ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは、7コーナーでハミルトン(メルセデス)とのバトルでオーバーテイクをしましたが、コーナーカットをしたハミルトンが先行を維持してコース上に復帰。審議の末、ハミルトンにポジション維持を許すこととなり、1周目に2番手にポジションを落としました。その結果、Red Bull Racingは13周目にピットインし、ハードタイヤへ変更しアグレッシブな戦略を取ることにしました。
直後にハミルトンもピットインすると、ピットストップを行っていなかったセルジオ・ペレスがソフトタイヤでトップに浮上しました。フェルスタッペンとハミルトンとのギャップを縮めるため、ペレスはハミルトンを抑え込みながら走行するすばらしいパフォーマンスを見せました。
その後オーバーテイクされると、ペレスは22周目に1回目のピットストップを行いハードタイヤへ変更。続いて角田裕毅が1周遅れでピットインをし、スタート時のミディアムタイヤからハードタイヤへ同じく変更しました。ハードタイヤでスタートしたピエール・ガスリーはピットインを行わずステイアウトしてトップ6まで浮上し、レースが落ち着くまで走行を続けました。
最初の混乱は35周目に起こりました。アントニオ・ジョヴィナッツィ(アルファロメオ)がコース上でマシンを止めてしまうと、バーチャルセーフティカーが導入されました。フェルスタッペン、ペレス、ガスリーが少ないタイムロスでピットストップ。Red Bull Racingの2台は再びハードタイヤへ変更し、Scuderia AlphaTauriのガスリーは異なるタイヤコンパウンドの装着義務のためにミディアムタイヤへ変更しました。
レース再開後、ハミルトンとの20秒のギャップを少しずつ縮めていきましたが、追い付くには至りませんでした。そんな中、残り6周でニコラス・ラティフィ(ウィリアムス)がクラッシュすると事態は一転しました。クラッシュによりセーフティカーが導入されると、ポジションキープのためにハミルトンはピットストップを行うことができずステイアウトを選択。フェルスタッペンとペレスに続き角田とガスリーもピットイン。ペレスはPUのデータに異常を確認して、そのままリタイアとなり、3台はソフトタイヤへ変更してレースをリスタートしました。
審議の後、レースは残り1周で再スタートを切り、チャンピオン獲得をかけたフェルスタッペンに残されたのはたった1周16コーナーでした。フェルスタッペンは5コーナーでハミルトンを見事オーバーテイクし、9コーナーで抜き返しを図るハミルトンに対してすばらしいディフェンスを見せ、見事に抑えたフェルスタッペン。予想もしなかったレースのファイナルラップの戦いにより、フェルスタッペンが今シーズンのチャンピオンを獲得しました。
残念ながらリタイアとなったペレスでしたが、レースの中では、フェルスタッペンを助ける走りですばらしい貢献を果たしました。そしてScuderia AlphaTauriは角田4位、ガスリー5位と2台共がトップ5を獲得し、すばらしい成績をおさめました。コンストラクターズチャンピオンシップで5位にはわずかながら届きませんでしたが、今シーズン最高位の成績を収めた角田は最終戦、ルーキーシーズンの集大成ともいえるレースで、ここ一番の活躍を見せました。
初めて世界チャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペンには世界中から注目が集まっています。1991年にアイルトン・セナがチャンピオンを獲得してから、Hondaとしては30年ぶり、6度目のチャンピオン獲得により、F1最後の年を最高の結果で締めくくることができました。