レース前、セルジオ・ペレスのマシンに新たなパワーユニット(PU)を投入し、グリッド降格ペナルティーを受けました。これは戦略的な理由によるもので、ハンガリーGPでのクラッシュによってPUがダメージを負っていたことや、予選16番手というグリッドなどの状況を総合的に判断して新コンポーネントの投入を決定しました。この中にはスペックの異なるものもあったことから、レギュレーションにより、ペレスはピットレーンスタートとなりました。
スタートポジションは、フェルスタッペンがポールポジション、ガスリーが4番手というポジションは変わらないものの、他車のピットレーンスタートにより、角田裕毅が14番グリッド、ペレスはピットレーンから19番手スタートとなりました。
スタートタイヤは、予選でQ3に進出したフェルスタッペンとガスリーが、Q2で使用したソフトタイヤ。角田はソフトタイヤを選択した一方、ペレスはハードタイヤで序盤のスティントを長くする戦略を採りました。
スタートで大きな混乱はなく、フェルスタッペン、ガスリー、角田は順位をキープ。ペレスは追い上げを図ってプッシュしますが、ハースのマシンにターン1でオーバーテイクを仕掛けた際にロックアップしてしまい、タイヤを傷めたことで、8周目にミディアムタイヤへ交換を余儀なくされました。
追い抜きが難しいコース特性ながら、ペレスはロスを取り戻すべく、ターン1と11を巧みに使って、前を行くマシンを次々とオーバーテイク。ほぼ全車が1度目のピットストップを終えた時点で、ポイント圏内へと浮上しました。
リードを保ったまま周回を重ねていたフェルスタッペンは、2番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)のピットインに反応し、21周目にミディアムタイヤへと交換。ハミルトンの前でコースへ戻ります。これで先頭に立ったのは、1ストップ戦略を目指すべくピットを遅らせたバルテリ・ボッタス(メルセデス)でしたが、ペースに勝るフェルスタッペンは間もなく追いつき、ターン1手前でオーバーテイク。相手のピットインを待つことなく、再びリードを奪います。
ガスリーは24周目にミディアムタイヤへと交換。背後のフェラーリ勢との差をにらみながらレースを進めます。角田は、PUにデータ異常が見られたため、残念ながらピットに戻ってそのままリタイアとなりました。これについては、現在調査を進めています。
40周目、フェルスタッペンは2度目のピットインでハードタイヤに交換。これもハミルトンのタイヤ交換に反応した動きでしたが、ここでも前に出て、リードを盤石なものにしていきます。
ペレスは、レース終盤の55周目に2度目のピットストップを行い、ソフトタイヤへと交換。12番手でコースに戻ると、オーバーテイクを重ねていきます。ダニエル・リカルド(マクラーレン)をターン1のアウト側から攻略して入賞圏内の10番手にポジションを上げると、さらにはランド・ノリス(マクラーレン)をパスして9番手に。最後はエステバン・オコン(アルピーヌ)を交わして8位に入賞しました。また、ガスリーも順位を守って4位フィニッシュを果たし、12ポイントを獲得しました。
リードを守りきったフェルスタッペンは、ハミルトンが再びタイヤ交換を行ったこともあり、約21秒の大量リードでチェッカーフラッグへ。自身初の母国GPでポール・トゥ・ウインを果たしました。これがHondaとしては通算86勝目、さらには1991年以来のシーズン8勝目となります。
次戦は1週間後、3連戦の最後となるイタリアGPです。超高速のモンツァ・サーキットでの戦いは、Scuderia AlphaTauri Hondaにとってのホームグランプリとなります。