ケガから復帰して6戦目となる今大会の予選は今季ベストの5位。ドイツGPの10大会連続ポールポジション記録の更新は果たせませんでしたが、決勝はオープニングラップに首位へ浮上すると快調にラップを重ね、30周のレースで真っ先にチェッカーを受けました。
今大会は雲の多い一日となり、レース中盤に小雨が降りました。雨はすぐにあがりますが、この雨で全体的にペースが落ちます。しかし、マルク・マルケスはそれまでと同じペースでラップを刻み、2番手以下に2秒近いリードを築きました。後半は、ミゲル・オリベイラ(KTM)が唯一、マルク・マルケスとの差を縮ましたが、終盤ペースを上げたマルク・マルケスは、再び、オリベイラを引き離し、ケガから復帰6戦目にして優勝を達成しました。
コロナ禍で昨年は、7月にMotoGPクラスのシーズンがスタートしました。その最初のレースとなったスペインGP決勝でマルク・マルケスは転倒し、右腕上腕を骨折しました。以来、3度の手術を行い、約9か月間、治療とリハビリを続け、今年4月のポルトガルGPで復帰しました。しかし、これまでのレースは、右腕のパワー不足に苦しんできました。今大会も万全ではありませんが、得意とするザクセンリンクで本来の走りを取り戻しました。これでマルク・マルケスは、MotoGPクラスでは8大会連続、3クラスでは11大会連続(125cc、Moto2、MotoGP)で優勝を達成しました。
ポル・エスパルガロ(Repsol Honda Team)は予選8番手から10位でフィニッシュしました。オープニングラップはわずかにポジションを落とし10番手。2周目には11番手へとポジションを落としますが、それからはペースを取り戻し、ホアン・ミル、アレックス・リンスのスズキ勢とホルヘ・マルティン(ドゥカティ)と8番手争いのグループを形成します。後半は、リンスとマルティンに先行し、10位でチェッカーを受けました。
予選9番手から決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、朝のウォームアップでは3番手と好調でしたが、フロントにミディアム、リアにソフトと柔らかめのタイヤ選択をしたことで戦いを苦しくしました。中盤以降は思うようにペースがあがらず13位でした。チームメートのアレックス・マルケス(LCR Honda CASTROL)は、14番手争いを繰り広げていたダニーロ・ペトルッチ(KTM)と5周目の1コーナーで接触し、ともに転倒リタイアに終わりました。今大会は初めてダイレクトでQ2に進出し、タイヤのパフォーマンスを活かす走りで大きく前進しました。連戦となるオランダGPで今大会の雪辱に挑みます。