加藤大翔、アブダビ初挑戦で追い上げ6位入賞
2025年1月17日(金)〜19日(日)に開催されたフォーミュラ・リージョナル中東選手権(FRMEC)に加藤大翔(かとう・たいと、17歳、ARTグランプリ)が出場し、初戦となる第1戦のレース1で6位に入賞しました。
三重県出身の加藤は、2023年にホンダ・レーシング・スクール(HRS)フォーミュラ・クラスのスカラシップを獲得し、2024年は『フランスF4』で年間チャンピオンを獲得しました。2025年は『フォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップ by アルピーヌ(FRECA)』に参戦予定で、その前哨戦として、このFRMECに挑んでいます。
FRMECの主なルール
2025年のFRMECは1月中旬から2月末まで、アブダビ、ドバイ、カタールの中東3ヶ国で全5大会が開催され、1大会あたり3レース、合計15レースが行われます。このレース数は、若いドライバーたちに少しでも多くの経験を積ませることを目的としています。
1周のタイムを競う予選は、予選1と予選2の2回、それぞれ15分間の走行時間で行われます。
また、スターティンググリッドは、F1などのカテゴリーとはやや違ったシステムとなっています。
決勝レース1のスターティンググリッドは、予選1のタイム順で決定します。
決勝レース2のスターティンググリッドは、決勝レース1の上位10位までがリバースグリッドとなります。つまり決勝レース1を10位でゴールしたドライバーは、決勝レース2では1番手からスタートします。
決勝レース3のスターティンググリッドは、予選2のタイム順で決定します。
予選1:8位 予選2:11位
予選を終えて加藤選手は次のように語りました。
「練習での感触はそこまで悪くないまま予選を迎えました。しかし予選で路面コンディションがかなり良くなり、そこに自分のドライビングとマシンのセッティングを合わせきれませんでした。自分のミスもあり、納得のいくアタックができずに悔しい結果となりました。ステップアップしてレベルが格段に上がったことを改めて実感しました。課題となる点は沢山ありましたが、良い刺激を受けた開幕戦の予選でした。」
決勝レース1:6位
スターティンググリッド:8番手
その後に行われた決勝レース1では、加藤選手は8番グリッドからスタートして10番手まで順位を落としたものの、最後の2周で昨年のマカオGPを制したマクラーレン育成ドライバーのウーゴ・ウゴチュクウ選手(アメリカ)を抜いて6番手まで順位を上げましたが、最終周にウゴチュクウ選手に抜かれ0.1秒差の7位でフィニッシュしました。しかしレース後、ウゴチュクウ選手に5秒ペナルティが科せられたことで、加藤選手は6位に繰り上がっています。
加藤選手はレース1を終えて次のように語りました。
「初めてのFRMECのレースでしたが、練習時のロングランも悪くなかったですし、そこまでの緊張や不安もなく挑みました。スタートが少し出遅れてしまい、10位まで落ちてしまいましたが、ペース良くポジションを上げていくことができました。タイヤのデグラデーションが大きかったですが、周りの選手はさらに大きかったので後半のレースペースはかなり良かったです。課題は残るものの、内容の濃いレースでした。」
決勝レース2:12位
スターティンググリッド:4番手
決勝レース2は、4番グリッドに並んだもののスタートできずに後続に飲み込まれてしまい、22番手まで落ちてしまいます。しかし、その後は怒濤の追い上げを見せて12位でフィニッシュしました。
加藤選手はレース2を次のように振り返りました。
「レース1のペースがかなり良かったので、自信を持って挑みました。リバースグリッドで4位スタートでしたが、スタートで(エンジン)ストールをしてしまい、一時は最下位まで落ちてしまいました。その後はSC(セーフティカー)が2回出動するレース展開となりましたが、とても良いペースで追い上げることができ、12台を抜いてチェッカーでした。レースペースがとても良かっただけに悔しかったですが、非常に良い経験ができました。」
決勝レース3:7位
スターティンググリッド:11番手
その2時間後には決勝レース3が行われ、11番グリッドからスタートしてトップ10圏内を走行。途中、トヨタの育成ドライバー中村仁選手と日本人ドライバー同士の激しいバトルを制した後、最後は3台による5位争いを繰り広げましたが、5位とはわずか0.21秒差、6位とは0.016秒差の7位でフィニッシュしました。
加藤選手はレース3を終えて次のように語りました。
「レース1、レース2で新品タイヤを使ってしまったため苦しい展開になることを予想しましたが、スタートして1周目で9位まで上がることができました。そこからレースが膠着状態となりましたが、残り半分を切ったあたりからタイヤの摩耗が進み始めてペース差が出てきました。前車よりもタイヤのデグラデーションが少なく、良いペースで周回を重ねオーバーテイクをしていくことができました。後半も安定したペースで7位まで上げてチェッカーでした。後半でペースを維持できたのはタイヤのマネジメントが上手くできている証拠なので、自信もつきました。」
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