戦略の違いによって結果が左右される僅差のレースでしたが、Scuderia AlphaTauri Hondaもピエール・ガスリーが7位入賞。激しい中団争いでポイントを獲得しました。
午前中には雨が降ったポールリカール・サーキットですが、F1決勝のスタート時には路面も乾き、ドライコンディションでのレースとなりました。
前日の予選でクラッシュを喫した角田裕毅は、ギアボックスの交換に加えて、予選と異なる仕様のフロア装着とサスペンションセッティングの変更を行ったため、レギュレーションによって最後尾からのピットレーンスタートとなりました。角田はスタートタイヤにミディアムタイヤを選択。トップ10スタートとなった他の3名も、予選Q2で使用したミディアムタイヤでのスタートとなりました。
ポールポジションからのスタートとなったフェルスタッペンは、スタートを上手く決めてターン1へ進入しましたが、出口で膨らんでしまい、ルイス・ハミルトン(メルセデス)にリードを奪われます。ペレス、ガスリーはそれぞれ4番手、6番手をキープしてオープニングラップを終えました。
角田は素晴らしい出だしを見せ、ハース、ウイリアムズのドライバーをオーバーテイク。その後、Honda PU勢の中で最初となる15周目にピットストップを行い、ハードタイヤに交換しました。
ガスリーは17周目にピットイン。ダニエル・リカルド(マクラーレン)に前を行かれる展開となってしまいます。フェルスタッペンは、バルテリ・ボッタス(メルセデス)のピットインに反応して、18周目にピットへ。ここで見事なペースを見せ、ボッタスの前方に留まるだけでなく、その1周後にピットインしたハミルトンの前に出て、実質的なリードを奪います。その後、ペレスが24周目までピットストップを遅らせ、4番手でレースを進めます。
首位を走行していたフェルスタッペンでしたが、後方のハミルトンからプレッシャーを受け続け、タイヤのデグラデーションも進んだことから、Red Bull Racingは32周目に2度目のピットインを行うことを決断。ミディアムタイヤに交換して4番手でレースへ復帰すると、首位奪還を目指して追い上げを狙います。
3番手のペレスとポジションを入れ替えたフェルスタッペンは、ファステストラップを更新しながらメルセデス勢との差を詰めていきます。残り9周で、ボッタスを捕らえて2番手に浮上。この時点でハミルトンとの差は大きかったものの、ペースを緩めずに追撃します。その後、ペレスもボッタスへ追いつき、高速コーナーの“シーニュ”でアウト側から並びかけてオーバーテイク。Red Bull Racingは2-3番手となります。
フェルスタッペンは、残り2周でハミルトンに追いつき、ミストラルストレートのシケインでオーバーテイクを決めて、今季3勝目を挙げました。また、ファステストラップによる1ポイントも追加し、ドライバーズチャンピオンシップでのリードを12ポイントに拡大しました。
ペレスも順位を守って3位でフィニッシュ。Red Bull Racingは、2人のドライバーが合わせて41ポイントを獲得し、コンストラクターズチャンピオンシップでメルセデスに37ポイント差をつけてリードを守っています。
ガスリーはランド・ノリス(マクラーレン)との激しいバトルを経て、36周目にカルロス・サインツをパスするなど、2台のフェラーリをオーバーテイク。その後、前方のマクラーレン勢へ迫り、7位入賞を果たして6ポイントを獲得しました。
角田は一時11番手まで浮上しましたが、終盤でタイヤが厳しくなったこともあり、13位でフィニッシュ。最後尾のピットレーンスタートから7つ順位を上げて完走を果たしました。
Scuderia AlphaTauriはコンストラクターズランキング5位を守り、4位のフェラーリとの差を6ポイント詰めて今大会を終えました。
次戦は、1週間後のシュタイアーマルクGP。その翌週のオーストリアGPまで、レッドブル・リンクでの2連戦です。