Race
SUPER GT 2022
Round 1

STANLEY NSX-GTが開幕戦で2位表彰台を獲得

jp Okayama International Circuit

4月16日(土)~17日(日)、岡山国際サーキット(岡山県)で2022年度SUPER GTシリーズ第1戦が開催され、GT500クラスに5台の2022年型NSX-GT、GT300クラスに2台のNSX GT3が出走しました。

STANLEY NSX-GTが開幕戦で2位表彰台を獲得

昨シーズン、惜しくもシリーズ2連覇を逃したことを受け、開発陣は今シーズンの王座奪回に向け、NSX-GTをさらに磨き上げるためベース車両を昨年発売されたNSX Type Sへ切り替え、ボディの空力デザインを改めて全面的に見直した2022年型NSX-GTを準備しました。ドライバー陣は、17号車Astemo NSX-GTのみ塚越広大のチームメートが松下信治に変更となりましたが、その他は昨年の体制を引き継いでいます。

土曜日の岡山国際サーキットは好天となりました。公式予選Q1セッションには、8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀)、16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(大湯都史樹)、17号車 Astemo NSX-GT(塚越)、64号車 Modulo NSX-GT(大津弘樹)、100号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴)が出走しましたが、16号車 大湯はコースイン直後にバイブレーションを感じたためピットに戻り走行を断念しました。

10分間のセッションでは途中黄旗が振られる時間もありましたが、100号車 山本が15台中6番手に食い込んでQ2へ進出しました。8台が出走したQ2セッションで100号車(牧野任祐)は3番手タイムを記録し、NSX-GT勢最上位で決勝レースに臨むこととなりました。

決勝日を迎えた岡山国際サーキットは前日にも増して好天となり、気温、路面温度とも上昇するなか、午後2時、フォーメーションラップからレースが始まりました。3番手のポジションを守った100号車 牧野は、2番手を走る39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛)に再三迫りますが、そのたびに押さえ込まれます。そのあいだに背後から近づいてきた38号車 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路)に迫られ、17周目には3番手のポジションを譲ることとなりました。

4番手となった100号車 牧野は29周を走ってピットイン、ドライバー交代と給油、タイヤ交換を行なって山本にマシンを引き継ぎましたが、ピット作業を終えてコースに戻った100号車 山本は12号車 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴)に先行を許し、事実上の順位を4番手から5番手へ落としてしまいました。

当初ペースが上がらなかった100号車 山本は、周回を重ねるごとにペースを取り戻して、前を行く39号車 Supraに接近。66周目にバックストレートでインに並び、ヘアピンでのオーバーテイクに成功し4番手に進出しました。100号車 山本はさらにペースを上げて2番手の12号車 Z、3番手の38号車 Supraに迫りましたが、オーバーテイクの難しい岡山国際サーキットではなかなかチャンスをつかめずテール・トゥ・ノーズの状態が続きました。

チャンスが訪れたのは、レースも残り10周となった72周目でした。12号車 Zと38号車 Supraがアトウッドカーブで争った結果、バックストレートに向けて立ち上がった2台の加速がわずかに鈍りました。その様子を冷静に見ていた100号車 山本は、すかさず2台のスリップストリームに入り、ヘアピンカーブ手前でイン側に並んで3ワイドへ持ち込むと、そのままインに飛び込み、一気に2台をオーバーテイク。4番手から一気に2番手へとジャンプアップしました。

前に出た100号車 山本はそのままペースを上げ、最終的には後続の2台を引き離すだけでなく、トップを走る14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(山下健太)の約1.8秒差にまで迫って2位でチェッカーフラッグを受けました。9位に17号車 Astemo NSX-GT(塚越/松下)、10位に8号車 ARTA NSX-GT(野尻/福住仁嶺)が入賞。それぞれ選手権ポイントを獲得しました。

GT300クラスでは、18号車 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進)が予選4番手からスタートし、決勝では2位に入賞。GT500クラスの山本/牧野組とともに表彰台に上がりました。


Masahiro Saiki
Masahiro Saiki
HRC SGT Large Project Leader
思わしくない予選結果で、厳しいレースとなりましたが、100号車が2位に入ったことで我々の開発してきた方向性が間違っていなかったことを確認できました。事前の岡山テストで得られた感触からは、もう少し苦しい展開になるかなと覚悟していましたが思ったよりいい戦いができました。同じタイヤを使った17号車、8号車については、ペースが上がらなかった原因があると思うので、HRCとして今後解析して対処していきたいと思っています。富士スピードウェイの第2戦はレース距離が450kmと長いのでピット作業も重要な意味を持ってきますが、距離が長いほうが我々には勝機があると思っています。次戦も応援をよろしくお願いします

Naoki Yamamoto
Naoki Yamamoto 100
TEAM KUNIMITSU
ピットストップで順位を上げる予定だったのですが、思いのほかペースが上がらなくて逆にポジションを落としてしまいました。その後、走り方を工夫したりしているうちにタイヤのコンディションも少しずつ変わってきて、自分のペースが上がる一方、周囲のペースが落ちてきて、一気に差を詰めることができました。ただ、岡山は抜きづらいサーキットなので、何かよほどのチャンスがなければ順位を入れ替えるのは難しいかなと思っていましたが、前の2台が争ってくれたことで2台ぶんのスリップストリームを使ってインに飛び込めました。前の2台もフェアに走ってくれて、接触もないいいバトルができました。あれこそトップドライバー同士のバトルでした

