スタートの約1時間前に雨が降り出したことから、予選での使用タイヤにかかわらず、全ドライバーがスタートタイヤを選択可能な状況となりました。Hondaパワーユニット勢は、Scuderia AlphaTauri Hondaのピエール・ガスリーのみがウエットタイヤを装着し、フェルスタッペン、セルジオ・ペレス、角田裕毅は浅溝のインターミディエイトを選択しました。
スタートでは、3番グリッドのフェルスタッペンが素晴らしい飛び出しを見せ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)のインを突くと、首位を奪い取ります。ペレスはそこに並びかけて3ワイドになり、3番手を確保。しかし、厳しい路面コンディションもあり、ペレスはその後4番手にポジションを落としてしまいます。この直後にアクシデントが発生し、セーフティカー(SC)導入となりました。
SC走行が明ける直前に、ペレスはターン9でコースアウトし、2台に抜かれます。この際に、コース復帰後すぐにポジションを戻したものの、これがSC走行中の追い越し行為と裁定され、タイムペナルティーを科されました。
ウエットタイヤでスタートした各車は苦戦を強いられ、ピットインしてタイヤ交換を余儀なくされましたが、ガスリーも同様に15周目でインターミディエイトタイヤに交換。これにより後方へと大きくポジションを下げる形になります。
角田はオープニングラップで最後尾から14番手までジャンプアップ。ペースの上がらないガスリーを交わして、序盤で13番手まで順位を上げました。
路面は徐々に乾いていき、2番手のハミルトンからのプレッシャーも強まってきたことから、Red Bull Racingはフェルスタッペンを27周目にピットインさせ、ドライ用のミディアムタイヤに交換。ハミルトンもこの直後にピットインしましたが、コース復帰後にはフェルスタッペンが5秒近くのリードを築いて首位をキープしました。この後、ハミルトンのコースアウトもあり、フェルスタッペンは大きくリードを拡大。しかし、34周目にジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)とバルテリ・ボッタス(メルセデス)が激しくクラッシュし、レースは赤旗中断となりました。
この中断によって、各車はタイヤ交換が可能となり、フェルスタッペンはミディアム、ペレスと角田はソフトを装着。リスタート時にはフェルスタッペンがハーフスピンを喫する場面もありましたが、首位をしっかりと維持。中断前にペナルティーを消化していたペレスは4番手までポジションを戻しました。角田もリスタートで9番手までポジションを上げたものの、ターン2でスピンを喫してポイント圏外まで順位を落としてしまいました。
その後、ペレスもターン6でスピンしてしまい、最終的に12位でフィニッシュ。角田は13位に終わりました。ガスリーはレース再開後から素晴らしい追い上げを見せ、キミ・ライコネン(アルファロメオ)をオーバーテイクすると、ランス・ストロール(アストンマーティン)やダニエル・リカルド(マクラーレン)へ最後までプレッシャーをかけ続け、7位入賞。6ポイントを獲得しました。
フェルスタッペンは後続との差を大きく広げ、最後は20秒以上のリードを保ったままチェッカーフラッグ。今季初勝利を挙げました。この勝利は、Hondaとしては79勝目、イモラでHondaエンジン搭載マシンが勝利するのは、1991年のアイルトン・セナ選手以来となります。
※レース後、他車にペナルティーが科されたため、ペレスは11位、角田は12位に繰り上がりました。