前日に行われたスプリント予選の結果により、Red Bull Racing Hondaのマックス・フェルスタッペンがポールポジションからスタート。スプリント予選をリタイアで終えた、セルジオ・ペレスは、パーツ交換を行ったためにピットレーンスタートとなりました。Scuderia AlphaTauri Hondaは、ピエール・ガスリーが12番グリッド、角田裕毅が16番グリッドとなりました。このフォーマットでは、全ドライバーがスタートタイヤを自由に選択できますが、ペレスがハードタイヤを装着したほかは、全員がミディアムタイヤを選択しました。
スタート直後から、フェルスタッペンとルイス・ハミルトン(メルセデス)は激しいバトルを繰り広げると、ターン9のコプスで、後方からオーバーテイクを試みたハミルトンが、フェルスタッペンの右リアに接触。フェルスタッペンは高速でコース外のバリアへ衝突しました。これによってレースは赤旗中断となったものの、幸いにもフェルスタッペンは自力でマシンを降り、救急車へ歩いて乗り込むことができました。その後、予防の意味も含めてさらなる検査を行うために、地元の病院へと搬送されました。このインシデントに対して、スチュワードは、ハミルトンに10秒加算のタイムペナルティーを科しました。
マシン回収とバリア修復を行ったため、レース中断は30分以上に及びましたが、この間にはタイヤ交換とマシン修復が認められており、全車がスタンディングスタートでの再開に備えます。
残り49周時点からスタンディングスタートで再開されると、19番グリッドのペレスが見事な追い上げで12番手まで浮上。しかし、ここでペースの上がらないエステバン・オコン(アルピーヌ)に引っかかっていたガスリーの後方で抑えられる形となり、ペレスは18周目にピットイン。ミディアムタイヤに交換して2ストップ戦略に切り替えます。
一方、Scuderia AlphaTauri勢はピットストップを遅らせる戦略に挑みます。ガスリーはトラックリミット違反の警告を受けたことから、ドライビングを修正しつつ、DRSトレイン状態の中でレースを進めます。周囲のマシンがピットストップを終えて単独走行となると、28周目にハードタイヤに交換。角田はその背後でペースを上げると、全車の中で最も遅い30周目にピットストップを行います。
トップ10に浮上していたペレスは、38周目に2度目のピットストップを行い、再度ミディアムタイヤを装着。オーバーテイクを繰り返し、46周目にパンクを喫したガスリーがピットインしたことで11番手まで浮上。さらにキミ・ライコネン(アルファロメオ)をパスしてポイント圏内に入りますが、チームはここでチャンピオンシップを考えて戦略を切り替えます。
ハミルトンがレースのリードを奪い、ファステストラップも記録したため、ペレスはソフトタイヤに交換してファステストラップを更新。ペレスは16位でフィニッシュしたため、トップ10以上に限定されるファステストラップポイントの獲得はなりませんでしたが、タイトル争いのライバルであるハミルトンの1ポイント追加を阻止しました。
角田はペースを維持しながら順位を上げて、16番グリッドから10位入賞を果たしました。これが自身4度目、2戦ぶりのポイント獲得となります。ガスリーは2度目のピットインの後に、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)をオーバーテイクし、角田に続く11位でフィニッシュしました。
次戦はサマーブレイク前最後のレースとなる、第11戦ハンガリーGP。8月1日(日)に決勝が行われます。