Tadasuke Makino
Tadasuke Makino 100
TEAM KUNIMITSU
序盤、こっちのほうがいいペースだったのに39号車がどうしても抜けませんでした。何回かいいタイミングがあったのですが、そこは39号車の関口選手がうまくて、押さえ込まれてしまいました。そのうち背後から38号車が近づいてきて、アトウッドカーブでGT300クラスの車両に詰まったときに抜かれてしまいました。そのときに(フロントタイヤをロックアップしたものの)クラッシュやコースオフにつながらなくてよかった。だから、この結果を得られたのだと思います。その後は(山本)尚貴さんがすべてです。さすがです。僕のスティントで、39号車を攻略できないあいだにトップの14号車が逃げてしまったので、もし僕が早い段階でうまく(39号車を)攻略できていたら、さらにいい結果になっていたかもしれません

Takashi Kobayashi
Takashi Kobayashi 18
UPGARAGE NSX GT3
土曜にロングランを試せなかったのでレースに自信はありませんでした。でも太田選手が朝のウォームアップで(ロングラン用の)硬いタイヤを試していいタイムで走ってくれていたので『行けるかな』とは思っていました。僕は予選でソフトタイヤを使っていたので決勝レースではタイヤが消耗して厳しくなり、早めに太田選手にバトンタッチして走りきってもらうという作戦を採りました。結果的に2位を獲得できて本当によかったと思います。新しいチームメートとなった太田選手とは、今回は一緒にお風呂に3回入って裸のつきあいをして親睦を深めつつあるところです(笑)。これからお互いのいいところとか、求めるモノの違いだとかが鮮明に見えてくると思うので、マシンのセットアップを深めていけばシーズンを通してよりよい戦いができると期待しています

Kakunoshin Ohta
Kakunoshin Ohta 18
UPGARAGE NSX GT3
デビュー戦で表彰台はうれしいです。途中、後ろの9号車に詰められる場面もあったのですが、なんとかしのぎました。後半はマシンに少し不調が生じていたこともあって、チームとコミュニケーションを取りながらなんとかフィニッシュまでマシンを運ぶことができたので安心しました。GT500との混走レースは本当に難しくて、正直なところ『早く終わってくれよ』と思いながら走っていました(苦笑)。頼れる先輩のおかげでこういう結果につながったのだと思います。まだまだ知識も経験も小林選手にはかなわないので、まずはナチュラルに走って感じたことを持ち帰ることでチームに貢献したいと思います

GT500決勝リザルト

Pos. Num. Machine Driver Laps Time/Gap
1 14 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也/山下健太 82 1:58'54.464
2 100 STANLEY NSX-GT 山本尚貴/牧野任祐 82 +1.798
3 23 MOTUL AUTECH Z 松田次生/R.クインタレッリ 82 +3.478
4 38 ZENT CERUMO GR Supra 立川祐路/石浦宏明 82 +9.761
5 3 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代勝正/高星明誠 82 +11.701
6 36 au TOM'S GR Supra 坪井翔/G.アレジ 82 +13.534
9 17 Astemo NSX-GT 塚越広大/松下信治 82 +24.697
10 8 ARTA NSX-GT 野尻智紀/福住仁嶺 82 +25.339
12 16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT 笹原右京/大湯都史樹 82 +1'10.319
15 64 Modulo NSX-GT 伊沢拓也/大津弘樹 81 +1Lap

GT300決勝リザルト

Pos. Num. Machine Driver Laps Time/Gap
1 56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ 77 1:59'46.884
2 18 UPGARAGE NSX GT3 小林崇志/太田格之進 77 +14.734
3 65 LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥/篠原拓朗 77 +18.112
4 9 PACIFIC hololive NAC Ferrari K.コッツォリーノ/横溝直輝 77 +41.223
5 6 Team LeMans Audi R8 LMS 本山哲/片山義章 76 +1Lap
6 10 TANAX GAINER GT-R 富田竜一郎/大草りき 76 +1Lap
15 55 ARTA NSX GT3 武藤英紀/木村偉織 76 +1Lap

GT500 ポイントランキング

Pos. Num. Driver Machine Pts
1 14 大嶋和也/山下健太 ENEOS X PRIME GR Supra 21
2 100 山本尚貴/牧野任祐 STANLEY NSX-GT 15
3 23 松田次生/R.クインタレッリ MOTUL AUTECH Z 11
4 38 立川祐路/石浦宏明 ZENT CERUMO GR Supra 8
5 3 千代勝正/高星明誠 CRAFTSPORTS MOTUL Z 6
6 36 坪井翔/G.アレジ au TOM'S GR Supra 5
9 17 塚越広大/松下信治 Astemo NSX-GT 2
10 8 野尻智紀/福住仁嶺 ARTA NSX-GT 1

GT300 ポイントランキング

Pos. Num. Driver Machine Pts
1 56 藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 20
2 18 小林崇志/太田格之進 UPGARAGE NSX GT3 15
3 65 蒲生尚弥/篠原拓朗 LEON PYRAMID AMG 11
4 9 K.コッツォリーノ/横溝直輝 PACIFIC hololive NAC Ferrari 8
5 6 本山哲/片山義章 Team LeMans Audi R8 LMS 6
6 10 富田竜一郎/大草りき TANAX GAINER GT-R 5


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