Rd.12
Japanese FIA F4 2022
Round 6

HFDPドライバーズ・ドキュメンタリー FIA-F4 Vol.6 ~三井優介~

jp AUTOPOLIS

今シーズン、FIA-F4日本選手権にHFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)からデビューした三井優介は、デビュー戦で優勝を飾ると、それ以降シリーズ第4大会第8戦まで連続で表彰台に上がり続け、第5大会第9戦では4位に終わり連続表彰台記録は途切れたものの、第10戦では再び2位表彰台に上がり、シリーズポイントランキングでは同じHFDPの小出峻を押さえトップに立った。シリーズも大詰めを迎えているが、開幕戦時の三井は今の自分を想像できたのだろうか。

HFDPドライバーズ・ドキュメンタリー FIA-F4 Vol.6 ~三井優介~

「過去の記録を見ても、1年目で上位を走行した人はあまりいないので、今年は学びの年になるのだろう、毎戦毎戦確実に成長しようと思っていましたが、まさか開幕から表彰台に乗り続けられるとは想像もしていなかったです」

ではなぜ、開幕戦から好成績を挙げ続けられたのだろうか。
「チームのおかげだと思います。僕のためにいいクルマを作ってくれて、金石(年弘)アドバイザーをはじめ、さまざまな方々がアドバイスしてくれました。さらに同じチームに現在シリーズで一番速い小出選手がいて、データを学ぶこともできました。そのすべてを活かした結果が、今の状態につながったのかなと思います」



今シーズン、圧倒的とも言える速さを示す小出がチームメートだったから、自分も速くなれたと三井は言う。三井は小出から何を学び取ったのだろうか。
「たとえば富士、鈴鹿がここまで2大会ずつありましたが、1大会目は『こんな走り方があるのか』という違いをたくさん見つけました。そして2大会目については、1大会目で発見した走り方を活かして走り、差を少し詰めたりしました。僕の方が速い部分はさらに伸ばし、遅い部分はヒントを貰い、ときには小出選手の前を走行することもできました」

実際の走りやロガーデータを比較して自分との違いを見つけ出すのはさほど難しい話ではない。だが、その違いを自分の走りに反映させるとなると話が異なる。違いの意味を理解したうえで、自分の感覚上にクルマの動きを再現する技量が必要になるからだ。
「僕は今年FIA-F4に乗るまでは、デフ(リミテッド・スリップ・デフ/LSD)がついているクルマにしか乗ったことがなく、コーナーでの旋回中にアクセルやブレーキを使用してクルマの挙動を変化させて曲げるというスタイルでした。対して小出選手は、いかに安定させるかを追求して走行していました。ボトムスピードを落とすことを嫌う僕に対し、小出選手は抵抗なくボトムスピードを落とし切り、しっかりとメリハリをつけて立ち上がっていました。そのことに気付き、『FIA-F4ではこういった走り方が速いのか』と驚きました。また、ブレーキングでも『ここまで突っ込んでいるのか』ということもあれば、逆に『僕は突っ込みすぎなのか』と驚く部分もありました」



レーシングドライバーにとって“走りの違い”はある意味レースに勝つための企業秘密である。しかし発展途上の若手選手を育てることに第一義を置くHFDPでは、基本的にチームメートのロガーデータは共有し、それぞれの走りを研究することが可能である。三井にとって、HFDPで実質3シーズン目を送る小出はライバルであると同時にお手本であり、研究対象であり、師匠なのである。

レースウイークの時間は限られており、三井にできることにも限りがある。小出とチャンピオンを争いながらレースを学んだシーズンは早くも大詰めだが、三井は「まだまだ学び取るものは多く残されている」と認める。

「(小出に)近づくことが目的ではなく追い越すことが目的なので、そういった意味では、しっかりと(走りを)吸収できていたら予選でも決勝でも同じところで争えるはずです。なのに、本当にうまくいったのは(2連勝した第4大会の)鈴鹿だけなので、まだまだだと思っています。特に経験の差を乗り越えるのはたいへんです」



ドライバーが内包する“経験”の差は、映像や数値には表れない。

「コースを走行した経験の有無は大きいですし、1発の速さ、トップタイムに持っていく過程が違うようにも感じます。僕は『ここはもう少し行けるかな? もっと行けるかな?』という風に、少しずつ攻めていくタイプなのですが、(小出選手は)一気に限界まで持っていくような走りができています。そのほかにも、セッティングの幅が広く『ここはもっとこうした方がよくなるのではないか』という発想が(小出選手は)すぐに出てきます。そういった部分は、(僕は)全然足りていないです」

10月第1週にオートポリスで開催されたシーズン第6大会(第11戦および第12戦)で、三井は2レース連続で2位に入賞し表彰台に上がった。しかし2レースとも優勝したのは小出で、ポイントランキングで逆転され、14点差のランキング2番手で11月のシリーズ最終大会を迎えることとなった。



三井にシリーズ最終大会へ向けての心境を聞いた。
「チャンピオンはそれほど意識していません。ですが、今シーズンが始まるときには、こんなにいいポジションで最終戦を迎えられるとは思ってもいませんでした。自分ががんばってきた成果でもあると思いますし、チャンスであることには違いないので、残り1カ月、いろいろなことを研究しながら練習やトレーニングも重ね、いい結果につなげていきたいなと思っています。僕は褒められて伸びるタイプではなく、自分に厳しくして、周りからも厳しく言われて伸びるタイプだと思っているので、満足することなくがんばっていきたいです。まだまだ足りていません」


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