を集めました。

これまでポル・エスパルガロは、カタールGPでは13年にMoto2クラスで優勝、MotoGPクラスでは16年の7位が最高位となっています。HondaRC213Vでのデビューでは、Moto2に続き、カタールGP初制覇とMotoGP初優勝を目指します。

昨年ケガのためにシーズンのほとんどを棒に振ったマルク・マルケスは、今季の開幕戦に向けて準備を進めていましたが、右腕上腕の骨の硬化が十分ではなく、カタールで行われる2戦の欠場を決めました。序盤戦の欠場を決めたマルケスは、昨年12月に3度目の手術を行い、3月に入ってからは、RC213VーSに乗ってテストランを実施しています。約8カ月間のブランクを感じさせない走りで復帰も期待されましたが、マルケスの手術を行った医師団の時期尚早との判断で欠場を決めました。次回の検査は4月12日を予定しています。

そのため、昨年から代役として出場しているドイツ人で31歳のステファン・ブラドルが、序盤の2戦に代役として出場します。カタールで行われたウインターテストでは、マシンの開発テストと同時に、代役出場に向けてレースのセットアップも実施しており、活躍が期待されます。ブラドルは、2011年にカタールGPのMoto2クラスで優勝しています。最後にカタールGPを走ったのは16年。MotoGPクラスでしたが、このときはリタイアに終わりました。

中上貴晶(LCR Honda idemitsu)が4年目のシーズンを迎えます。過去3年は、一年前のワークスマシンで出場していましたが、今年は最新仕様のRC213Vでシーズンを迎えます。昨年10月、モーターランドアラゴンで開催されたテルエルGPでは初のポールポジションを獲得。それを含む4度のフロントローを獲得しました。今年は初の表彰台獲得、初優勝に挑みます。

LCR Hondaは、今季チーム創立25周年を迎えます。LCR Honda CASTROLからは、マルク・マルケスの弟で24歳のアレックス・マルケスが出場します。昨年はコロナ禍の中でルーキーにとっては厳しいシーズンとなりましたが、2度の表彰台獲得など印象に残るシーズンを過ごしました。今年はチームを移籍、念願のMotoGPクラス初優勝に挑みます。

2004年に初開催となったカタールGPですが、以来、セテ・ジベルノー(04年)、ケーシー・ストーナー(11年)、マルク・マルケス(14年)が優勝しました。今年はカタールGP4勝目を目指します。