ファンの皆さまから多くの励ましのメッセージをいただき、特にこのような時期はたいへんありがたく思います。回復具合についてシェアしたいと思います。
再度手術をしなければならないことは、昨年9月ごろから感じていました。定期的に腕を診てもらい、3度目の手術からの骨折の治り具合の経過をチェックしています。プレシーズンの時期は、「できる」と自分で自分を説得しようと、「気力さえあれば」をモットーにしました。しかしシーズンが始まり、大きな限界を感じました。フルシーズンを戦うつもりでいましたが、3度目の手術後も骨が完治していなかったので、自分の限界内で戦い、質問を避けるためにケガのことを感じさせないように振る舞いました。ほんの一握りの人たちしか、本当の状況を知りませんでした。
新たに手術をする決断を下したのは、フランスGPの際に立体CTスキャンをした時です。アメリカで手術をすることとなりましたが、手術前後のプランニングが綿密だったため、正直驚きました。スペインとは大違いです。術後の期間は短く、あっという間に退院し、スペインに戻ることができました。一方で、手術の準備期間は綿密にプランニングされ、すべてがあらかじめ準備されている印象でした。
手術前はいい気分でしたが、術後は麻酔と痛みの影響で2、3日は不調でした。しかし、初めての手術ではないので、こうなることは分かっていましたし、痛みが次第になくなることも理解していました。
今は痛みもなく、いい気分です。また腕が固定されているため、軽い運動しかできませんが、モチベーションは高く、医師がゴーサインさえ出してくれれば、腕が機能しているかどうか、リカバリーをすぐにでも始めたいと思います。
今の気持ちは「希望」。自分のライディング・スタイルや戦い方を考えると、ひょっとしてあと1、2年しかレースしないのかな、と思いましたが、ロチェスターでの手術後、レースを痛みなく楽しみ続けられる希望が湧いてきました。
今は6週目のレントゲンを待っている段階です。この結果によって、どう回復に向かうかの計画を立てます。それまではまだ100%ではないため、リカバリーは止めて、ゆっくり休んでいます。
今はフリータイムが多いように見えますが、一日一日ちゃんと計画を立てています。毎朝起きたら、1時間半散歩します。そこからはチームや家族と連絡を取り合ったり、家を片付けたりしています。午後には、下半身と左腕の軽いトレーニングを始めています。
たまに自分のモチベーションについて考えますが、自分の場合、モチベーションの根底にあるのは、情熱とやる気だと認識しました。10年以上も変わっていません。さらに、最終的なゴールが、苦しみや痛みがなく、エンジョイしながら高いレベルで戦うことだと分かりました。
回復への道は、決してひとりではありません。同じような経験をしたアレックス・クリビエ、最も連絡を取り合い、Repsol Honda Teamの監督でもあるアルベルト・プーチ、そして何度も大ケガをしているミック・ドゥーハンの心強いサポートがあります。最もアドバイスをくれた彼らに感謝の気持ちしかありません。
自分が一つの基準としているのが、選手生命が終わったと見られようが、痛みを乗り越え勝ち続けているラファエル・ナダル(プロテニスプレイヤー)です。マドリード・マスターズ1000では一緒に時間を過ごしました。彼がどれだけ苦しんでいるかをこの目で見ましたが、ベストな状態ではないのに全仏オープンなどで優勝する力があり、自分の基準としています。彼は記者会見で、自分のムードが痛みに影響されると言っていましたが、これはよく理解できます。
最後に、サポートしてくれたみんなに感謝しています。レースに復帰するためにできることをすべてやり、共に楽しめる日を待ちわびています。